中小企業NEWS特集記事
「HEROZ(東京都港区)」AI革命で未来を創る
この記事の内容
- HEROZは、AIを駆使し新時代の創造を目指すベンチャー企業
- 目指すのは「人間的な知能を備えた人工物」を創り出すこと
- 今後、各産業分野でAI革命を進行させる取り組みを行う
今年5月、コンピューター将棋ソフトがプロ棋士を破り、AI(人工知能)対プロ棋士による対戦「電王戦」は、AIが圧倒的な強さを示して閉幕した。将棋ソフト「Ponanza」開発者でHEROZ(東京都港区)のリードエンジニア山本一成氏は「膨大なデータを記憶し、深層学習で人の直感を獲得したAIは、私自身が驚くほどの進化を遂げている。次の一手を考える思考力は人間だけのものではなくなった」と語る。
コンピューターは人を超えてしまうのだろうか。AIの進化を不安視する風潮は根強いが、時代の変化には常にチャンスがあることは歴史が証明している事実。AIをどのように取り込んでいくのか、いち早い対応こそが将来の事業拡大を左右するはずだ。
人工知能関連技術を活かし、将棋、チェスなどのストラテジーゲームで世界に展開するHEROZは、人間には解決できなかった問題に挑戦し、新時代の創造を目指すベンチャー企業だ。「AIが急速に進化を遂げたのは、ここ2年ぐらい。膨大な電力消費を伴うがハード環境が整い、学習するデータがそろってきたことが要因だ」と林隆弘代表取締役は説明する。
IoT(モノのインターネット)が進みデータが蓄積されていく。さらにスマートフォンから膨大なデータが集まる。これを活用できるのはAIしかない。プロ棋士に勝つ腕前だけでなくAIが注目されるのも当然のことだ。
林氏はAIについて明確な定義付けはできないとする。その上で目指すのは「人間的な知能を備えた人工物」を創り出すことだという。それはAIだけが進化しても成しえない。「データ、ロボット、法整備(倫理観)などがセットになり、社会に受け入れられて発展していく。乗り越えるべき課題はまだ多くある」と話す。
課題を自動運転技術でみると、運転の一部を補完するのか、全自動なのか。万が一の責任は運転手、自動車メーカー、AI開発メーカーの誰が負うことになるのかなど。このような議論が実用化とともに本格化する。社会的に浸透していくことで、AIがもたらす無限の可能性が浮き彫りになり、課題も鮮明化することになる。無敵となった将棋プログラムは、その先駆けと位置づけられるのだろう。
このような流れを見込みながらHEROZは、製造、金融、運輸、医療など各産業分野でのAI革命を進行させる取り組みを行っている。同社のプラットホームを活用することで、生産現場で不良品の原因解明ができ、ソフト業界ではシステム検証を自動化しIT人材の不足に対応する。課題を乗り越えながら多様な分野でAIが活躍する時代が到来するのは時代の流れ。
AIは、一般事務も含め仕事のやり方を大きく変化させ、正確性と効率化を格段に向上させていく。生産性は大きく向上する。現在は研究者レベルでしか取り扱えない存在だが、今後の普及により誰でも使えるツールとなることとは間違いない。
「アートな分野以外はAIが導入され、いずれ身近な存在になると考えている。それまでは、世間が驚く技術を提供していく」と林氏は目を輝かせる。
企業データ
- 企業名
- HEROZ
- Webサイト
- 設立
- 2009年4月
- 従業員数
- 80人
- 代表者
- 林隆弘氏
- 所在地
- 東京都港区芝5-31-17
- Tel
- 03-6435-2435
- 事業内容
- AIを活用したインターネットサービスの企画・開発・運営
プロフィール
林隆弘 (はやし たかひろ)
早稲田大学卒業
1999年4月日本電気株式会社(NEC)入社IT戦略部、経営企画部に在籍
2009年4月HEROZ設立 代表取締役に就任