小売店の店づくりを考える
本レポートは、小売店経営者やこれから小売店を開業しようと考えている方を対象として、取扱商品の特性別に店づくりの留意点を紹介している。
1.最寄り品店の場合
ここでは、食料品や日用品、消耗品、軽衣料などの「最寄り品」を扱う商店の店づくりのための基本チェックポイントを紹介する。
1)立地
- 店舗にあった立地か?
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日常的に使われる商品を扱う店舗の立地は、住宅地近隣が適している。まずは、自店を中心に半径500~1000メートル範囲の世帯数を調査して市場性を確認してみよう。※調査には市区町村役場にある人口や世帯に関する統計資料を活用するといい。
2)店舗環境
- 店舗面積はどの程度必要か?
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最寄り品は商品単価やマージン率が低く回転率が高いため、店舗面積は小さくても成り立つ。※近隣型商店は10~30坪程度の店舗が多い。
- 店舗外観はどうするべきか?
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看板や店舗は清潔に保つこと。季節商品や新商品は店頭陳列などで新鮮さをアピール。
- 店内レイアウトはどうするべきか?
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入口から一筆書きのように一方通行で出口まで導けるワンウェイコントロールができるレイアウトが望ましい。店内のポイントごとに目玉商品などを配するなどの工夫を。
- 陳列はどうするべきか?
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中小店の場合、店頭販売が中心になるため客動線は短くなる。陳列はオープン形式の大量陳列、量感陳列などが基本。
- その他
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照明は明るくして清潔感をアピール。BGMなどにも気を配り、活気のある店づくりを。
3)販売促進・サービス
- 広告宣伝はどうするべきか?
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手配りチラシや折り込み広告、POPなどを活用して店の「利便性」を強調する。
- 店内サービスはどうするべきか?
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接客は明るく、親近感をアピール。食料品店なら調理法のアドバイスを積極的に行うなどして、顧客の商品選びに貢献する。
- 商品保証はどうするべきか?
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常に商品の賞味期限や消費期限に注意を払うなど、品質や鮮度を保証する。
- その他
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ワンストップショッピング(1カ所ですべての買い物を済ませる購買行動)への対応の強化や長時間営業など、地域ニーズに合った営業形態を考える。
4)業務管理
- 仕入管理はどうするべきか?
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日用品は比較的販売予測が立てやすいため、商品ごとに一定の在庫量を決めて管理する「基準在庫リスト法」を採用するといい。
- 在庫管理はどうするべきか?
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食料品は日付管理を徹底。雑貨品などもデッドストックを発生させないよう発注のタイミングに気を配る。
- 顧客管理はどうするべきか?
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まめにチラシを配布するなど、地域を管理する配慮が必要。
2.買回り品店の場合
本章では、衣料品や靴、バッグなどデザインや流行の影響を受ける「買回り品」を扱う小売店の店づくりのための基本チェックポイントを紹介する。
1)立地
- 店舗にあった立地か?
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同一商業地域にファッションやアクセサリーなどの店舗が豊富で、関連購買・比較購買が可能な繁華街やショッピングセンターが理想的。
2)店舗環境
- 店舗面積はどの程度必要か?
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顧客が回遊できる売り場が望ましい。他店との差別化できる演出スペースも必要になる。
- 店舗外観はどうするべきか?
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ショーウインドーに流行商品、季節商品、オリジナル商品などを展示して、テーマ性のある演出を行う。
- 店内レイアウトはどうするべきか?
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顧客の回遊性、滞留性を高められるよう、陳列棚やインテリアなどの配置を工夫する。
- 陳列はどうするべきか?
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婦人衣料、靴、家電製品などは「立体陳列」(商品を垂直に陳列したり、積み上げたりする)、高額でファッション性が高い商品は「展示陳列」が基本。
- その他
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間接照明を用いたり、BGMを工夫するなどして商品に合った雰囲気づくりを心がける。
3)販売促進・サービス
- 広告宣伝はどうするべきか?
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新聞折り込み、DM、看板広告などをうまく使い、商品や自店の特徴をアピールする。
- 店内サービスはどうするべきか?
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販売員は十分な商品知識を備えたうえでコンサルティングセールスを行うことが重要。
- 商品保証はどうするべきか?
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不良品の場合はもちろん、商品が未使用の場合は返品や交換の保証を行なうことが多い。
- その他
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顧客の好みに合った商品が入荷した時などは電話連絡したり、季節ごとにDMを送るなど、きめ細かい対応を心がける。
4)業務管理
- 仕入管理はどうするべきか?
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スタイルやデザインの流行が急に変化する商品は、需要予測に基づいた期間ごとのモデル在庫プランを決めて仕入管理を行う「モデルストックプラン」を使うといい。
- 在庫管理はどうするべきか?
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流行に応じた在庫管理が必要になる。流行遅れの品は値下げしても販売が難しくなるため、商品を見切るタイミングも重要。
- 顧客管理はどうするべきか?
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顧客を確実に固定化できるよう、顧客管理台帳やパソコンによる顧客データベースなどを活用して、きめ細かいフォローを行う。
3.専門品店の場合
本章では、高級時計や宝飾品など、高級感のある「専門品」を扱う小売店の店づくりのための基本チェックポイントを紹介する。
1)立地
- 店舗にあった立地か?
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同一商業地域に店舗が豊富で、関連購買・比較購買が可能な繁華街やショッピングセンターなどが理想的。
2)店舗環境
- 店舗面積はどの程度必要か?
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商品は形が小さく、高額の場合が多いため、売り場面積は比較的小さく済むが、高級感のある演出が必要なため、店舗コストは高くなる。
- 店舗外観はどうするべきか?
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ショーウインドーでは高級感、ファッション性などをアピールし、自店への期待感・信頼感を高められるような演出を。
- 店内レイアウトはどうするべきか?
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回遊性・滞留性が高められるレイアウトを。顧客とゆっくり会話できるスペースも必要。
- 陳列はどうするべきか?
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対面販売が中心で、壁面カウンターのケースに沿って一巡する動線が中心になる。陳列は「立体陳列」「展示陳列」が基本。
- その他
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直接照明・間接照明などをうまく使い、商品の高級感を際だたせることが求められる。
3)販売促進・サービス
- 広告宣伝はどうするべきか?
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DM、新聞広告、雑誌広告、看板広告などをうまく使い、店の信頼性、商品の高級性、アフターサービスの優良性をアピールする。
- 店内サービスはどうするべきか?
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商品の品質、使用法T.P.Oなどをトータルにアドバイスする接客を心がける。
- 商品保証はどうするべきか?
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修理保証・取り換え保証・買い替え保証など長期の保証が必要になる。
4)業務管理
- 仕入管理はどうするべきか?
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流行に左右されやすい商品については「モデルストックプラン」を、定番商品には「基準在庫リスト法」を用いるといい。
- 在庫管理はどうするべきか?
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盗難・紛失の防止など単品管理が重要なポイント。相場変動があるような商品に関しては値動きにも注意を払う。
- 顧客管理はどうするべきか?
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顧客のライフスタイルを考慮してのDMや紹介キャンペーンなどが効果的。
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