中小企業NEWS特集記事
「ハニック・ホワイトラボ(千葉市)」歯周病予防効果新たに確認
この記事の内容
- 歯のコーティング剤を世界で初めて開発、虫歯予防効果も確認
- 薬事効果の研究強化で第2創業
- 新たに確認した歯周病予防効果を機に、知名度向上と社会貢献目指す
ハケでサッと塗るだけで、歯を白く美しくみせる—。「歯のコーティング剤」を世界で初めて開発・販売したのが、ハニックス(東京都千代田区)だ。歯科材料、歯科薬品などの販売を目的に、深山虎男氏が1947年に設立した個人商店を起源とする。64年に厚生省(当時)の許可を取得し、化粧品として発売して以来、着実に成長を遂げてきた。
現在の代表取締役は、05年に就任した浦井薫子氏。創業した父・深山氏から引き継いだ。東京薬科大学を卒業して金融機関の診療所に薬剤師として勤務後、育児休業や調剤薬局勤めを経て、父の勧めで同社の取締役工場長兼研究開発部長に就いた。
薬学専攻だけあって、研究者肌。人体に安全な商品であることの信頼性と口腔ケアの機運を高めようと、薬事効果の研究部門を強化するため12年にハニック・ホワイトラボを「第2創業」して、代表取締役を兼任している。
「当社は開発指向の強い会社で、このスタンスは創業以来変わっていない。日本大学松戸歯学部と進めていた共同研究は、虫歯菌の増殖抑制効果が期待できる天然樹脂ロジンを配合した歯牙塗布用組成物として特許を取得し、結実している」
昨年12月には、同社のコーティング剤に歯周病の予防効果があることを示す同大との共同研究結果を日本歯周病学会60周年記念京都大会で発表した。「当社のコーティング剤は、歯を白くする化粧品でありながら、虫歯と歯周病の両方の予防効果が期待できる世界でオンリーワンの口腔ケア商品」と研究開発の成果を誇る。
浦井氏は、とりわけ口腔ケアの重要性を強調する。
「歯が弱ければ、食べ物を十分に噛み砕けない。よく噛み砕けていない食べ物の消化は困難でしょう。サプリメントだけでは健康は維持できない。日本では、これまで歯の治療に注力する一方で、歯を守る意識が希薄だった」
歯に接着するコーティング技術自体も特殊。浦井氏の祖母が付けた社名の「ハニック」は、「歯に付く」ことに由来している。
口腔ケア商品は、人命を救う一助にもなる。東日本大震災では、断水や歯ブラシの供給不足が災いして、特に高齢者には誤嚥性肺炎を発症する恐れがあると聞き、被災地に歯の汚れを拭き取る「ペーパー歯みがき」を3万個送り届けた。
千葉大亥鼻イノベーションプラザには、歯のコーティング剤の新しい可能性を求めて研究開発をさらに進めたいとの強い思いから、千葉県四街道市にあった研究室と製造工場を移転する形で13年に入居した。
「コンパクトに借りられ、管理も行き届いている。IM(インキュベーションマネージャー)室から、事業を進めるにあたって必要な補助金申請はじめ、海外企業紹介などで多方面から支援を得られるのはありがたい」
研究熱心な大学教授の立ち上げた企業が入居している環境は、浦井氏の研究意欲も刺激している。
「研究を通じて同志を持てる。研究意識が高揚して励みにもなっている」
共同研究は、日大だけでなく、千葉大学薬学部や母校の東京薬科大学とも進行中。日本歯周病学会での成果発表を足がかりに「まったく新しい口腔ケア商品を開発し、認知度を上げ、社会に貢献したい」と事業拡大に余念がない。
同社の特許は、出願中の案件を含めて多数ある。これが海外に進出する突破口になっている。将来は、口腔ケア分野で製薬事業への進出も検討しているという。
企業データ
- 企業名
- ハニック・ホワイトラボ
- Webサイト
- 設立
- 2012年4月
- 資本金
- 100万円
- 従業員数
- 15人
- 代表者
- 浦井薫子
- 事業内容
- 口腔ケア商品、化粧品の研究開発と製造販売
- 所在地
- 本社所在地:東京都千代田区一番町13-6-1505
千葉工場:千葉大亥鼻イノベーションプラザ内 - Tel
- 本社所在地:03-3556-5710
千葉工場:043-202-7071