起業マニュアル
IPOのメリットとデメリットとは
IPOは会社にとって成長の一里塚、通過点であり、最終的なゴールではありませんが、長い時間とコストをかけて行います。ここでは、メリットとデメリットを列挙します。
IPOのメリット
IPOのメリットは会社、株主、従業員によって異なります。それぞれにどんなメリットがあるかを把握することで円滑に準備が進められますし、利益が相反するようなことが起こらないよう事前に配慮や工夫をすることができます。
会社自体のメリット
- 資金調達方法の多様化と調達力の向上
- 知名度の向上(人材獲得が有利になったり、企業イメージやブランドが向上することなど)
- 厳しい審査を経ることによる経営管理体制の強化と社会的信用の増大
- 役職員のモチベーションやモラルの向上
株主のメリット
- 保有する株式の価値増大による創業者メリット、投資メリットの獲得
- 保有する株式の換金性増大(売買しやすくなること=現金にしやすくなること)
従業員のメリット
- 株式公開企業であることの社会的信用の増大と満足感向上
- 従業員持株会などを通じての財産形成
IPOのデメリット
IPOによるデメリットは大きく分けて経営面と費用面から列挙できます。ただし、これらを単に不必要なもの、価値のないものと短絡的にネガティブに捉えるべきではないでしょう。
経営面
- 役員の経営責任や企業の社会的責任の増大
- 経営の透明性確保と適時ディスクロージャー体制の確立、充実
- 株主対策と株価に対する責任
- 管理コストの増大
- インサイダー取引規制と取引自由度の制約
- 反社会的勢力の排除や敵対的買収などへの対策
費用面でのデメリット
- IPO準備からIPO後まで、一貫して必要となる管理・審査・監査・体制構築・維持費用
- 上記にかかる時間コスト、コミュニケーションコスト(特に準備が佳境に入ると代表者が最も多くの時間を割かなければならず、事業に取り組む時間が制限されることもあります。)
IPOをした会社によると、IPOして本当に良かったという意見が圧倒的に多く、IPOしなければ良かったという意見を聞くことはあまりありません。IPOの審査に耐えられる強固な体制整備、一般の方々を含めた株主からの将来性期待、更なる成長のための資金調達など、事業を持続的に成長させる「燃料」として、とても大きな価値があるといえるでしょう。
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