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世界最高レベルのガラス脈理検査を手軽に実現できる【カトウ光研株式会社】
2020年 10月 1日
製品名=「ガラス脈理検査装置『FG-RT』」
光学材料やガラス内部の品質検査における課題を解決
ガラス基板、水晶板と言った光学材料は、デジタルカメラの撮像素子であるCMOSセンサー※1などさまざまな精密光学部品に使用されている。精密光学機器の進歩に伴いこれらガラス等透明体のさらなる品質向上が求められるなか、従来のシュリーレン法※2による光学的検査方法では精度の大幅な向上が難しい一方、顕微鏡やセンサーを使う方法では一度に検査できる範囲が狭いという課題が生じていた。
この課題の解決に向けて開発された「ガラス脈理検査装置『FG-RT』」では、シュリーレン法に独自の光学技術と画像処理技術を組み合わせることにより、ガラス材料の脈理※3検査で世界最高レベルの検出能力を発揮。手軽な操作により、光学的手法だけでは検査し切れなかった微細な脈理、研磨痕、蒸着ムラなどの不良をしっかり可視化できる。
※1 CMOS はComplementary Metal Oxide Semiconductorの略。光を電気信号に変える半導体センサー。
※2計測空間中の密度勾配を濃淡で撮影する方法。
※3ガラス等の透明材質中において、密度や成分の違いにより屈折率が異なる部分。
操作性やメンテナンスなど「現場での使いやすさ」を重視
同製品の開発において、精度の向上と同時に力を注いだのが「現場での使いやすさ」だ。シュリーレン法で撮影した画像の処理を事後にオフラインで行えば時間も手間もかかってしまう。そこで撮影と同時に処理を行い、高感度の処理済み画像をライブビューで表示して、すぐ不良を確認できるようにした。画像データはワンタッチで取り出せ、端末上への連続保存も可能。シンプルで優れた操作性により、膨大なサンプルの検査へも対応できるようになっている。さらにユーザーの要望を反映し、専用ファイルでの設定パラメーター出力も可能とした。
光源には長寿命のLEDを採用し、ランプと回路をまとめて交換できるカートリッジとして搭載。光軸調整もいっさい不要など、メンテナンスもしやすくなっている。
シリコンウエハーの検査などにも活用可能
同製品は研究開発用、またガラス基板生産ラインなどでの検査用として、国内外で導入が進んでいる。特にスマートフォンのCMOSモジュール、また監視カメラのイメージセンサーに使われるIRカットフィルタ(ブルーガラス)などの品質評価においては、中国や韓国、ドイツなど海外メーカーにおける実績も多数。サーモカメラ用ガラス部品の検査にも適しており、カルコゲナイドガラス、シリコンウエハー、サファイアウエハーなどの検査にも活用できる。
開発・販売元のカトウ光研株式会社では、世界的スマートフォンメーカーからもその精度を高く評価されたという同製品の技術を、いまだ目視検査が主流であるレンズ形状の光学部品へ転用すべく研究を進めている。またファクトリーオートメーション(FA)の流れを見越した自動搬送への対応や、ディープラーニングによる不良の自動検出なども検討中だ。製品の品質維持に必須となる「検査」に欠かせない「可視化」を手がける、同社の今後の動きに注目したい。
取材日:2020年7月29日
企業データ
- 企業名
- カトウ光研株式会社
1989年創業。水や空気といった流体現象の可視化計測をはじめ、「目に見えない現象の見える化」によって評価を行う各種計測機器の開発・販売・サービスを手がけている。レーザ光源可視化装置、各種干渉計、光学測定器、流体・運動解析ソフト、ハイスピードカメラなどを提供。その可視化技術を活かし、飛沫、エアロゾルの可視化による空調システム開発への協力なども行っている。