起業マニュアル
店舗物件の選び方
物件探しは、面積、立地、賃料、設備の面から検討しましょう。店舗コンセプトに合った物件を選ぶことが重要です。店は簡単に移転できませんので、物件選びは慎重に行いましょう。
店舗コンセプトの明確化
まず店舗コンセプトを明確にしましょう。店舗コンセプトとは、どんなお客様に何の商品・サービスをどのように提供するか、をまとめたものです。
ターゲットとする客層や商品・サービス、店の雰囲気によって、適した店舗物件は異なります。
不動産業者に店舗探しを依頼するときにも、店舗コンセプト、イメージをきちんと示しておけば、適した物件を紹介してもらいやすくなります。
店舗探しのポイント
1.面積
小売店であれば品揃えや在庫量、飲食店であれば座席数や厨房の面積を考えます。店舗面積が広ければ売上は上がりますが、賃料は高く、従業員数も必要になります。
2.立地
立地とは簡単に言えば、お客様が来てくれそうな度合いの条件のことです。よく「駅前一等立地」などという言い方をしますが、たくさんの人が集まる立地は来店確率が高まります。
<立地のチェックポイント>
- 最寄駅からの距離
- 大通りに面しているか
- 駐車場の広さ
- 平日、休日、昼や夜の通行量
- 階数(1階は2階や地下に比べて有利)
- 間口や入口の広さ
- 通行人から見やすい大きな看板が出せるか
- 周辺環境
- 競合店の出店状況
二等立地でも、例えば店の前をターゲットとなる顧客層が多く通る場合や、商圏が広い店、安さを徹底的に追求する店なら、賃料が安い分、適していると考えられます。
3.賃料
月額の賃料の他に管理費や敷金・保証金も確認しましょう。また、商業施設では、固定賃料に加え、売上金額に応じた歩合賃料を求められることもあります。
<管理費に含まれる主な項目>
- 共用設備の点検費、営繕費(空調設備や照明、エレベーターなど)
- 建物全体に関する警備費
- 植裁などの管理費
- 駐車場の維持費、運営費
- 上記に関する人件費、業務委託費、事務費
敷金は賃借人の債務の担保として、貸主が預かるもので、賃料の2~12カ月分くらいが多いです。
敷金は原状回復費などと相殺された後、賃貸借契約解約時に全額一括返済されるのが基本ですが、契約上の特約として、短期間でテナント側の一方的な都合で退店した場合には敷金を返還しない、あるいは建物償却分として減額した後に返還するといった特約が盛り込まれていることもあります。特約の有無について確認しておくべきでしょう。
保証金も敷金と同じ意味で使われることが多くなっています。礼金が発生する店舗賃貸は多くありません。
4.設備
トイレ、水回り、電気、空調、換気、照明、ガス、エレベーターなどを確認します。内装工事や電気工事、給排水工事などで直せる場合も多いですが、建物や立地の制約で直せない場合もあります。
視認性の高い看板を出せるかは集客に影響するので重要です。また、ビルメンテナンス日があると休業することになります。必ず確認しましょう。
前の借主が使っていた内装や設備を引き継ぐ居抜き物件を借りると、内装や設備の費用を抑えられます。一方、建物の骨組みだけの状態をスケルトンといい、内装工事などが必要になります。
自分の足と目で確かめよう
出店候補地に時間帯や曜日を変えて何度も足を運び、地域の特性や街並み、通行量や人が向かう方向、雰囲気を確認しましょう。客層に関わりますし、急ぎ足か、周りを見ながらゆったり歩いているかは、入店率に影響します。
その他の注意事項
1.定期借家契約
一般的な普通借家契約の他に、定期借家契約という契約があります。定期借家契約では契約期間の満了をもって退去しなければならないことがあります。また、定期借家契約は、特約がない限り途中解約ができません。貸主に有利な契約のため、賃料は安めに設定されることが多いですが、契約内容をよく理解した上で契約してください。
2.アスベスト調査と耐震診断
賃貸借契約の前に「重要事項説明」があり、そこにアスベスト調査と耐震診断に関する項目があります。
アスベスト調査は、建物におけるアスベストの使用の有無についての調査結果が記録されていた場合、その説明がなされます。
耐震診断は、1981年6月1日以前に新築された建物において、耐震改修促進法に基づき建築士や地方公共団体などが行った耐震診断がある場合、その説明を受けられます。
チャレンジショップ
チャレンジショップとは、起業家向けに安い賃料で店舗を貸す制度です。行政や中小企業支援機関などが募集しています。借りられる期間は限られていますが、商店街などで安く開店できますので、開業したい地域でチャレンジショップが行われていないか調べる価値はあります。