いよいよ本番、働き方改革
従業員と一体で改革推進「金沢機工株式会社」
2020年 4月 15日
金沢機工株式会社は、工作機械やFA(ファクトリーオートメーション)機器の専門商社。生産性向上と労働環境改善などの働き方改革に鋭意取り組むことで人材を確保し、地域のものづくり産業を支えている。
働き方改革の実践は、井上英一郎代表取締役の「社員の意識改革を行い、1人当たりの生産性向上を目指し、多様な働き方の要望に対応する」との方針によるもの。
部長以上で構成する「働き方改革推進会議」を毎月開催して、各部の生産性向上や業務改善・労働時間短縮に関する取り組み状況を確認している。各課には業務改善ワーキンググループを設置し、取り組んだ業務改善策などを期末に発表させ、秀逸な取り組みは表彰して現場の努力に報いている。
こうした改革の陣頭指揮を執っているのは本江純一常務取締役だ。一連の改革を実現していく中で、田中智取締役総務部長が一般社団法人石川県経営者協会の「働き方改革塾」などに参加して、労働時間短縮と生産性向上を両立させるプランを早くから研究してきた。
法施行前から改革に
働き方改革には関連法の施行前から着手している。まず、接客の必要性などから帰宅時間の遅い従業員が多かった営業部で、毎月第2金曜日を各自の通常より早く帰宅する日に設定し、過多な残業を抑止。営業努力で増えた一過性の仕事は、割り振りを変更して分担させた。
RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を活用して業務効率化にも取り組んでいる。あわせて従業員全員の時間外労働を正確に把握し、データを労働時間の短縮を促す材料に使っている。
有給休暇取得も促進しており、以前から年7日の取得を推奨していたところを2018年度で年8日に改めた。17年度で1人平均7.07日だった取得実績は、18年度で8.7日に増えている。
今年度は勤怠管理システムを導入したことで、それまで手入力で行っていたタイムカードの集計作業が不要になった。なおかつ打刻データ処理に即時性が生まれたため、有給休暇を1時間単位で取得できる仕組みも構築できた。
田中部長は「定時より僅かな遅出や早退で済みがちな、子供の送り迎えや通院などに遠慮なく取得してもらえるようになった」とシステムの導入効果を好感している。有給休暇の取得状況は人事考課にも反映されている。
女性の活躍推進も
女性従業員の活躍推進およびワークライフバランスへの取り組みは、女性の役員が中心になって進めている。女性ならではの視点で職場環境改善計画を練る社内横断的な「活性化なでしこプロジェクト」を立ち上げ、子育て中の従業員の声に応えて時差出勤制度を導入。育児休業制度も希望者全員が柔軟に活用している。
育児や介護、災害時に備えて、全従業員を対象にテレワーク検討委員会を設置し、在宅勤務の可能性を模索している。田中部長は、自宅で育児しながら勤務するケースなどを念頭に置きながらも、BCP(事業継続計画)の側面からテレワークを可能にする環境は現場からの要求の有無によらず提供すべきと考えている。
従業員の健康管理を経営的視点から戦略的に実践することにより、企業価値を高めることを経営者がうたう「健康経営宣言」も実施した。従業員が体調を崩した場合に備え、産業医の助言に基づいて計画的に復職に導く仕組みを整備してある。
※掲載している内容は、4月7日に発令された緊急事態宣言前に取材したものです。
企業データ
- 企業名
- 金沢機工株式会社
- Webサイト
- 資本金
- 9717万円
- 従業員数
- 102人
- 代表者
- 井上 英一郎 氏
- 所在地
- 石川県金沢市無量寺町ハ38番地2
- Tel
- 076-266-8001(代表)
- 事業内容
- 工作機械、FA機器、半導体製造装置、環境関連機器などの卸売
- 創業
- 1946年1月15日
- 創立
- 1969年4月1日