中小企業NEWS特集記事
「グッドヘルス(長崎市)」日本食+スキンケアでヒット
この記事の内容
- ハンドクリーム、ボディローションなど次々投入
- 独自商品が受け、楽天市場5部門で1位に
- 米国、アジアなど海外向け販売も本格化
日本食とスキンケア—。通常なら相容れないものを結びつけて通販サイト1位のヒット商品を生み出したベンチャー企業がある。グッドヘルスだ。
代表取締役で薬剤師の資格を持つ大嶋太郎氏は「日本食は身体にいいことが知られている。それを使ってスキンケア商品をつくれば本当にいいものができるのでは、と思っていた」と開発のきっかけを話す。
最初に生まれたのがハンドクリーム。主な原料は、兵庫県丹波産の合鴨農法と呼ばれる無農薬でつくられた米ぬかエキスや、日本酒のうまみ成分として希少な「グリセリルグルコシド」、さらには柚子や黒大豆など日本食関連ばかり。塗った後もベトつかずにサラサラし、それでいながら保湿力が高い。「目指したのは感動の使用感」(大嶋氏)という自信作だ。
「BEL VISO」(ベルビーゾ)のブランド名で2013年にインターネットの楽天市場で販売を開始したところ、翌年にはハンドクリーム部門だけでなく、ボディケア部門でもランキング1位となるヒット商品となった。現在ではアマゾン、ヤフー、自社サイトと販路を拡大している。
曽祖父が明治35(1902)年に薬局を始めた家系のため、販売にあたっては「老舗薬局がつくった日本食スキンケア」をキャッチフレーズにした。ウェブの商品ページを専門デザイナーに頼み、戦略的に広告・宣伝する手法を取り入れたことも認知度を高めることに奏功した。
大嶋氏は10年12月、グッドヘルスを創業した。当初は長崎市香焼町沖の伊王島でスパとマッサージ事業と、ハーブティーなどのオリジナル商品を販売。同島は11年に長崎市本土と結ぶ伊王島大橋が完成し、「やすらぎ伊王島」としてリゾート開発が進んだこともあり、事業は軌道に乗る。薬剤師として化学知識もあったことから、かねてから構想していたスキンケア商品の開発に乗り出した。
開発に当たっては「いろいろな原料を試した。たまたま原料メーカーから丹波の米ぬかを紹介してもらい、分量・配合に配慮しながら試すと、すぐに優れた原料だと分かった」。現在ではボディローション、バスオイル、乳酸菌サプリなども商品化。すべて「日本食」が売りで、ハンドクリームだけでなく、他の商品も合わせて楽天市場5部門で1位を獲得している。「大豆などを使った化粧品やスキンケア商品はあるが、お米はない。『日本食』は商標登録した」。
長崎県諫早市で創業した後、長崎市に移り、中小機構が運営するインキュベーション施設「ながさき出島インキュベータ」(D-FLAG)に入居したのは14年1月。大嶋氏がたまたまD-FLAGの前を通り、「こんな施設があるのかと知り」、すぐに入居を打診したという行動派。入居後はインキュベーションマネージャーから補助金や助成金、セミナー、展示会など「まったく知らなかったさまざまな有用な情報を知らせてもらい、助かっている」という。
実際、厚生労働省の補助金を得たほか、展示会にも積極的に出展するようになった。販売子会社「てんまん香粧薬房」は中小機構の越境EC(電子商取引)マーケティング支援事業により、昨年末から米国向けのネット販売も始めた。
日本食=和食はユネスコの無形文化遺産にも登録され、世界的に認知度も上がっていることから、米国だけでなく、「中国向けの販売も始め、アジア向けにもアプローチしたい」と意欲的。将来的な目標は、海外向けが日本の売り上げを上回ることという。
大嶋氏に今後の展開を聞いたところ、「健康の指針になるようなトータルコーディネート商品の開発販売」とのこと。すでに化粧水、乳液、クレンジングクリームなどの化粧品、シャンプー、コンディショナーなどの入浴関連を開発中で、さらに消臭やリラックス効果のあるアロマスプレーも近く商品化するなど幅広い。
「次なるテーマは睡眠」という大嶋氏。社名のとおり、よりよい健康を目指した質の高い独自商品を提供し続けそうだ。
企業データ
- 企業名
- グッドヘルス
- 設立
- 2010年12月
- 資本金
- 1,000万円
- 代表者
- 大嶋太郎氏
- 所在地
- 長崎市出島町1-43 ながさき出島インキュベータ
- Tel
- 095-895-8090
- 事業内容
- スパ・マッサージ事業、オリジナル商品の企画開発・販売