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「シーエステック(神戸市)」伸びる医療市場にマイクロ流路チップで参入
この記事の内容
- 医療産業都市・神戸にR&D拠点を開設
- テープ・フィルムの加工技術を創薬、検査、分析に生かす
- ブランドやイメージ高まり、好循環生まれる
さまざまな産業分野で使われるテープ、フィルムやトレーなどの加工・製造販売を幅広く手がけているのがシーエステック。「2000年ごろのガラケー全盛の時代は次々と市場が取れた」(谷口義隆社長)というように、製品の流行り廃りと密接に関わるのが同社事業の特徴だ。今、医療関連を重点領域と捉え、神戸健康産業間発センター(HI-DEC)に設けたR&Dセンターで、メディカル新製品/新サービスの開発・実用化に余念がない。
携帯電話、ゲーム機、リチウムイオン電池、各種家電・精密機器、車載機器…。同社製品群の守備範囲は広く、また、その市場環境はダイナミックに変わっていく。そのため、市場や顧客ニーズの行方を見通して、迅速かつ的確に変化に対応することがビジネス成功の鍵となる。
テープの代理店に勤めた後、1999年に独立・起業した谷口社長は、サラリーマン時代に、顧客への迅速な対応がいかに大切か、身を持って知り、その思いを新会社の社名に込める。シーエスのシーはChallengeのC、エスはSpeedのS。何事にも挑戦し、スピード感あふれる事業を遂行するとの意図を表した。
市場をウォッチし、変化を予測する中で浮上したのが医療分野だ。同社が得意とする両面テープ・フィルムの加工技術を生かすことができ、市場は持続的な伸びが見込める。谷口社長が医療への関心を高めている折、たまたまひょんなきっかけからHI-DECを知り、同施設内に研究開発の拠点を開設する。2014年のことだ。
同社ではこの神戸R&Dセンターで、医薬品開発などでの用途拡大が予想されるマイクロ流路チップの研究開発に着手し、成果を収めている。マイクロ流路チップとは、プラスチック製のフィルム・薄板などに微細加工を施し、微小流路や反応容器を形成して、バイオやケミカルの基礎・応用研究に役立てるもの。創薬、DNA検査、生体物質分析、有機合成をはじめ、多方面で活用できる。
一連の研究開発のため、特殊なレーザー加工機を導入した。UV(紫外線)系の特殊レーザーにより、他社では困難な超微細加工が可能になったという。谷口社長は「バイオ関連の企業などに提案型の営業を行い、初期の段階からの共同開発を進めたりしている。初期段階から協力することで、将来、量産段階に移行した際の大口の受注も期待できる」と先々を見通している。
HI-DECが位置する神戸ポートアイランドには、先端医療技術の研究開発拠点が集積し、医療産業都市・神戸のメッカともなっている。その地にR&Dセンターを構えたことは、会社のブランディングやイメージアップの面でも大いに寄与している。同社ではホームページによるセールスに力を入れているが「センター開設を機に、メディカル系の企業や研究機関からのアクセスが増加している」(谷口社長)。
また、神戸医療産業都市に進出している、大手からベンチャーまで国内外、大小さまざまな企業や、大学・研究機関との交流から、多くの気付きやヒントを得てきている。こうしたことから「医療関連の売り上げは、まだ全体の10%いくかどうかだが、伸び率は200%と高い」(同)といった状況にあり、近い将来、医療分野が同社の主戦場となりそうだ。
同社は10年以上前に中国やフィリピンに拠点を設けるなど、早くからグローバル展開に力を入れている。フィリピンではメディカル系の事業も手がけているという。神戸R&Dセンター発の成果物が、世界各国の市場を開拓する日も遠くない。
企業データ
- 企業名
- シーエステック
- Webサイト
- 設立
- 1999年10月
- 資本金
- 1000万円
- 従業員数
- 22人
- 代表者
- 谷口義隆
- Tel
- 072・662・9191
- 事業内容
- テープ・フィルムの受託加工/アッセンブル、工業用部品トレーの製造販売、医療関連器具の開発・販売
- 所在地
- 本社所在地:大阪府高槻市大手町3-60
神戸R&Dセンター所在地:神戸市中央区港島南町6-7-4(HI-DEC102)