いよいよ本番、働き方改革
タイムマネジメントが生んだ好循環「サポート行政書士法人」
2020年 3月 18日
サポート行政書士法人は、大阪で損害保険代理店業を営んでいた鈴木徹司氏が、資格を取って2001年に立ち上げた個人事務所を起源とする行政書士事務所だ。08年の法人化に伴い東京(当時 恵比寿)に本社を構え、大阪の損保代理店を支社に変えて事業を本格的に開始した。以来、生産性向上を実現する働き方改革を意識した鈴木代表の経営手腕で業績を伸ばしている。
鈴木代表は、残業を1時間に収めて午後7時には帰宅を促す「リミット7」をキーワードに掲げ、社員を長時間勤務から解放しようと工夫している。従業員には、生産性の期待できない無駄な作業の極少化を重視したタイムマネジメントを求めている。
具体的には、各従業員の業績を勤務時間で割って単位時間当たりの売り上げなどを数値化し、生産性を表す指標として提示。この数値で短時間勤務でも高い生産性を発揮しているケースと長時間勤務でも生産性が上がっていないケースを判別し、従業員の生産効率を高めたうえで勤務時間を短縮する方向に導いている。
従業員は業務の予定と結果を提出することになっているため、この指標と組み合わせることによって、何が無駄な作業だったかを理解させて、勤務時間の短縮を求める形だ。鈴木代表曰く「従業員自身による業務の仕分け」だ。
同社は、顧客が順次求めてくる多様な調査業務にもできる限り追加料金を請求することなく応じているが、タイムマネジメントの効果で、追加された業務に長時間を費やさなければならないケースや有料で受けるべき業務に無料で応じるなどの過剰なサービスがなくなったという。
業務単価上げる生産性向上策
鈴木代表は「当社にとって生産性向上とは業務単価を上げること。勤務時間の短縮をはじめとする働き方改革は、これを実現するための手段だ。生産性向上という概念を成果に結びつけることを要請する前は、業務単価を下げることで顧客を獲得しようとする従業員が多かったが、今は単価を引き上げるために顧客満足を提供するように変わってきた」と働き方改革が会社全体に好循環をもたらしていることを認めている。
復職環境提供する時短勤務制度
同社の従業員は過半数を女性が占めており、仕事と家庭の両立を求める声があることなどから、職場環境の改善にも着手している。昨年7月末には子どもの学校行事に参加するための休暇制度と、育児などを理由に退職した従業員に復職環境を提供する制度を導入した。
「従業員は、基本的に復職を願っている。蓄積してきた専門知識や経験値を流出させてしまっては会社の損失につながる」という鈴木代表は、ワークライフバランスの観点からも、とりわけ産休・育休明けの環境整備に注力している。
「在宅で2~3時間の時短勤務など希望や状況に応じた復職環境を提供して、それぞれに専門性を発揮してもらっている。給与も休職前の8時間を分母にして勤務時間分を支給しているから会社にとっても不都合はない」と話す。
「働き方改革には強いられて取り組むより、業務全体の好循環を生むきっかけと捉えるべきだろう。奏功すれば、会社と従業員でウイン・ウインの関係が成り立つはず。企業体質の改善や財務基盤の強化などの効果も期待できる」と法制化を好感している。
改革に取り組むようになってからは利益率が上がって、設立当初は困難だった従業員の昇給も実現できているという。鈴木代表は、中小企業に適用できる共通の改革モデルを取引先などの異業種間で模索し、改革手法をより深く探求していく構えだ。
企業データ
- 企業名
- サポート行政書士法人
- Webサイト
- 設立
- 2008年7月23日
- 従業員数
- 80人
- 代表者
- 鈴木 徹司 氏
- 所在地
- 東京都新宿区西新宿2-3-1 新宿モノリス2F
- Tel
- 03-5325-1355
- 事業内容
- 各種許認可、法人・組合設立、ビザ・帰化申請手続きなど
- 創業
- 2001年12月3日