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加工機上でワーク測定が可能。自動化装置への応用にも期待【株式会社熊本精研工業】
2020年 4月 2日
製品名=機上測定機「NK-2000」
加工機上でワークを計測し、ロスを低減
従来、各種加工機によって加工されたワークの寸法等が正確であるかは、加工機とは別の測定機に移して測定していた。しかし、この方法では加工ミスが判明した際、ワークを加工機にセットし直すことは困難で、最悪の場合NGとなるケースもあった。
株式会社熊本精研工業の機上測定機「NK-2000」なら、加工機にセットされた状態のワークを高精度に計測できるため、加工現場で頻発するロスの解消が期待できる。マシニングセンタや形彫り放電加工機、ワイヤ放電加工機、平面研削盤などへ展開でき、カスタマイズにも対応可能。また、オプションとして用意された「座標取り込みソフト」と「CAD取り込みソフト」を加えれば、加工機メーカーが示す正確な機械座標がワンタッチで取り込める上、機上でCADデータとの比較計測をすることもできる。
マイクロオーダーの高精度な計測を実現
同製品は、ワークを撮像するカメラと、ワークのエッジを検出処理・演算するソフトをインストールしたPCおよびインターフェースで構成される。測定時には、PC上に表示した1μm(0.001mm)の電子ラインと、カメラで撮影したワークのエッジを比較。九州工業大学との共同で開発したこの測定技術により、マイクロオーダーという高精度な測定を実現しただけでなく、オペレータの力量による計測精度のばらつきもなくなった。
導入の際は、同社の計測用ステージによるデモのほか、実際に同製品の活用を検討している加工機を使ったデモを行うこともできる。
近い将来の自動加工・自動計測を見据えて
販売開始からこれまでの約3年間での導入実績は100台超。導入先はほとんどが金型製造業者で、企業によってはワークの加工後だけでなく加工前を計測するなど、さまざまな形で活用されているという。ある加工機メーカーからはタイアップ依頼があり、同製品を自動加工に展開する開発も進められている。
精密加工業界では、自動加工・自動計測に対する要望は今後ますます高まっていくことが予想される。そんな時代の流れをアシストできる同製品や同社の技術の注目度が高まっていくことも、非常に確度の高い未来予想の一つと言えるだろう。
取材日:2020年2月5日
企業データ
- 企業名
- 株式会社熊本精研工業
1976年福岡県で設立。以来、「精密加工分野において安心を提供する」という企業理念のもと、高精度部品やその加工技術の提供を続ける。「総合メタルエンジニアリング企業」を目指して、多様化・高度化するニーズにも対応できる体制と、時代の要請を満たす技術革新を追求。本年2月に同県糸島市の新工場に移転。