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既存機械のIoT化で、包括的・長期的な保全体制を手軽に実現【株式会社コスモテック】

2020年 8月 25日

産業機械向け予兆保全サービス(CPMS)の画面
プレス機器ごとに最大4ms単位の稼働データをパソコンなどで確認できる
製品名=「産業機械向け予兆保全サービス(CPMS)」

4ms単位のデータ分析で熟練者に頼らない保全を実現

産業機械の適正なメンテナンスは、ものづくりメーカーにとっての命綱。株式会社コスモテックの「産業機械向け予兆保全サービス(CPMS/Cosmotec Predictive Maintenance Service)」では、IoTやクラウド技術を活用しながら、プレス機器の稼働データを収集、可視化。異常やその兆候の検知、さらに長期的な視点での予防・予知保全が行える。

既存のプレス機器にセンサーを設置すると、最高4ms(4/1000秒)単位で毎秒250回データを収集。クラウドへほぼリアルタイムでアップロードし、可視化・分析を実行する。結果はプレス機器の機種、設置場所などに応じてパソコンやタブレット画面に分かりやすく表示され、設定した閾値を超えた場合にはアラートを送信。従来、熟練者の五感と経験に頼って行われてきた保全技術をデータ化・可視化することで異常発生の予兆をとらえ、安定生産に大きく貢献する。遠隔地の工場などを含めた包括的なメンテナンスも可能だ。

IoT化設計からセンサー取り付け、運用まで一気通貫で提供

同サービスでは最大4ms単位の大容量データを、データ圧縮技術や専用クラウドを用いて処理することで、稼働時の微細な変化をとらえ、素早く、簡単に可視化・管理できるようにしている。さらにプレス機器保全のエキスパートとして同社が培ってきたセンシング技術を活かし、複数のセンサーから擬似的に仮想センサーを生成する技術も開発。これにより通常では計測できない箇所のデータも得られるようにした。クラウドに保存されたデータはダウンロードも可能で、品質や生産性の向上など異常検知以外への活用も期待されている。

導入の際には、ユーザーの環境・要望に基づき、まず同社が保有する実証実験機で適切なセンサーやその設置場所などを検討。ユーザー側機器への取り付け後、データ可視化や異常検知などのサービス提供を開始し、オプションで経営層向けの保全提案なども行う。IoT化設計、センサー取り付け、データの収集・可視化、異常検知までを一気通貫で提供できるのが強みだ。

プレス機器全般に加え、工作機械などへの実装も可能

対象となるのはプレス機器全般※で、センサーを後付けすることにより機械のメーカーや年式を問わずIoT化できる。また、できる限り汎用技術を使うことによって、工作機械や各種設備などプレス機器以外への実装も行えるようにしている。

今後は顧客各社のデータを同社が分析して得た知見や拡張機能を、クラウドを通して顧客に提供していく予定。異常検知の方法についても、従来の閾値設定や人による監視に加え、AIによる自動検知なども導入すべく研究を進めている。

クラウド経由で国内外のあらゆる拠点にある機器の稼働状況を把握しながら、包括的なリモート管理を行える同サービスは、技術者の高齢化と人手不足が進むなか、製造現場の保全のあり方を大きく変えるものと言えるだろう。

※油圧プレス、高速プレス、またプレス機に周辺装置等が組み込まれている場合は応相談。

取材日:2020年7月6日

企業データ

企業名
株式会社コスモテック

1987年創業。ものづくり企業が保有する各種プレス機器に対し、修理、改造、保全、オーバーホールなどのメンテナンスサービスを提供。プレス機器であればメーカーは問わず対象とし、加工工場、重機なども自社で保有しているため、緊急の依頼にも柔軟に対応できるのが強み。タイにも拠点を有し、北米・南米、欧州、アジアなど海外でもサービスを提供。