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ミツワハガネ

価格競争から脱却し、航空機産業へ参入

「町工場から脱皮し、大手企業とも取引拡大できる企業体へ変革する」-。ミツワハガネの甲斐千尋社長は闘志を燃やしている。宮崎県延岡市の高台に新工場を完成。2015年10月に同市内の本社・3工場を移転、集約した。そして変革の足がかりとなる新たな一歩を踏み出した。高硬度の切削加工技術が大手航空機部品メーカーに認められ、05年に航空機産業へ参入。成長する航空機産業の上昇気流に乗る。

  • 価格競争から脱却し、高付加価値企業を目指す
  • 航空機産業へ参入
  • 新工場がフル稼働

精密機械加工に注力

特殊鋼材販売と機械加工、組み立てを手がけるミツワハガネの設立は1978年。精密機械部品の加工から装置の組み立てまで一貫生産できる。

機械加工に乗り出したのは、常に価格競争にさらされる材料販売だけでは「生き残れないとの危機感があった」(甲斐社長)から。そこで価格競争から脱却し、高付加価値製品をつくる企業づくりを決意した甲斐社長は、さまざまな社内改革に乗り出した。

発注企業から信頼と信用をつかむため、QCD(品質、コスト、納期)はもちろんのこと、将来を見据えた設備投資、人材育成にもこだわった。

航空機産業へ参入

こうした活動が大手航空機部品メーカーの目に留まった。まさに大手企業に振り向かれる企業へ成長した瞬間だった。05年に部品供給の認定工場となり、航空機産業へ参入した。だが順調に思えたのもつかの間、08年秋に乱気流のようなリーマン・ショックに襲われた。

工場の稼働率が落ちる中、逆境をチャンスに変えるために取り組んだのが、自社の弱点克服。技術力向上や品質管理体制の徹底に注力し、航空宇宙品質マネジメントシステム「JISQ9100」を取得した。

各種品質マネジメントシステム(QMS)の認証取得は中小企業が技術を極めた証。甲斐社長は「武器となる印籠だ」と強調する。

現在、約6億4000万円を投じた新工場はフル稼働状態。整流化したラインには3台の大型5面加工機などを加工エリアごとに配置する。多能工のCADプログラマーが移動を最小限にして加工までできるよう、現場にCADも置く。

新工場稼働で甲斐社長は「工程管理、労務管理を見える化した。それ以上に社員の意識が向上した」と胸を張る。

今後は航空機部品の受注増を視野に入れ、16年度中に大型5軸加工機などを導入する計画。また航空機部品製造で得た信用を武器に、「他の加工部品受注を増やす」(甲斐社長)と意気込む。

5年後は「売上高10億円企業を目指す」(同)と言い切り、将来は航空機部品メーカーへの飛躍を誓う。

大型の5面加工機やマシニングセンターなどを備える新工場

One Point

特殊鋼材加工を極める

「これからも特殊鋼材加工を極めていく」と甲斐社長は強調する。その姿勢に迷いはない。中小企業の成長には「絶対にやりきる熱意が必要だ」(甲斐社長)とも訴える。15年度は宮崎県から地域中核的企業の認定を受けた。地域の応援を味方につけ、地域経済をけん引する企業に成長することが期待されている。

企業データ

甲斐千尋社長
企業名
ミツワハガネ株式会社
Webサイト
法人番号
2350001007049
代表者
甲斐千尋社長
所在地
宮崎県延岡市天下町1213の622
事業内容
特殊鋼材の販売、精密機械部品の加工、組み立て