頑張れシニアベンチャー
実在する犬のキャラクター商品が大受け「Zelda Wisdom」
アメリカではグリーティングカードがよく使われ、ドラッグストアでは大きな売り場を占めている。そこで目を引くのが、実在のファニーフェイスのブルドッグ"ゼルダ"のユーモラスなグリーティングカードだ。
Zelda Wisdom, Inc.
Carol Gardner (キャロル・ガードナー)
大学卒業後、広告業界でクリエイティブディレクターとして働く。離婚後、飼い始めた犬をモデルに作成したグリーティングカードが評判になったことをヒントに、グリーティグカードやギフト商品の企画・開発会社Zelda Wisdom, Inc.を設立する。
賞品目当てで応募したグリーティングカードが起業のきっかけ
──Zelda Wisdomの事業内容についてお聞かせください。
Zelda Wisdomでは、ブルドッグのゼルダをキャラクターとしたグリーティングカードやギフト商品の企画・開発を行なっています。
──Zelda Wisdomを立ち上げる以前のお仕事についてお聞かせください。
大学卒業後、サンフランシスコの広告代理店に入社し、クリエイティブディレクターとして広告のビジュアルとコピーのコンセプトを考える仕事をしていました。結婚後はニューヨークに移り、フリーランスでクリエイティブディレクターの仕事を続けました。
──自分でビジネスをされた経験はありますか。
Zelda Wisdomが初めてですが、それ以前の1990年代にBumper Sticker Wisdomという本を書いたことがあり、この本はUSA TODAYに、その年のNo.1ユーモアブックと評されました。
──このビジネスを考えたきっかけは。
52歳のときに離婚し、仕事も収入もなく借金だけが残り、うつ状態になりました。そこでブルドッグを飼い、ゼルダと名付けました。あるとき、優勝賞品として1年間分ペットフードがもらえるという、ペットショップが主催したクリスマスカードコンテストに、ゼルダをモデルとしたカードをデザインして応募したところ優勝。そして、そのクリスマスカードを友人達に送ったところ大評判となり、このビジネスを考えるきっかけになりました。
──会社の立ち上げのための資金はどうしたのですか。
借金があると銀行はお金を貸してくれないので、持っていた4枚のクレジットカードで4万ドルの資金を作りました。また、知人のカメラマンやPRのプロが無償で仕事を手伝ってくれました。
──Zelda Wisdomの成功のポイントは何だと思いますか。
印刷会社にカードのサンプルを作ってもらい市場調査を行なったところ、大きな反響がありました。それまでだれも、実在の犬に名前やアイデンティティを与え、そのカードを見た人を愉快な気持ちにさせるなどということを考えたことがなかったからです。広告キャンペーンを成功させるには3つの要素が必要です。かわいくて、ほかとは違っていて、──そして、これがむずかしいのですが──機知に富んでいること。私はこれをZelda Wisdomで実践しました。
Zelda Wisdom以前のグリーティングカードはたいてい背景がパステルカラーでしたが、ゼルダのカードは全部背景を白にしました。カードストアに入ると、白のカードがたくさん並んでいる場所に目が行きます。そして、その白いカードにあるファニーフェイスのブルドッグが目立つんです。
──製品のデザインはご自分でなさるのですか。
ゼルダのイメージはすべて、制作、配給している会社にライセンシングしています。私たちの強みはクリエイティビティなので、ユーモラスなゼルダのイメージと機知にとんだコピーを作ることに専念しています。
実在する犬が癒しとユーモアを提供する
──商品の販売はオンラインのみで行なっていますか。
商品は多くをライセンス契約している小売店で販売していますが、グリーティングカードは、オンラインストア(cardstore.com)でも販売しています。好きなカードを選んでオーダーすると、上質の紙でできたカードが印刷され、スタンプが貼られて世界中に送られます。
──ビジネスが軌道に乗ったのはいつ頃ですか。
会社の立ち上げは2000年頃ですが、ビジネスはすぐに軌道に乗りました。
──最も売れ行きのいい商品は。
グリーティングカードです。
──ほかの商品との差別化についてお聞かせください。
ゼルダが漫画のキャラクターではなく実在する犬であること。人間と同じようにハッピーな時もあれば落ち込む時もあり、いい日もあれば悪い日もある、しかしユーモアを感じさせるというところがほかの商品とは異なり、支持されている理由だと思います。
──広告はどのように行ないましたか。
ライセンス契約した会社が行ない、Zelda Wisdomでは宣伝・広告は行なっていません。ですが、ゼルダはオプラ・ウインフリー・ショー(アメリカで人気のトーク番組)やマーサ・スチュアート・ショーなど多くのメディアで取り上げられており、こうしたことも大きな宣伝効果があると思います。
──いちばん苦労したことは。
資金の調達です。当初は借金だけでお金がなかったので、このビジネスは私にとって大きなチャレンジでした。誰も私が成功するとは思っていませんでした。
──ビジネスを成功させるには何が必要ですか。
よくリサーチして、あなたの会社を"daring, different and smart(かわいく、ほかと差別化し、機知に富んでいる)"ものにするような何かを探すことです。daringとdifferentは難しくないんです。Smartがむずかしい。
──昨年の売り上げをお聞かせください。
ライセンシング契約のため、売り上げ等の情報は開示できないことになっています。
──次に考えていることは何ですか。
現在、American Humane Associationと提携して子供達のための病院プロジェクトを進めています。このプロジェクトは救助された犬を訓練してセラピー犬にしようというもので、こうして訓練を受けたセラピー犬は子供の病院で仕事をすることになっています。ゼルダはこの病院で、病気を恐れる子供たちに、ユーモアと知恵を与えるキャラクターとして使われます。ユーモアと同様にセラピー犬も人を癒すのです。
掲載日:2012年1月31日