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「フィル(大阪市)」日本中の壁紙をカラフルに
この記事の内容
- ネットショップのグランプリを受賞
- 内装工事業から撤退し、壁紙販売に特化
- 実店舗も出店、高齢者にも訴求へ
輸入壁紙専門のインターネット通販サイト「WALPA」(ワルパ)を運営するフィル(大阪市大正区)が、第10回「全国ネットショップグランプリ」の最高賞であるグランプリを受賞した。
主催するイーコマース事業協会に加盟するネット通販会社231社の投票により優れたネットショップを選ぶ表彰制度で、いわば「プロが認めたネットショップ」だといえる。建物の内装工事を請け負う職人だった濱本廣一社長(45)が、なぜネット通販に乗り出し、今後は何を目指しているのか。
カラフルな海外製壁紙を実際に見て触れることができる大阪の本社店舗「WALLPAPER MUSEUM WALPA/OSAKA」で、濱本氏(写真)に話を聞いた。
—もともとは壁紙を張る職人だったそうですね。
「15歳で内装工事の世界に入り、23歳で職人として独立しました。27歳になった2000年に『壁紙屋本舗』というネットショップを開設し、しばらくは床や壁紙の内装業とネット通販の2本柱で会社を運営してきました」
—ネット通販1本にシフトしたのはなぜですか。
「2008年のリーマンショック後、内装工事は価格競争に陥り、忙しいのに儲からなくなった。それに、誰よりも早く、安く、きれいに、白い壁紙を張ることだけの人生で終わりたくなかった。自分たちがお勧めしたい面白い壁紙を世の中に広めたいという思いが強まり、従業員に工事をやめたいと告げました」
—従業員は反発したでしょう。
「当時の従業員の半数近くに当たる職人7~8人のほとんどが辞めました。当時の年間売上高7億円超のうち、工事を辞めたことで4億円超の売り上げを失いました。それでもネット通販を強化するため、英語とフランス語、中国語と韓国語が分かる外国人をそれぞれ1人ずつ採用し、半年間、ネットを通じて海外の壁紙市場の情報を徹底的に探りました」
—輸入壁紙の通販サイトの準備に入ったということですね。
「そうではありません。当初は日本製壁紙の輸出サイトを考えていました。ところが、調べれば調べるほど、日本製壁紙のクオリティーでは輸出できないことが分かったのです。そこで海外製壁紙の輸入販売に方針展開し、片っ端から海外の壁紙メーカーに足を運んで、輸入代理店契約を結んでいきました。彼らは過去にも日本企業に売り込んでいたが、『こんな派手な柄は日本人には受けない』と断られていたそうです」
「輸入壁紙サイトのWALPAは2011年に開設しました。今では欧米を中心に約150ブランド・2万種類以上の壁紙を取り扱い、このうちの8割は海外企業との直接取引です」
—ネットショップだけでなく東京と大阪に実店舗も出店しています。
「2012年2月に東京の渋谷区桜丘に出店しました。『実際に壁に張られた状態で色や質感を見たい』『どうやって壁紙を張ればいいのか分からない』といった問い合わせが増えてきたためです。その後、桜丘店は恵比寿に移転し、東京・銀座と大阪市大正区にも開設しました。実際にモノがあると話題になり、インパクトも大きい。実店舗を出したことで、テレビの取材も来るようになりました。壁紙の張り方を伝えるワークショップなども定期的に開催しています」
—今後の事業方針は。
「前期は約20億円だった売上高を今期は18億円程度に落とし、不採算分野の撤退を進めています。既存サイト『壁紙屋本舗』では、採算の悪い仕入れ販売事業は縮小し、顧客の要望に合わせて自社開発・製作するオーダーメードの壁紙や床事業にシフトしています」
「またネット販売だけでなく、リアルな営業も始めます。ネット販売は30~40代の年齢層が主流であり、60代以上はめったに利用しない。壁紙を中心としたインテリアカタログを製作し、病院や美容院などに置いてもらう営業を、今年春に採用した新入社員10人にやってもらう予定です」
企業データ
- 企業名
- フィル
- Webサイト
- 設立
- 2000年5月
- 従業員数
- 80人
- 代表者
- 濱本廣一氏
- 所在地
- 大阪市大正区小林西1-15-12
- Tel
- 06-6537-7121
- 事業内容
- 国内外製の壁紙販売など
- 売上高
- 20億円(2017年8月期)