中小企業応援士に聞く

「高品質」「安心・安全」「安価」な建築金物を提供【大和建工材株式会社(兵庫県尼崎市)代表取締役社長・武田敏治氏】

中小機構は令和元年度から中小企業・小規模事業者の活躍や地域の発展に貢献する 全国各地の経営者や支援機関に「中小企業応援士」を委嘱している。どんな事業に取り組んでいるのか、応援士の横顔を紹介する。

2021年3月3日

同社本社で武田氏
同社本社で武田氏

1.事業内容をおしえてください

工場内部
工場内部

1953年に大阪市住吉区で金属洋食器卸業「カネタケ商店」を創業後、64年に装飾金物部・建設工事部を新設し、住宅用品の取り扱いを始めた。75年9月に「大和建工材」と社名変更して株式会社を設立し、以来、塔屋タラップや屋上マンホールなど建築金物の製造・販売を展開している。

兵庫県尼崎市内の第1、第2工場のほか、2017年にはベトナムのホーチミン市郊外の工場でも操業を開始、「高品質」「安心・安全」「安価」に取り組んでいる。自社の取り組み内容を地元で発表するなど地域への貢献活動も積極的に行っている。

2.強みは何でしょう

主力製品の屋上マンホールを製作中
主力製品の屋上マンホールを製作中

まずは製品の安全性の高さだ。建築金物は「安全」が第一に求められるため、熟練工が一つ一つ丁寧に製造し、さらに耐荷重を保証するため、定期的に製品の抜き取り検査や第三者機関で試験を行うなど徹底した品質管理を行っている。

次に製品の「安価」だ。昨年秋に兵庫県立大学の中小企業診断士養成コースの在校生8名を4日間実習として受け入れたことがある。最後の実習発表の時、複数の実習生から、「製品そのものが高品質のわりに安い」「トータルコストとして見ても非常に安い」と指摘された。当社は製品を取引先に送る際の梱包の養生を傷がつかないよう1本1本ポリ袋で梱包するなど丁寧に行っているため、先方は製品到着後、すぐに製品を使用することができる。その手間が製品の付加価値を増していて、それが普通にできることが強みだ」と指摘された。

在庫率は全製品平均で2カ月分と非常に高い。この業界は急に大量の発注が来ることが結構あり、在庫があることで「大和建工材なら対応してくれる」と新規顧客からの話も来やすい。使用されると品質が高いとリピーターになってくれることも少なくない。またオーダーメイドで注文に応じた製品を提供できるのも、顧客の信頼につながっていると思う。

3.課題はありますか

丁寧な製品梱包も強み
丁寧な製品梱包も強み

「マーケティング」だ。自社のPRや効果的な販路戦略ができていない。営業面の強化や技術者の確保なども含め「人材確保・人材育成」が課題だ。

人材確保面では、コロナ禍で20年3月から4月は18人いる従業員の間にも感染の不安が高まり、休みたいと希望する社員が男女各3人いたため、雇用調整助成金をもらって乗り切った。感染防止対策のため、次亜塩素酸水を社内のいたるところに設置し、マスクも2万枚確保し、感染拡大時は社員家族にも無償配布した。先が見えない中、仕事が完全に止まっても2年間は社員の給料を払えるだけのキャッシュも確保している。

4.将来をどう展望しますか

企業体質を強化するため、BCP(事業継続計画)の作成には取り組まなければならないと感じている。

環境保全などのSDGs(持続可能な開発目標)も取り組みたいと思って検討はしたことがあったが、本業がSDGsに結びつく要素を見つけられず、そのままになっている。中小機構近畿本部と近畿経済産業局がSDGsに向けた取り組みガイドブックを作っているそうなので、完成したら指導や助言をもらいたい。

コロナ禍で20年2月から業績に影響が出はじめたが、取引が減った顧客があっても、物流が活発になったのか物流センター建設の話が来るなどプラスマイナスがあり、トータルでみると前年比5%減くらいの売上高に収まっている。ただ、コロナ禍で顧客側の外国人労働者がいなくなり人手不足で対応できなくなったりした例もあり、これからの経営は様々な視点で取り組んでいかなければならないと考えている。

企業データ

企業名
大和建工材株式会社
Webサイト
設立
1975年9月
代表者
武田敏治 代表取締役社長
所在地
兵庫県尼崎市田能6-12-31
Tel
06-6493-4930

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