業種別開業ガイド
介護保険の事業者指定/訪問看護
1.指定居宅サービス事業者の要件
介護保険の居宅サービスを提供しようとする場合、事業者は都道府県知事の指定を受ける必要がある。
この指定を受けるための申請はサービスの種類ごと及び事業所ごとに行なう。
<要件>
A.申請者は法人であること(*)
B.事業所の従業員の知識・技能・人員が、厚生労働省令で定める基準・員数を満たしていること
C.設備及び運営に関する基準にしたがって適正な運営を行うこと
これらは、指定居宅サービス事業者になるための共通の要件であるが、B及びCについてはサービスの種類ごとに具体的に定められている。
(*)個人による経営が認められている病院・診療所により行われる訪問看護、居宅療養管理指導、訪問リハビリテーション、通所リハビリテーション、短期入所療養介護、薬局により行われる居宅療養管理指導については法人である必要はない。
2.訪問介護事業者の基準
1)人員に関する基準
● 看護職員(看護師等)の員数
<訪問看護ステーション(病院または診療所以外の指定訪問看護事業所)の場合>
事業所ごとに配置すべき看護職員(*1)の員数は、常勤換算方法(*2)で2.5人以上とする。
看護職員のうち1人は、常勤でなければならない。
事業所の実情に応じた適当数の専門家(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)を配置することが望ましい。
<病院又は診療所の場合>
事業所ごとに、指定訪問看護の提供に当たる看護職員を適当数配置しなければならない。
● 訪問看護ステーションの管理者
指定訪問看護ステーションごとに専らその職務に従事する常勤の管理者を配置しなければならない。ただし、指定訪問看護ステーションの管理上支障がない場合は、当該指定訪問看護ステーションの他の職務に従事し、または同一敷地内にある他の事業所、施設等の職務に従事することができるものとする。
指定訪問看護ステーションの管理者は、保健師、または看護師でなければならない。ただし、やむを得ない理由がある場合は、この限りでない。
指定訪問看護ステーションの管理者は、適切な指定訪問看護を行なうために必要な知識および技能を有する者でなければならない。
(*1)看護職員
保健師、看護師、准看護師
(*2)常勤換算方法
当該事業所の従業者の勤務延時間数を、常勤従業者が勤務すべき時間数(32時間を下回る場合は32時間を基本とする)で除して、 常勤従業者の員数に換算する方法
2)設備に関する基準
● 設備および備品等
<訪問看護ステーションの場合>
事業の運営を行なうために必要な広さを有する専用の事務室を設けるほか、指定訪問看護の提供に必要な設備また備品等を備えなければならない。ただし、当該指定訪問看護ステーションの同一敷地内に他の事業所、施設等がある場合は、事業の運営を行なうために必要な広さを有する専用の区画を設けることで足りるものとする。
<病院または診療所の場合>
事業の運営を行なうために必要な広さを有する専ら指定訪問看護の事業の用に供する区画を確保するとともに、指定訪問看護の提供 に必要な設備および備品等を備えなければならない。
3)運営に関する基準
● 運営規程
指定通所リハビリテーション事業者は事業所ごとに、次に掲げる事業の運営についての重要事項に関する運営規程を定めておかなければならない。
事業の目的および運営の方針
従業者の職種、員数および職務の内容
営業日および営業時間
指定訪問介護の内容及び利用料その他の費用の額
通常の事業の実施地域
緊急時等における対応方法
その他運営に関する重要事項
指定訪問看護は、利用者の要介護状態の軽減もしくは悪化の防止または要介護状態となることの予防に資するよう、療養上の目標を設定し、計画的に行なわれなければならない。
指定訪問看護事業者は、自らその提供する指定訪問看護の質の評価を行ない、つねにその改善を図らなければならない。
● 指定訪問看護の具体的取扱方針
看護師等の行なう指定訪問看護の方針は、次に掲げるところによるものとする。
指定訪問看護の提供に当たっては、主治の医師との密接な連携および訪問看護計画に基づき、利用者の心身の機能の維持回復を図るように行なう。
指定訪問看護の提供に当たっては、懇切丁寧に行なうことを旨とし、利用者またはその家族に対し、療養上必要な事項について、理解しやすいように指導または説明を行なう。
指定訪問看護の提供に当たっては、医学の進歩に対応し、適切な看護技術をもって、これを行なう。
指定訪問看護の提供に当たっては、つねに利用者の病状、心身の状況およびその置かれている環境の的確な把握に努め、利用者またはその家族に対し、適切な指導を行なう。
特殊な看護等については、これを行なってはならない。
● 訪問看護計画書および訪問看護報告書の作成
看護師等(准看護師を除く)は、利用者の希望、主治の医師の指示および心身の状況等を踏まえて、療養上の目標、当該目標を達成するための具体的なサービスの内容等を記載した訪問看護計画書を作成しなければならない。
看護師等は、すでに居宅サービス計画等が作成されている場合は、当該計画の内容に沿って訪問看護計画書を作成しなければならない。
看護師等は、作成した訪問看護計画書の主要な事項について、利用者またはその家族に説明しなければならない。
看護師等は、訪問日、提供した看護内容等を記載した訪問看護報告書を作成しなければならない。
指定訪問看護事業所の管理者は、訪問看護計画書および訪問看護報告書の作成に関し必要な指導および管理を行なわなければならない。
3.申請時に必要な書類
●指定申請書
●付表3-1(訪問看護事業者の指定に係る記載事項)
3-2(訪問看護事業を事業所の所在地以外の場所で一部実施する場合の記載事項)
指定の審査を迅速かつ効率的に行なうための書類で、サービスの種類ごとに用紙が異なる
●添付書類
申請者の定款、寄付行為等およびその登記謄本または条例等(法人以外の者が開設する病院・診療所は除く)
病院の使用許可証、診療所の使用許可証または届書等の写し(*1)
従業者の勤務体制および勤務形態一覧表(*2)
管理者の経歴書
管理者の免許証の写し(訪問看護ステーションの場合)(*3)
事業所の平面図
運営規程
利用者からの苦情を処理するために講ずる措置の概要
当該事業に係る資産の状況(訪問看護ステーションの場合)(*4)
当該事業所の所在地以外の場所で、当該事業所の一部として使用される事務所の名称、所在地およびその概要等(*5)
(*1)病院の使用許可証、診療所の使用許可証または届書等の写し
病院または診療所の場合に添付
これを添付した場合は、「管理者の免許証写し」および「当該事業に係る資産の状況」を添付する必要なし
(*2)従業者の勤務体制および勤務形態一覧表
管理者および従業者全員の毎日の勤務すべき時間数(4週間分)
職種の分類は、管理者、看護職員、理学療法士、作業療法士、その他
資格が必要な職種は、資格証等の写しを添付
(*3)管理者の免許証の写し(訪問看護ステーションの場合)
管訪問看護ステーションの管理者の免許証(看護師または保健師)の写し
(*4)当該事業に係る資産の状況
資産の目録
当該年度の事業計画書および収支予算書
損害賠償が発生したときに対応が可能であることがわかる書類(損害保険証書の写し等)
(*5)該当する事業所がある場合のみ添付
4.介護保険法改正による業務管理体制整備の義務化について
2008年の介護保険法改正により、2009年5月1日から、介護サービス事業者には、法令遵守等の業務管理体制を整備することが義務付けられた。介護サービス事業者が整備すべき業務管理体制は、(指定又は許可を受けている)事業所数(施設数)に応じ定められている。
<義務化された業務管理体制整備の内容>
指定又は許可を受けている事業所数や施設数が20未満の場合、「法令遵守責任者の選任」が義務化される。
指定又は許可を受けている事業所数や施設数が20以上100未満の場合、「法令遵守責任者の選任」「法令遵守規則の整備」が義務化される。
指定又は許可を受けている事業所数や施設数が100以上の場合、「法令遵守責任者の選任」「法令遵守規則の整備」「業務執行の状況の監査」が義務化される。
<業務管理体制の整備に関する事項を記載した届出>
届出先は、事業所等の所在地によって決まる。(主たる事務所の所在地ではない。)
(1)事業所等が2以上の都道府県に所在する事業者
事業所等が3以上の地方厚生局管轄区域に所在する場合は、厚生労働大臣へ届け出る。
上記以外の場合は、地方厚生局長へ届け出る。
(2)地域密着型(介護予防)サービス事業のみを行う事業者であり、全事業所が同一市町村内に所在する場合は、市町村長へ届け出る。
(3)上記(1)(2)以外の場合は、都道府県知事へ届け出る。
諸手続きに関しては、管轄の介護保険担当部署に確認をしながら進めていくことが望ましい。
最終内容確認日2014年2月