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「東京BK足場」建設現場に“働き方改革”を

この記事の内容

  • 新工法を開発して女性の就業も促す
  • 資格制度や体系的教育システムで人材を育てる
  • “3Kの典型”を安全で働きやすい環境に変える
本社敷地内の電動クレーンと足場の前に立つ栗山氏

人手不足が各方面で深刻化している。建設業界はその最たるもので、作業員の確保に四苦八苦している建設現場が少なくない。そんななか、ユニークな工法を編み出して、女性でも容易に働けるなど、現場の作業環境を大きく変えようとしているのが東京BK足場だ。同社の栗山武蔵代表取締役社長に現状と今後の展望を聞いた。

—独創的な工法を開発・実用化して、建設現場の“働き方改革”を進めています。

「安全性を重視し、効率的に木造住宅を建てられる新工法に取り組んでいます。『TB上棟システム21』という呼び名で、TBは社名の東京のTとBKのBを並べたものです。建築工法の分類では部品化木造住宅にあてはまり、大工技術は不要、誰が手がけても高品質、補強金物がほとんどない-などが特徴です。専用の電動クレーンを開発して作業者を重労働から解放できるようにもしました。新工法が普及すれば、熟練技能を持った大工、とび職の世界だったところに、経験の浅い若者でも、また女性でもどんどん入れるようになっていきます」 

—普及に弾みをつけるためのポイントとなるのは何でしょうか。

「人材の育成強化が一番重要です。新工法は足場、荷受け、クレーン、上棟作業を一貫して行う『TB多能工フレーマー』が手がけます。これは新たな職種ともなるので、当社では資格制度を設け、体系的な教育を施すことで、多能工の育成に努めています。この職種は施主さんや近隣住民とのおつきあいも大切になるので、技術の習得と併せて、サービス、コミュニケーション力といった面を高めるようにもしています」

—のれん分けのような仕組みを用意しているそうですね。

「Aランク、SAランクの資格を取得した人が、希望すればフランチャイズのオーナーとなって活動できる制度を設けています。フランチャイズといっても、お金を取るようなことはありません。例えばBK多摩支部、関西支部といった形で、われわれの工法を広めてくれる組織を支援しています。当社は社名に示す通り、もともと、足場からスタートし、自社開発した足場施工レンタルでフランチャイズ展開を図ってきていますので、こうした仕組みは馴染みがあるのです」

—新工法や新型の足場のほかにも、たくさんの開発品をお持ちです。

「私自身、化学メーカーの研究室で働いた経験があり、開発や発明の類いが好きなので、アイデアを次々と製品化につなげています。この2月には、太ももに締め付けるタイプの、安全性と装着性に優れたフルハーネス(両肩かけ安全帯)を用いてスライド安全ブロック式フルハーネス上棟を開発。特許もたくさん申請・取得しています。その大半は、現場作業の改善に役立つものです。3Kの典型といわれる建設現場を、安全で働きやすい環境にするための技術開発に、これからも力を注いでいきます」

—少子高齢化がさらに進んでいく将来をどう見通していますか。

「現場の担い手を確保することが、ますます難しくなっていくでしょう。妙案はありませんが、当社では機会をとらえて学生、生徒に職業講話を行うなど、若い人や女性に関心を持ってもらうように努めています。また、縁あって入社した若手社員への教育投資は惜しみません。これらの積み重ねにより、2020年には新工法に取り組むチームを125チーム編成し、そのうち2割は女性で構成するといった計画を作成しています。新工法に関しては、いつか海外でも普及させたいと考えています」

企業データ

企業名
東京BK足場
Webサイト
設立
1980(昭和55)年7月
従業員数
304人
所在地
千葉県船橋市芝山2-14-11
Tel
047・464・5060
事業内容
超軽量中低層足場の製造・販売、住宅用電動クレーンおよびガーターリフト販売、TB先行足場施工レンタル、TB上棟システム一括発注方式など

プロフィール

栗山武蔵

1963年4月旭化成工業入社、73年1月、富永取締役、80年東京ビケ足場代表取締役、2010年7月東京BK足場に社名変更し、代表取締役。72歳。神奈川県横須賀市出身。