BreakThrough 企業インタビュー

パートナー企業と一緒に新たなソリューションを構築したい【株式会社tiwaki】<連載第2回(全2回)>

2020年 12月 24日

「株式会社tiwaki」が目指しているのは、「誰でも簡単に自分のために使えるAI技術を作ること」です。さらにそのAI技術を基にして生み出されたさまざまなソリューションを共有し合う「AIエコシステム」の実現を見据えています。この構想に欠かせないのがパートナー企業の存在。同社はどのようなパートナーを求めているのでしょうか。

世の中に必要とされるAI技術の開発に特化

「株式会社tiwaki」が開発しているのは、あくまで機械学習・画像認識のコア技術です。ユーザーは同社とライセンス契約を結んだ上で、同社のコア技術を基にしたソリューションを開発します。

「例えば骨格検出・姿勢推定技術に長けた『Furinkazan Pose』の技術は、万引き検知システムの構築などに活用されています。私たちの技術で動きを検知することは可能ですが、それだけではアプリケーションにはなりません。その技術をどう活かすかを考えて設計するのはユーザー側の役割となります」

このようなビジネスを展開する同社にはこれまで、次世代移動サービス「MaaS」関連やロボット関連の企業などから高い関心が集まっていました。ただ近年は、より幅広い業種から声がかかるようになったといいます。数あるAI企業のなかでも同社に特に注目が集まる要因は、提供される技術がユーザーニーズを的確に捉えている点がポイントでしょう。

「当社のコアメンバーは平均して15〜20年ほど、現場でユーザーと向き合ってきたエンジニアです。論文発表や研究よりも市場ニーズの把握を優先してきたため、世の中に必要とされるものをきちんと使える形で提供しなければいけないという意識を全員が共有しています」

技術の高さを証明する実績を積み重ねたい

技術開発は試行錯誤の連続ですが、それを苦労と感じたことはなかったといいます。ただ、その技術を他者に理解してもらい、購入・契約に進もうとする次のステップでは、いまだに壁の高さを感じているといいます。

「タブレット端末やデジタルサイネージなど、私たちの周りにはタッチパネルがあふれていますが、それらの端末を用意するには少なからずコストがかかります。そこで、その場にあるものをタッチパネルに変えられる技術を開発しました」

「先ほども説明したように私たちの技術はパーツに過ぎませんが、市場はそのパーツが組み込まれた完成品を望んでいることが多いです。特に異分野のユーザーになると、技術的なベンチマークのスコアなどを見せても反応は乏しく、なかなか技術の良さが伝わらないというジレンマを抱えています」

多くの場合、そのような時には技術の活用実績や製品の実例を見てもらうことが有効になりますが、2016年創業の同社にはまだ外に出せる実績が少ないというウイークポイントがあります。

「そこで当社のコア技術を活用してさまざまなアプリケーションを生み出してくれるパートナー企業を求めています。ライセンス契約を結んで自社開発していただく形でも当然構いませんが、今後は一緒に新しいソリューションや商品を共同開発していくようなスタイルにも力を入れていきたいと考えています」

パートナー企業に求めるものは何か──。こう聞くと、世界トップレベルの技術開発力を誇る企業ならではの感覚から、最後に次のように語ってくれました。

「日本でマッチングの話を進めようとする時にネックになるのは意思決定の遅さ。海外企業とはスピードの次元が違います。世界から遅れを取らないためにも、なるべくスピード感を持ってコラボレーションできるパートナーとともに、新たなチャレンジをしていきたいですね」

連載「パートナー企業と一緒に新たなソリューションを構築したい」

企業データ

企業名
株式会社tiwaki

滋賀県草津市の立命館大学びわ湖キャンパスにあるインキュベータ施設で2016年に創業。機械学習・画像認識領域における自社技術のライセンス販売や、コンサルティング、受託開発などを展開。「Furinkazan」「Yoichi」のほかにも、学習を必要としない画像認識技術「Onmyoji」、水中の課題解決を目的としたプラットフォーム「Wadatsumi」なども開発。

取材日:2020年11月19日