PICK UP
頻発する大規模自然災害に負けない「強い屋根」を実現【株式会社川上板金工業所】
2020年 2月 25日
製品名=「クローザーZ」シリーズ
点ではなく面でのイオン発生でムラなく均一に除電できる
フィーサ株式会社の「イオンブレード」は、平面上の電極全体からイオンを発生させることで、物質に帯びた静電気を除電・中和する静電気除去器だ。イオンは点ではなく面状に発生するため、ムラのない均一な除電が可能になる。また従来品に比べ必要電圧が半減したことで、塵埃の静電吸着も極端に減少。これにより除電能力を維持できる期間が長期化したほか、清掃頻度の減少にもつながり、メンテナンスコストは同社従来品比で約40分の1に低減したという。
さらに、同製品は曲げることもできるため、基板や隙間に貼りつけたり、丸いリング状にしたりと、生産設備や現場の特性に応じてさまざまな形状に加工することが可能だ(写真②)。
豊富なバリエーションで多様な建物に対応
前身の「Z500クローザールーフ」から変わらない高強度を実現しているのは、通常の角ハゼタイトフレームの側面に独自のクローザー金具(写真②のa参照)を取りつけ、頂部吊子(同 b参照)と斜面2カ所の嵌合によって、上下からの風圧力に強い3点接合を図った「ハゼ式勘合型折板」(吊子使用タイプ)によるオリジナル構造だ。素材には軽量で耐震性に優れ、サビへの耐性も持つというガルバリウム鋼板を使用している。
基本ラインアップの3種類は、働き幅300mmで高い剛性を発揮する「クローザーZ300」、同420mmで耐火構造物にも対応する「クローザーZ420」、同550mmでコストパフォーマンスに優れる「クローザーZ550」など、それぞれ強みが異なる。この基本ラインナップの価値を用途に応じてさらに高めることも可能で、例えば「クローザーZ420 TYPE-S」は、屋根材の表面にさざなみ加工を施すことで、意匠効果と強度を高めると同時に板鳴り現象の低減を実現。また、曲率半径30mの「クローザーZ 300 TYPE-R」や曲率半径28mの「クローザーZ 420 TYPE-R」などもあり、直線だけでなく、R加工(コーナー加工)にも対応している。
カバー工法であらゆる縦葺き材の安全性を「再強化」
同シリーズは、あらゆる縦葺き材に対応できる「カバー工法」が可能で、特に老朽化した金属製屋根の「再強化」でも力を発揮する。同社では依頼を受けると屋根材の成型・加工から、施工するまでの流れを自社工場での一貫体制で対応。このほか現場用の成型機も所持しており、長尺の屋根材にも対応可能だ。
同社は、同シリーズを中小規模の建物向けに提供していく一方で、強度をさらに強化させた大規模建物向けの新たな屋根材「アドバンス」(17年度グッドデザイン賞受賞)を17年4月にリリース。より一層大規模化・深刻化する自然災害に対し、今後もさらなる強度を発揮する屋根材の研究開発を続けていきたい構えだ。
取材日:2019年12月18日
企業データ
- 企業名
- 株式会社川上板金工業所
1934年創業、68年設立の金属屋根材老舗メーカー。自社の特許技術を生かし、安心・安全な屋根の製造・販売・施工を展開している。デザイン性と機能性を両立した高強度屋根材「クローザーZ」シリーズなどのオリジナル製品で4度のグッドデザイン賞を受賞。より高品質の屋根の開発を目指している。