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電力使用状況の見守りで、安心できる社会の実現に貢献【志幸技研工業株式会社】
2020年 3月 26日
製品名=「ネットミルHEMSコントローラー」
一人暮らし高齢者の見守りに最適なソリューション
近年増加傾向にある一人暮らしの高齢者をどのように見守っていくかは、日本が抱える社会課題の一つ。そのソリューションとして期待されているのが、志幸技研工業株式会社の「ネットミルHEMSコントローラー」だ。スマートメーターと連携して家庭の消費電力を可視化・最適制御するHEMS(Home Energy Management System)機器の一種で、設置した家の1分ごとの電力使用状況を分析した結果を、事前に登録してある関係者に毎日の「お元気通知メール」で知らせるほか、異常があればアラートが通知される。
異常時だけでなく日常の見守りが可能
スマートメーターが取得したデータの通信経路には、電力会社が利用するAルートのほかに、電力の契約者やサービス事業者などが利用するBルート※があるが、同製品にはBルートに対応した通信機器が内蔵されているため、Bルートサービスの電波が届く範囲であれば家の中のどこにでも設置できる。電話回線やネット回線も使用しないため工事は不要。電力会社にBルートサービスを申請後、同社より発送された製品を設置するだけでサービスの利用が可能になる。
同製品は、次世代無線通信規格「Wi-SUN」経由で取得した電力使用量データを内臓の4GLTEでクラウドサーバへ送信し、電力使用状況を高度なアルゴリズムで分析した結果を見守る側に通知するという仕組みだ。異常発生時だけでなく、日常を見守るという点が差別化ポイントとなっている。
従来品の有線タイプから無線タイプの同製品に改良するにあたっては、新たなソフトウェアを開発し、全国の電力会社が設置するスマートメーターからデータを取得できる「ECHONET Lite規格」と「ECHONET Lite AIF」の認証も取得した。
※スマートメーターと近隣の建物内に設置された機器を結ぶ通信経路。電力の契約者などが各種サービスを使用する際に活用する
災害・安全対策などにも広がる用途
同製品は、荒川区が2014年に高齢者の見守りシステムとして採用して以来、着々と普及しており、納入実績はすでに1000件を突破。今後は他の自治体や電力会社、不動産管理会社、介護施設など幅広い分野への展開を見据えるほか、見守り以外の活用法として停電情報の把握や在・不在確認、留守宅監視といった災害・安全対策ニーズへの展開も検討しているという。
社会課題ソリューションとして極めて高いポテンシャルを秘めた同製品は、活用方法次第でさらなる新価値の創造が期待できそうだ。
取材日:2020年2月3日
企業データ
- 企業名
- 志幸技研工業株式会社
1992年設立。特殊技術を要する地中送電設備の工事・保守・点検業務を中心に官公庁発注の電気・管・電気通信工事、ビル内の各種測定サービスとしての環境測定事業を展開。2011年にスタートさせた高齢者見守りに貢献する製品事業が好調ななか、鉄道のホームドア工事等、ライフラインの安全・安心を提供する事業も拡大している。