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保冷性能を高め、ドライアイスの使用量と輸送コストを削減【ワコン株式会社】
2020年 4月 9日
製品名=折り畳み保冷コンテナ「クールワン」
ドライアイスの量を従来の半分にできる、折り畳み保冷コンテナ
株式会社ワコンの折り畳み保冷コンテナ「クールワン」は、従来品に比べ高い保冷性能を有する製品だ。同製品を使用した場合、外気温35℃の環境下において、マイナス10℃を10時間以上保つために必要なドライアイスの量は0.7kg。従来品の必要量2.0kgと比較して1.3kgもの削減につながり、流通コストの大幅縮減に貢献する。重量4kg、容量37Lの本体はプラスチック製で、まるごと水洗いができ、食品や医薬品など衛生面に配慮する必要のある物品の輸送にも適している。本体は素早く簡単に折り畳むことができ、段積みで保管することも可能だ。
設備の老朽化、原料調達難を背景とするドライアイスの供給量不足という近年の懸念もあり、要冷蔵要冷凍食品の輸送を数多く手掛ける食品物流業者などにとっては、インパクトの大きい製品になり得るだろう。
壁面内部のウレタンと気密性の高い構造で保冷性能がUP
高い保冷性能は、壁面内部に注入したウレタンと、気密性を高めた構造により実現。保冷性能を高めるためには壁の厚みを一定以上にする必要があるが、一般的な折り畳みコンテナでは折れ曲がるヒンジ部分がどうしても肉薄となり、そこから冷気が逃げてしまうという課題があった。同製品は、この課題をパーツの形状や折り畳み機構の設計の工夫などで解消。ヒンジ部分を含む壁面の厚みをできる限り均一に近づけることで、冷気を逃さない折りたたみコンテナを実現している。
本格導入の前に再現実験やサンプル品などで効果を体感
導入に際しては、まず冷凍や冷蔵、輸送時間といった個別のニーズをヒアリングし、それに合わせた同製品と保冷材の組み合わせを提案。さらに、同社の環境試験室での再現実験と、サンプル品の貸与による実際の輸送シーンでの試用で、問題がなければ本格導入という流れになる。すでに導入に向けたステップを踏んでいる複数の食品卸や外食産業からは、保冷性能や使いやすさの面で高い評価を受けているという。
同社によると、現在幅広く活用されている銀色の保冷ボックスは、30年以上形状と構造が変わらないままだという。多様化するニーズにあわせて、いろいろなツールが最適化されていく時代。「保冷に関連する事業を展開する企業向けに、これからも保冷輸送市場に貢献できる新商品を開発していきたい」とする同社の動向に注目する必要がありそうだ。
取材日:2020年1月30日
企業データ
- 企業名
- ワコン株式会社
1972年和歌山県紀の川市で設立。「BASE(ダンボールなど)事業」「COOL(保冷箱など)事業」「パックプロ(輸出梱包サービス)事業」の三つの事業領域を展開。COOL事業では、「クールワン」を始め、「クリーンで衛生的な物流機器」「貨物に最適な温度での定温輸送システム」などを実現するオリジナル製品群を提供。