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無電解ニッケルテフロンめっきを進化させ、高い硬度と密着性を実現【藤間精練株式会社】
2020年 4月 30日
技術名=レゾナコート
無電解ニッケルテフロンめっきに多様な特性をプラス
めっきなどの表面処理は、設備機器の寿命を伸ばしたり、製品の美観を向上させたりと、素材の付加価値を上げるためには欠かせない工程の一つだ。藤間精練株式会社は、「無電解ニッケルテフロンめっき」を独自の手法によって進化させた技術「レゾナコート」を開発。従来の方法に比べ、抜群の硬度と母材密着性を実現し、潤滑性、耐摩耗性、非粘着性、撥水性、離型性など優れた特性を母材に付加することができる。
同技術は、異なる特性を持つ3層構造の複合表面処理技術であり、膜厚が均一でピンホールが少ない。また、高い硬度と母材密着性、物温260℃という耐熱性、5〜20μm(1μm=0.001mm)というごく薄膜での処理も可能といった多様な特性を持つ。しかも、薬液には規制物質を含まず、環境にもやさしい。さらに大型・長尺のものに対応できるのも大きな強みだ。
既存技術に独自の工法を付加して付加価値を向上
通常の「無電解ニッケルテフロンめっき」は、無電解ニッケルめっきの皮膜中に、滑り性や非粘着性などの特性をもつテフロンの微粒子を均一に散りばめることで、両者の特性を併せ持った表面処理を可能にするものだ。同社はこの技術をベースとしながら、母材への独自の前処理や、特殊な無電解成膜法といったオリジナルの工法を考案し、上に挙げたようなより高付加価値なめっき加工を可能とした。
開発の最大の障壁となったのは、大型槽での薬液の安定性の確保。しかし、薬液の提供業者とノウハウを共有し、外部から技術顧問を迎えたほか、設備・運用面の改良を重ねることで解消していった。技術の確立後も、性能はそのままに、より環境に配慮した薬液を使用するなど進化を続けている。
あらゆる業界・製品への展開が可能
同技術は、半導体製造ラインにおけるステンレス製の排気ガス配管の内面の付着物を抑制するために活用されたことに始まり、現在では、長尺に対応できるという特性を生かし、樹脂成形用のマンドレル※や、フィルム搬送のガイドやロールといった各種機械部品でも活用されている。このほかにも、防錆目的やスケール対策として熱交換器、剥離性の向上目的で金型やカッター刃、滑り性付与の目的で駆動ネジ部やギア回転機器、耐食性と美観の向上目的で釣具やゴルフ用品など、活用の幅は広がっている。また、海水に対する金属部品の耐食性が求められる船舶部品などにも挑戦していきたい考えだ。
業種・製品・使用用途に縛られることなく、あらゆるジャンルに展開できそうな同社の技術。自社への取り入れ方を考えることで、大幅な付加価値UPの可能性が見えてきそうだ。
※空洞を持つ樹脂製品成形などに用いられる芯材
取材日:2020年2月14日
企業データ
- 企業名
- 藤間精練株式会社
創業110年超という伝統を、現代の表面処理技術に落とし込んだ表面処理のエキスパート。テフロンめっき、無電解ニッケルめっき、カチオン電着塗装などの高度な技術を駆使してお客様の課題解決に貢献する。