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シェルター
新たな市場づくりへ、耐火木構造技術を開発
常に道なき道を切り開いてきた木造建築のシェルター。1974年の創業から「米国にも欧州にも負けない世界一流の住宅を建てる」-という志を掲げ、独自の接合金物工法となるKES構法を核に成長し、現在は自社開発の耐火木構造技術を用いて新たな市場づくりに乗り出している。木村一義社長は「前例がないことに挑戦することが、世の中を変えていく」と"イノベーション"を強調する。
- 創造・革新・挑戦
- 独自の木質耐火部材
- フロントランナーを目指す
世界一の木造コンサートホール
「都市(まち)に森をつくる」-。2015年にオープンした山形県南陽市の「南陽市文化会館」は全国初となる大規模耐火木造ホールを有する。最大1403人の収容が可能で、木造コンサートホールとして世界一を誇る。最大の木造コンサートホールとしてギネス世界記録に2015年12月に認定された。
この施設の耐火木造技術は、シェルターが開発した木質耐火部材「COOL WOOD(クールウッド)・1時間耐火」が採用された。同社のKES構法との融合により実現した。クールウッドは14年に2時間耐火の国土交通大臣認定を取得。建築基準法上は防火地域で14階建てまでの木造ビルが可能になった。防火地域に中高層のビルが木造で建てられる時代の「フロントランナー」(木村社長)を意識する。
狙うは中高層の木造ビル需要
クールウッドの構造はいたってシンプル。核となる構造部材を石こうボードで囲み、その外側を木材で覆った、いわば石こうボードのサンドイッチ構造だ。15年には「ものづくり日本大賞」の経済産業大臣賞の特別賞を受賞した。市場としては都市部における中高層(7~10階建て)ビルの需要を切り開こうとしている。コスト的にも「この領域で勝負になる」(木村社長)という。現時点では建築物として前例が少なく、確認申請などに時間を要する点がフロントランナーの悩みでもある。ただ確実に事例を増やすことで、「新たな市場は開ける」(同)とみる。
前例のない取り組みこそが創業以来のシェルターの推進力でもある。会社の要の技術となった国内初の金物接合工法であるKES構法も時間をかけて世の中に浸透させてきた。独自の木質耐火部材の普及も前例のない取り組み。今夏には木村社長が欧州で耐火木構造技術をテーマに講演し、海外での反応も確かめた。2020年には現在のほぼ倍増となる売上高100億円の目標に向けて、山形からフロントランナーの挑戦は続く。
One Point
技術のオープン化へ
木質耐火部材「クールウッド」の技術はオープン化を進めている。耐火木造建築の普及拡大に力を入れる日本木造耐火建築協会(東京都港区)を通じて、各地域にある森林資源を活用した取り組みにより、地域経済の活性化への寄与も目指している。木村社長は「ウッドファースト」を強調する。
企業データ
- 企業名
- 株式会社シェルター
- Webサイト
- 法人番号
- 7390001000937
- 代表者
- 木村一義社長
- 所在地
- 山形県山形市松栄1-5-13
- 事業内容
- 木造建築