BreakThrough 企業インタビュー
目に見えないコード「スクリーンコード」が 印刷物にセキュリティ性の高いIoT化を加速する【株式会社アポロジャパン】
2018年 3月 7日
summary
バーコード、QRコードのデメリットを克服する
専用ではなく汎用こそが普及の糸口
改変不能な高いセキュリティ性能
最新技術を用いた第三世代コードは〝目に見えない〟
商品に価格などの情報を紐付ける第一世代の「バーコード」や、スマートフォンなどのカメラでも読み込み可能で、雑誌や書籍、入場券、名刺などにより多くの情報をモノと紐付けられる第二世代の「QRコード」。どちらも利便性が高く、世界中に普及している2次元コードだ。
しかし、それらにもデメリットがある。それは必ずコードを描くスペースが必要となることだ。
一般流通製品であれば、パッケージにコードを組み込まなければならず、デザイン面に支障をきたすこともある。また雑誌などの誌面に使用する場合は、限られたスペースをコードに割かれてしまう。
印刷とプリント基板のCTPシステムの開発と販売などを手がけてきた株式会社アポロジャパンは、コードのデメリットを打破すべく、約10年間の研究開発によって、見えないコード〝スクリーンコード〟を生み出した。
スクリーンコードは、4色カラーの印刷時、各色別に製版されることに注目。
4つのうちの1つの版に、約260μm(0.26mm)の微細な網点をパターン認識可能な情報としてコードを埋め込むことで、肉眼で識別することが難しいコードの印刷を可能とした。つまりコードが印刷されているにもかかわらず〝見えない〟のである。見えないということは、QRコードやバーコードのように専用のスペースを必要としないため、デザイン面にも支障をきたさない。
利便性を突き詰めた先の汎用性
スクリーンコードが生み出された当初はコードの読み取りには「専用ペン」というハードが必要だった。しかし同社はスクリーンコードの普及と利便性を高めるため、コードリーダーとしてスマートフォンの活用に注目し、アタッチメント式マクロレンズと専用アプリによるスクリーンコードの読み取りを開発。さらに現在では、そのアタッチメントも使用せずにスマートフォンに搭載されたカメラだけで読み取ることが可能となっている。
スマートフォンで読み取り可能であれば、専用のハードにコストを掛ける必要もないため、スクリーンコード導入のハードルは低くなる。また印刷物へのコード埋め込みにも、印刷時に特別な機材や複雑な工程も必要としないため、導入コストや印刷コストの心配もないという。ユーザーだけでなく企業側にとってもメリットといえるだろう。
見えないからこそのセキュリティ性
スクリーンコードを使うメリットは、デザイン上だけに止まらない。スクリーンコードの「目に見えないこと」、「印刷物であるため改ざん不能」という特長から得られるセキュリティ性も魅力となる。
例えば、一部の中間業者による商品の横流しなどの問題がある。現状では製造番号などが印刷されていても、その部分は切り取られてしまったり、塗りつぶされたりすることによって、どこから流出したのかが、わかりにくくなってしまう。しかし、パッケージ上に見えないコードとして印刷し、その存在を明かしていなければ隠蔽工作などを行うことができないため、横流しなどの問題防止にも役立つ。
同社はスクリーンコードに関連する特許を100以上も取得・出願しており、日本に先駆けて中国ではパスポートにも採用され、ICタグと同様の情報がスクリーンコードとして印刷されていることからもセキュリティ性の高さは証明されている。
印刷可能なモノであれば、スクリーンコードを利用することができる。例えば、地図や案内板にスクリーンコードを埋め込めば、テキストだけでなく音声と動画による、より利便性の高い道案内の提供が可能となる。
さらに高齢者にとって操作の複雑な電子機器などのスイッチやボタンに埋め込めば、いちいち分厚い説明書をめくることなく、スマホやタブレットから動画で詳しい説明が見られるだろう。
また、スクリーンコードの特長の1つである肉眼では読み取れないというセキュリティ性能は、コードが印刷されていることを知らなければ、そこに情報があることがわからない。個人情報や機密データの漏洩問題が取りざたされる時流の中で、さらなる活躍の可能性を秘めている。
企業データ
- 企業名
- 株式会社アポロジャパン
アポロジャパンは、時代のニーズや時流を先読みし、人に寄り添い、生活に役に立つ最先端技術開発を目指し、「見えない」コードを印刷物に埋め込む特許技術「スクリーンコード」や、画像をコードとして情報と紐付けする「Image To Code (ITC) 」など、「人とモノと情報をつなぐ」様々な技術を研究、開発、応用、製品化をしています。
子供から高齢者に至るまで、すべての人が情報につながることができる世界の実現を目指して、「少し先の未来」の「快適な生活」のために、新しい技術の開発により、新しい市場を作りながら、社会に貢献できる、研究開発に取り組んでいます。