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「南部」グローバルニッチトップ企業の成長戦略
優れた技術力をもちニッチな製品を開発製造するオンリーワン企業が、日本の中小企業には多い。ただ、国内市場の規模は小さい。その中でグローバル展開により企業の成長戦略を描く注目企業がある。横浜市に本社を置く南武は、自動車業界向け部品製造で役立つ独自の金型用油圧シリンダーを海外に展開し、着実な成長戦略を進めている。
同社は、金型用油圧シリンダーと鋼板巻き取り機用ロータリージョイントの設計、製造、販売を手掛ける中小企業だ。ニッチ分野に特化した経営戦略とグローバル展開が評価され、2014年3月に経済産業省の「グローバルニッチトップ企業100選」に認定された。現状の技術、製品に拘らず、新技術の開発にも余念がない。顧客の問題解決に向けた提案型企業を目指して製品開発に力を入れている。
自動車部品などの鍛造品は、金属に圧力を加えて製造される。この時に一定の形にするのが金型だが、これを押し出す金型用油圧シリンダーは、作業時の高温による影響を受けやすく油圧シリンダー内のパッキン劣化や油漏れ冷却装置など設備が必要になるなどの課題があった。
これを解決したのが、通称「AOCシリンダー」と呼ばれる新型油圧シリンダー(写真)で、ピストンが作動する度にシリンダー内の油圧系統を作動油が循環するので、冷却効果が高く、大がかりな水冷設備が不要になる。2014年10月の投入以来、顧客から高い評価を受けており引き合いも多い。国内シェアは80%を誇る製品になっている。
グローバル化は2002年にタイ、2010年には中国に工場を設置した。今後は国内工場が「マザー工場」となり海外工場に生産技術などを提供することで、技術指導料を得るスキームを確立していく方針だ。
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