小売業の集客アップ策
本レポートは、小売店経営者の方を対象として、集客力を向上させるためのさまざまな方法を紹介している。
1. 特売の方法
セールや特売の目的は、主に「客数アップ」「売上増大」だが、ここでは他店との差別化が図れるユニークな施策を紹介しよう。
1)金券による支払いで購買意欲を促進する
プレゼントとしてもらったものの、とかく家庭で眠っていることの多いのが商品券などの金券を支払いに使えるようにして、購入の便宜を図る方法。テレホンカード、切手、はがきなど、未使用の金券を額面と同額の現金と見なして、購入代金の一部にあてることができるという企画。ただし、顧客が持ち込んだ金券はその後換金することを考え、未使用のものに限定すること。
2)時間差バーゲン
(1)夜間のバーゲン
「夜間のタイムバーゲン」を企画して、夜でなければ買い物に来られない学生やOL、サラリーマンを客として取り込む。 この企画の特徴は、次とおり。
- 夜間の特売は客単価が高くなりやすい
- 売れ筋商品が、昼間の生活必需品から家電や時計、ファッション商品などに変化する
- 閉店1時間前のタイムバーゲンの集客力が最も高い
- 道路が昼間ほど混雑しないため商圏が広がる
(2)早朝バーゲン作戦
自店が通勤・通学路、駅周辺などにある店舗に適した企画。あまり手荷物にならない商品を揃えたり、引換券を用意して品物を預かったりするなどの配慮を忘れずに
3)思い切った商品選定と値決めによる集客
主婦のパートに「欲しい商品を選んで、買いたくなる値段を付けてくれないか」と、セール商品の選定と値付けを任せる企画。パートには原価を知らせず、消費者の視点で、自分が欲しいと思う商品に買いたいと思う値段を付けてもらうことがポイント。店主にとっては冷や汗ものだが、歳末商戦など「ここぞ」という時にはこれくらい思い切った方法をとることも検討しよう。セール用のチラシには、「私たちが主婦の目で欲しい商品を集め値段を付けました。店長さんごめんなさい」といったコメントを入れるなど、ユーモアのあるものにすると一層効果的。
2. 商品・価格設定の方法
品揃えと価格は自店の顧客への主張であり、商人としての腕の見せどころ。
何を、いくらで売るのかを顧客にはっきりとアピールしよう。
1)価格を明確化し信頼を得る
価格には、フェアプライス(妥当価格)、ロープライス(低価格)、オフプライス(割引価格)があるが、単に安いだけでは効果的な集客は見込めない。フェアプライスには「納得できる説明」、ロープライスには「競合店に負けない絶対の安さ」、オフプライスには「その理由」を提示して商品に対する安心感・満足感を与え、顧客からの支持を得る工夫を。
2)価格提示の工夫で値頃感を演出する
最近は単身世帯が増え、家族人員も少なくなっているため、大容量パックよりも少量売りの方が好まれる傾向にある。そこで、少量を50円、100円などの「キッカリ価格」や「1グラム1円」などで値頃感をアピールして、それほど必要でないものもつい買ってしまうように演出する。
3)他店にない一品を用意する
地方で少量生産されている名品や希少な商品を販売し、「贈り物」などのニーズに応える企画。地方の生産者の中には、売上拡大のために販売ルートの拡大を考えているところも多く、相談の余地あり。仕入先探しは、各県の商工連合会や各市町村の商工会議所や商工会に問い合わせるほか、旅行の際にその土地の名産品を見つけるなどの努力も必要。
3. 魅力ある販売促進
接客応対、POP、顧客サービスなど数ある販売促進策の効果を上げるためのポイントは、「常に顧客の立場にたつ」こと。
1)特典サービスの付加による販売促進策
「誕生日のお客様にプレゼント「今年成人式を迎える方は半額サービス」など、対象顧客を絞って特典を用意する企画。たまたま自分が対象になっているサービスを見つけた人は、「このチャンスを逃すと損だ」という気になってしまうもの。一種のお遊びだが、顧客にわざわざ行ってみる気、買ってみる気を起こさせる効果がある。
2)グループ割引による顧客増加策
「夫婦パック」「女友達3人で参加の場合割引」といった旅行パックのグループ割引サービスを応用し、「お友達2人以上でのお買い上げなら10%割引」などのキャンペーンを行う。顧客が友達や家族を誘って一緒に来店してくれれば、当然客数も増え、買い上げ率も高くなるという効果がある。
3)情報提供(DMなど)
DMを出す場合は、全員に何かしらの賞品が当たるようにすること。ただし、全員当選は店サイドの戦略で、顧客には「自分はラッキーだ」という印象を与えることが重要。たとえば、「ハガキ持参者(先着)にはこんな特典がある」というようにする。また、メールやFAXを使えば、DMにかかる印刷費や郵送費を削減することができる。
4)POP(Point of Purchase)の有効活用
POPは販売員の代わりに顧客に接する「影の販売員」と考え、「ハートのこもったPOP」で顧客の購買意欲を高めるための工夫を。
POPを利用する際のポイントは、以下のとおり
- ゴンドラごとに1~2枚のスポッター(商品に付ける宣伝文句を付けた紙)を付ける
- インパクトのあるセリフを加える
- 床面はPOPを付けるのに最適な場所。階段の蹴り上げ部分や踊り場も有効
- 商品を生かすPOPをつくる。そのためには、シンプルなカラー、商品に合わせたサイズ、箇条書きなどで読みやすいPOPにする
4. 店づくり・売り場改善
店は小売店経営者にとっては城であり、自店を主張する場。売り場は顧客との交流の場として考え、常にベストな状態を心がけるべき。また、店頭はできるだけ明るくして、入りやすい雰囲気づくりを。
1)模様替えによる売り場リフレッシュ
常に、顧客が「新しい商品はないか」「いいものがあるかもしれない」という期待感を持って来店できるよう、定期的に商品の置き場所を変えたり、レイアウトを変えたりして、飽きのこない店づくりを心がけること。
2)買い物情報の提供
どれがベストな商品かなかなか判断できない顧客のために、「売れ筋情報」などのボードを置いて販売に役立てる工夫を。
効果的な情報は、次とおり。
- 売れゆきベストテン(今週の販売ランキング)
- 売れている理由(機能性、デザインなど)
- 商品の特徴(操作がしやすい、機能的など)
- 購入者特性(主婦、比較的若い方、専門家など)
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