これからの訪日外国人旅行者ビジネス

「Cooking Sun」 京都で和食づくりの楽しさを体験してもらう

Cooking Sun(クッキング・サン)は、京都市の中心、四条烏丸近くにある町家を拠点として、外国人旅行者に日本料理の作り方を教えるクッキングスクールである。

同スクールは、電話またはメールによる完全予約制で、1日2回、午前と午後に3時間ほどのコースで受講できる。生徒数は1回8人を上限とし、生徒3人につき1人のスタッフが対応する。教える料理は、巻き寿司、だし巻き卵、てんぷら、ほうれん草の胡麻和え、魚の照焼、炊き込みご飯や松花堂弁当など、いずれも日本食ながら温かみのある家庭料理ばかりである。決して高級料理ではないところが逆に好評だと言う。

利用客数はオープン当初から順調に伸び続けており、外国人旅行者に人気のあるクッキングスクールになっている。

Cooking Sunで日本料理を学ぶ外国人旅行者たち

自らの経験から生まれたビジネスモデル

山本昇平社長は学生時代から海外へ行くことが好きで、オーストラリア、アメリカ、イギリス、シンガポール、中東、南米などをワーキングホリデーやホームステイ、短期交換留学やバックパック旅行などで訪れていた。そこで旅行者と現地の人たちのふれあいの楽しさを知り、また、日本料理のおいしさにも気づき、外国人旅行者に日本食の作り方を教えるクッキングスクールというビジネスを思いついた。

しかし、山本社長はすぐにこの構想実現には移らず、まずは、タイですでに同様のサービスを行っているというクッキングスクールへ視察に行った。その時、自ら調理を習う楽しさを実感し、このビジネスの可能性を確信したという。そして帰国後、国内の立地を吟味した結果京都にCooking Sunをオープンさせることに決めた。

英・仏・独語で受講者に対応する

Cooking Sunの受講者は、京都という土地柄もあり欧米からの旅行者が多い。国別・地域別に見ると、アメリカとオーストラリアからの旅行者が同数程度で最も多く、次いでヨーロッパからの旅行者が多い。スイスやオランダなど人口の少ない国からの受講者も意外に多いという。

スタッフは全員1年間以上の海外在住経験者で、外国語に堪能な人たちである。外国語は英語のほかにドイツ語やフランス語でも対応が可能である。外国人旅行者向けクッキングスクールでは、スタッフの能力がとても重要なポイントの1つだという。受講者に楽しく学んでもらうためには、調理技術と語学力を含めたコミュニケーション能力のどちらが欠けてもダメだと山本社長は語る。

世界最大級のクチコミ・サイトから多くの申込みが舞い込む

利用者誘致の方法として自社ホームページのほかに地元(京都)のフリーペーパーへの広告掲載、駅前やホテルでのチラシ配布もしているが、世界最大級の旅行クチコミサイトである「トリップアドバイザー」からの申し込みが多いという。ちなみに、トリップアドバイザーの評価によれば、現在京都にある外国人旅行者向け観光サービスの中でCooking Sunは第3位に位置しており、利用者の満足度も高いという。

Cooking Sunで教えられる数々の日本料理

外国人観光客で日本が潤う一助になりたい

今後の展開について山本社長は、クッキングスクールとの相乗効果を発揮できる新たなビジネスも立ち上げてみたいという。具体的には、より多くの観光客を呼びこむ旅行業の展開である。このような事業との相乗効果によってCooking Sunを発展させていこうという戦略だ。新ビジネスに関しては、現在着々と実現に向けて準備が進められている。

また、山本社長は次のようにも語る。
「日本に多くの外国人観光客が来て日本の良さを知ってくれて、かつ日本が潤ってくれたらいいなと思っています。Cooking Sunがその助けになれば良いですね」

より多くの外国人旅行者に日本の良さが伝わるよう、益々の発展が期待される。

企業データ

企業名
株式会社クッキングサン
Webサイト
代表者
代表取締役 山本昇平
所在地
京都市下京区東中筋松原上る舟屋町679
事業内容
外国人旅行者向けクッキングスクール等

掲載日:2015年3月 3日