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空調機の部品メーカーで、EU RoHS指令対応は済んでいます。中国RoHSの4種類のマーキングの違いを教えてください。

2021年 9月17日

空調機に使用される特殊なギアボックスを製造しています。中国のメーカーから引き合いがあり、中国RoHSの適合証明の要求があります。
マーキングは4種類あることは分かりましたが、その違いについてご教示ください。
なお、この特殊なギアボックスは、EU RoHS指令への適合証明書を付けて、日本の大手家電メーカーにも納品しています

回答

中国RoHSは4種類のマークがあります。

(i)中国RoHS第13条によるグリーンマークまたはオレンジマーク

すべての電器電子機器は、特定有害物質が非含有であればグリーンマーク、含有していればオレンジマークを貼付しなくてはなりません。

(ii)CGP供給者宣言マークまたはCGP第三者認証マーク

中国RoHS第18条の合格評価制度の目録に収載された冷蔵庫や空調機など12製品群及びその構成品がCGPマークの対象です。
CGPマークは供給者が自ら適合宣言する方式と第三者認証機関による適合宣言する方式があります。
CGPマークは、特定有害物質の非含有が要求されますが、真鍮材について4%までの鉛の含有を認める除外規定があります。この除外規定を利用した場合は、0.1重量%を超える鉛が含有されていますので、第13条のオレンジマークがCGPマークと一緒に貼付しなくてはなりません。

(i)マークの種類

電器電子製品有害物質制限使用管理弁法(以下中国RoHS)には、4種類の適合マークがあります。

グリーンマーク 

図1:グリーンマーク 

オレンジマーク

図2:オレンジマーク

CGP供給者宣言マーク

図3:CGP供給者宣言マーク

CGP第三者認証マーク(四角部分は認証機関のロゴ)

図4:CGP第三者認証マーク(四角部分は認証機関のロゴ)

4種類のマークの法的根拠は以下となります。

(a)図1、図2:中国RoHS第13条によるマークで、詳細はSJ/T11364-2014です。

図1:特定有害物質の含有濃度が最大許容度未満
図2:特定有害物質の含有濃度が最大許容度以上(除外規定なし)

(b)図3、図4:中国RoHS第18条の合格評価(評定)制度によるマークで、詳細は「グリーン製品マークの使用管理措置」による「電気電子製品有害物質使用制限合格評定制度実施の取り決め」(*1)にあります。

図3:供給者による適合評価で、特定有害物質の含有濃度が最大許容度未満(除外規定適用)
図4:第三者認証機関による適合評価で、特定有害物質の含有濃度が最大許容度未満(除外規定適用)

(ii)中国RoHSの規制の構造

中国の規制は、法律、規則、規格等の階層構造になっており、EUのニューアプロ—チ指令と同様に、技術的事項は規格(GBまたは業界規格)によります。中国RoHSは、グリーン生産促進法等により制定された規則(弁法:省令)で、基準値等はGB規格またはSJ規格によります。

(a) 第13条によるマーク

第13条の要求は以下です。(部分 意訳)
電器電子製品の生産者および輸入者は、電器電子製品有害物質制限使用標識に関する国家標準あるいは業界標準に基づき、市場に提供する電器電子製品に含まれた有害物質について表示しなければならず、有害物質の名称およびその含有量、該当有害物質に係わる部品および該当製品の回収利用の可否、不適切な利用あるいは処置した場合の環境・人の健康への影響などを表示しなければならない。
この標識標準がSJ/T11364:2014で、第13条の義務者は、電器電子製品の生産者および輸入者となります。中国RoHSのすべての対象製品は図1または図2のマーキングが要求されます。

(b)第18条によるマーク

第18条の要求は以下です。(部分 意訳)
国は電器電子製品有限物質制限使用合格評価制度を構築する。
目標達成目録に記載された電器電子製品は、電器電子製品有害物質制限使用関連の国家標準あるいは業界標準を満たさなければならず、電器電子製品有限物質制限使用合格評価制度で管理する。
国家認証認可監督主管部門は、職責の範囲内で工業情報化部と共同で合格評価制度を制定、公表および実施する。

China Green Products(CGP)マークは、グリーン製品の表示及び使用の標準化を目的とした「グリーン製品マークの使用管理措置」(绿色产品标识使用管理办法)(*2)に規定されています。電器電子製品を対象としたCGPマークを中国RoHSの主管部の工業情報化部が「電気電子製品有害物質使用制限合格評定制度実施の取り決め」で規定しました。
CGPマークは、合格評価制度の目録に収載された12製品群が対象です。

① 冷蔵庫(ボックス型 800リットル以下)
② 空調機(定格冷却能力≤14000ワット))
③ 洗濯機(洗濯量10kg以下で乾燥機能を含む)
④ 電気温水器(500リットル以下)
⑤ プリンター(各種)(印刷領域≤A3、印刷速度≤60枚/分)
⑥ コピー機(印刷領域≤A3、印刷速度≤60枚/分)
⑦ ファックス(スキャン機能を含む)
⑧ テレビ(チューナーがないがTV用であれば含める)
⑨ モニター(LCDやCRTを含む)
⑩ マイクロコンピュータ(ディスクトップ、ハンドヘルド、タブレット等)
⑪ モバイル通信・携帯電話(GSM/ GPRS、CDMA、CDMA1X等規格)
⑫ 固定電話(IP電話を含む)

中国RoHSの対象製品は、第3条の用語の定義で「電器電子製品は、電流あるいは電磁場により稼動する、あるいは電流および電磁場の生産・運送・測定を目的とする、定格電圧が直流の場合は1500ボルト以下、交流の場合は1000ボルト以下の機器および構成品を指す。」(部分 意訳)としています。
中国は源流管理(サプライチェーン全体を管理)の考え方で、構成品も直接的に対象としています。
従って、最終製品の空調機だけでなく、その構成品のギアボックスも対象でCGPマークの対象となります。

(iii)マークの貼付

(a)グリーンマークまたはオレンジマーク

電器電子機器または構成品に、次の特定有害物質をGB/T26572-2011(電気電子製品に含まれる特定の制限物質の濃度制限の要件)で規定しているカドミウム 0.01重量%、その他 0.1重量%未満であればグリーンマーク(図1)、その基準を超えて含有していれば、オレンジマーク(図2)の貼付義務があります。
最終製品の電器電子機器の構成品の一つにオレンジマークが貼付されていれば、最終製品もオレンジマークとなります。

① 鉛・その化合物;
② 水銀・その化合物;
③ カドミウム・その化合物;
④ 六価クロム化合物;
⑤ ポリ臭化ビフェニル(PBB);
⑥ ポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE);
⑦ 国家が指定するその他有害物質(現時点では指定されていない)

グリーンマークまたはオレンジマークは、生産者が決定し貼付します。オレンジマークの中の数値は、環境保全使用期限と言われるもので、SJ/Z 11388-2009(電子情報製品環境保護使用期限通則)に定める含有有害物質が外に漏れださない年数です。

(b)CGPマーク

CGPマークは、供給者宣言(図3)と認証機関による宣言(図4)があります。

① 供給者宣言

供給者宣言は、供給者が適合宣言を行い上市後30日以内に、公共サービスプラットフォームに中国に代理人を立てて、適合報告をとして技術支援文書をアップロードします。
報告は、製品が電気電子製品の有害物質限度要求の適合証明は2種類の方法から選択できます。

  • 供給者が委託した検証・検査測定機関により、関連標準に基づき宣言を行う製品中の有害物質に対して検査測定を実施し、製品の検査測定報告を作成する方法です。
    検査測定機関は、生産者、生産企業などが 自ら所有し、かつ、相応の技術力を有する実験室でも、資格を備えた第三者の検証・検査測定機関でも良いとされています。
  • すべてのアセンブリ、コンポーネントおよび部品、原材料の有害物質に対する判定を基礎として、供給者が適合報告を整理して作成する方法です。
    EU RoHS指令に適合していれば、供給者宣言が可能になります。
    供給者宣言はすべて宣言者が責任を負います。

② 認証機関による宣言

認証機関は、市場監督管理総局による承認が必要です。
認証機関は、相応の資格を取得した検証・検査測定機関に委託して、任意認証に関連する検査測定活動を実施するとともに、関連する検査測定データに基づき下した認証の結論に対して責任を負います。

(iv)マーク貼付義務

貴社製品は合格評価制度の目録に収載された空調機の構成製品です。特定有害物質を非含有にする義務がありますが、用途の除外があります。
鋼合金および亜鉛メッキ鋼(合金元素としての鉛) ≤ 重量0.35%
アルミニウム合金(合金元素としての鉛) ≤重量0.4%
銅合金(合金元素としての鉛) ≤4重量%
この基準はEU RoHS指令と同じです。

第13条の要求は全製品が対象ですので、(図1または図2)及び(図3または図4)のマークが要求されます。
CGPマークは用途の除外がありますので、適合でも、第13条のマークは除外を認めていませんので、オレンジになる場合があります。

引用情報等:

回答者

中小企業診断士 松浦 徹也

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