飲食店のヒットメニューを作り出す

本レポートは、飲食店経営者の方を対象として、飲食店におけるヒットメニューを開発する際のポイントを紹介している。

1. 飲食店の成功にはメニュー開発が不可欠

確かに「素晴らしいデザイン」「客を心地よくさせるサービス」などを売り物に繁盛している店はある。しかしこれだけでは、一時的に話題に上り繁盛店となっているに過ぎず、いずれ閉店を余儀なくされるかもしれない。ではそれ以外に何が必要なのか? それはやはり「おいしい料理」にほかならない。優れたメニュー開発が繁盛店になるための絶対条件なのだ。本レポートを参考に、ヒットメニュー開発に取り組んでみてほしい。

2. 「口コミ」にのる話題メニューを作る

飲食店の売り上げを左右する一番の広告といわれる「口コミ」。では、店のいい評判が、口コミで伝わっていくためにはどうするべきなのか。やはり、初回に来店されたお客様の期待を裏切らない、斬新で、独自性のある、おいしいメニューを用意しておくこと。初回に来店されたお客様がそのメニューに満足すれば、次回も来店しようと思う。そうすると、次は誰かを誘ってみようと思う。口コミとは「私はおいしいお店を知っている」という優越感を満たす行為でもあるのです。 特に現在はインターネットで情報があっという間に広がる時代。話題性の高いメニューを開発しておくことが、どれほどの集客効果につながるか? その可能性をぜひ考慮にいれて経営に臨むべきである。

3. メニュー開発のポイント

1)まずは自店の客の好みを把握する

いくら優れたメニューを開発しても、それが自店のお客様に受け入れられなければ、それはヒットメニューとはなり得ない。「どのような味付けが好まれているか」「どのような食材が好まれているか」「どの程度のボリュームを要求しているか」など、まずは既存顧客の好みを把握すること。

2)メニューの開発

ゼロからメニューを考えたのでは、「売れる」メニュー開発はむずかしい。そこでまずは、「他店のメニューを真似る」「それを自店に合ったメニューに仕上げる」ことからはじめてみよう。そのための情報入手の方法としては、実際に他の店へ自分で足を運ぶだけでなく、「雑誌」「テレビ」などのマスメディアからの情報入手も考えられる。以下に、具体的方法を説明しておく。

(1)調味料、香辛料を変える

調味料を変えることによって、和風味のものを洋風味に変えたり、その逆を試したりする。次に、香辛料を変えることによって、香りに変化を付けてみる。香りが変化するだけでも、かなり違ったものができあがるはず。

(2)素材を変える

◆豆腐とカボチャのカレー◆
46種のスパイスと8種のフルーツを使ったルーを、ライスの代わりに下味をつけて焼いた豆腐とカボチャにかける。

(3)調理法のアレンジ

調理法を変えるだけで、同じメニューを全くイメージの異なるメニューへと変化させることもできる。ハンバーグを例にとって検証してみよう。

【調理方法】

【メニュー】

一口大のハンバーグをシチューの中に入れる

一口大ハンバーグのシチュー

一口大のハンバーグをカラ揚げにし、醤油タレで食べる

ハンバーグのカラ揚げ

ハンバーグを焼いてスライスし、上に溶けるチーズをかけて焼く

ハンバーグのチーズ焼き

以上のように、調理法を変えることによって、1つの商品から和風、洋風のメニューを開発することができる。

<たとえばこんなメニュー>

◆昆布と新鮮野菜のサラダ◆
昆布の煮つけとサニーレタスなどの野菜を和風ドレッシングで和える。1皿の量にも変化を加えてみよう。1人分ずつ小皿で出していたものを、すべてまとめて大皿で提供する。こうするだけで、その料理はまったくイメージの異なる別メニューへと変化する。

以上見てきた事例からも分かるように、メニュー開発のもとになるメニューは、同じ業態飲食店のメニューに限らない。和風の新メニュー開発を考える際に参考となるメニューは、和風に限らず、洋風・中華風すべてのメニューが参考となるのだ。したがって、中華料理店オーナーがメニュー情報を入手する際には、和食店や洋食レストランなどの異業種の店を中心に回ることも大切となる。