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小野精工
レーザー光で獣害対策
今年で創業70年を迎えた小野精工は、精密部品加工、プレス加工などを手がける。過去に、薄型カセットコンロ「味好(みよし)」でグッドデザイン賞(1993年)も受賞している。コンロは工業高校の教科書にも掲載され、他社にも影響を与えた。「時代が変わっても、モノづくりの本質は変わらない」と小野和宏社長。技術力を生かして新たな挑戦を始めている。
- モノづくりにかける熱意
- 時代に合わせた仕事
- 世の中に柔軟に対応
害獣撃退装置「逃げまるくん」
「困っている農家を助けたいと思った」と小野宏明会長。近年、害獣による農作物の被害が拡大している。農林水産省によると、全国での被害額は毎年約200億円にのぼる。電気柵や檻などで対応していたが安全性の問題もあって、効果も限られていた。対応に苦慮する農家の救世主になるかもしれないのが、同社の害獣撃退装置「逃げまるくん」だ。
装置から強力なレーザー光を発することで、イノシシなどを追い払う。目を保護しようとする獣の習性を利用したもの。照射できる範囲は約50メートルで、角度は70~80度。直接照射口をのぞき込まない限り、人には無害だ。
付属のソーラーパネルで充電し、リチウムイオンバッテリーに蓄電できるため、電源のない畑などでも設置できる。曇りの日も充電できて、全く充電されない状態でも1週間は稼働可能。レーザーの色は、昼間は緑、夜間は赤と、時間帯に合わせて動物の嫌がる色に切り替わる。
今年度内にも発売
「装置のアイデアは、金属加工などで使用するレーザー装置を見て思いついた」(小野会長)。2014年に開発を始め、数台の試作機を経て特許を取得。16年4月に商品発表会を開いた。青森、山形、宮城など13件の農家を対象にモニター試験も実施した。結果、85%の農家で効果が認められた。
宮城県内で果樹園を営むモニターは「装置を設置した日からイノシシが来なくなった」と語る。今後は鳥類や熊などさまざまな動物にも効果があるかを実証し、装置の有効対象を拡大していく。首振り機能などを追加し、レーザーの適用範囲を広げたモデルも開発する考えだ。装置は今年度内の発売を予定し、価格は約45万円を想定する。
農家以外からも問い合わせ
ゴルフ場やJR、JAXAからも「逃げまるくん」に関する問い合わせがきている。目的は、芝生の保護や列車事故防止、歩行者保護などさまざま。「農家以外からの問い合わせは予想外だった」と小野会長。ちなみに「逃げまるくん」の商品名は、小野会長のアイデア。“まる”はイノシシをイメージしているらしい。
企業データ
- 企業名
- 小野精工株式会社
- Webサイト
- 法人番号
- 4370801000348
- 代表者
- 小野和宏社長
- 所在地
- 宮城県岩沼市相の原3-4-9
- 事業内容
- 金属プレス加工・金型製作、治工具製作、精密部品加工