ビジネスQ&A
中国RoHSで2019/11/1に施行される合格評定制度の対象製品について教えてください。また、対象外製品の修理用品は対象製品になるのでしょうか。
プリンターのメーカーです。2019年11月1日から「合格評定制度」によるグリーンマークが必要という話を聞きました。「合格評定制度」について教えてください。
中国RoHS対象外の高電圧製品の付属品である特殊プリンターの修理依頼が来ました。このプリンターの交換用として中国に輸出しようとしていますが、中国RoHSの対象となるのでしょうか。
回答
プリンターやコピー機などの12品目は、2019年11月1日から合格評定制度(合格评定制度)によるグリーンマークの貼付が要求されます。
中国RoHSの対象外製品にのみ組み込まれる電器電子機器は対象外です。対象外製品の修理や交換のための構成品も対象外ですが、汎用性がある場合は、対象外製品に組み込むことを顧客修理依頼票などで税関に説明する必要があります。
1.中国RoHS(II)管理規則の概要
中国ではEU RoHS指令と同じように、電器電子機器を対象に特定有害物質の含有を制限する中国RoHS(II)管理規則(电器电子产品有害物质限制使用管理办法)が施行されています。
中国RoHS(II)管理規則は、リストに収載した製品を対象とするのではなく、交流1,000V以下、直流1,500V以下で稼働する電器電子機器の全てを対象とし、リストで対象製品を指定していません。EU RoHS指令でも同様の方式で、これをオープンスコープといいます。
オープンスコープの場合は、対象製品であるかどうかの判断に困る場合がありますので、FAQで例示がされています。
しかし、オープンスコープですが、軍事用電器電子機器、研究開発用の試作品や中国RoHS(II)管理規則の主管部門の工業情報化部(日本の経済産業省に類似)の所管外の発電所、変電所や配電所に使用する機器は対象外となります。
中国RoHS(II)管理規則はEU RoHS指令と異なり、すべての電器電子機器に特定有害物質の非含有要求をしていません。含有している場合は「SJ/T11364のオレンジマーク(含む環境保全使用期限)と製品に含有する有害物質の名称及び含有量表(〇×表)」が要求され、非含有の場合は「SJ/T11364のグリーンマーク」が要求されます。
中国RoHS(II)管理規則第17条で「電器電子製品有害物質の制限使用は目録で管理する。」とし、第18条で「国は電器電子製品有害物質制限使用合格評定制度を構築する。目標達成目録に記載された電器電子製品は、電器電子製品有害物質制限使用関連の国家標準あるいは業界標準を満たさなければならず、電器電子製品有害物質制限使用合格評定制度で管理される」としています。
なお、合格評定制度は合格評価制度とも言われます。
目録に収載された製品は特定有害物質の含有が制限され、合格評定制度で非含有を確認します。
参考 特定有害物質と最大許容濃度
- 鉛及びその化合物 (0.1wt%) wt:重量比
- 水銀及びその化合物 (0.1wt%)
- カドミウム及びその化合物 (0.01wt%)
- 六価クロム化合物 (0.1wt%)
- ポリ臭化ビフェニル(PBB) (0.1wt%)
- ポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE) (0.1wt%)
- 国家が指定するその他有害物 :現時点では特定されていない
2. 電器電子製品有害物質制限使用目録(※1)
2018年3月に第1次目録が告示され、1年後から適用とされました。
目録には次の12品目が収載されています。
- 冷蔵庫(ボックス型 800リットル以下)
- エアコンディショナ(定格冷却能力≤14000ワット))
- 洗濯機(洗濯量10kg以下で乾燥機能を含む)
- 電気温水器(500リットル以下)
- プリンター(各種)(印刷領域≤A3、印刷速度≤60枚/分)
- コピー機(印刷領域≤A3、印刷速度≤60枚/分)
- ファックス(スキャン機能を含む)
- テレビ(チューナーがないがTV用であれば含める)
- モニター(LCDやCRTを含む)
- マイクロコンピュータ(デスクトップPC、ノートPCハンドヘルド、タブレットPC、PDA等)
- モバイル通信・携帯電話(GSM/ GPRS、CDMA、CDMA1X等規格)
- 固定電話(IP電話を含む)
合格評定制度(※2)は2019年5月16日に告示され、2019年11月1日から上記12品目が適用されます。合格評定制度では、合格した電器電子機器にはグリーン商品識別管理規則(绿色产品标识使用管理办法)(※3)によるロゴの貼付が必要となります。
7月3日に市場管理総局がグリーン商品識別管理規則(绿色产品标识使用管理办法)(※4)による「サプライヤー適合ロゴ」を告示しました。
7月10日に中国電子技術標準化協会(CESI)が、「合格評定制度の実施要領」(※5)を告示し、パブコメを開始しました。パブコメは「実施要領」の解釈に関する33問、「第一次目録」の解釈に関する13問で、以下のような内容です。
「実施要領」の解釈
Q1:合格評定制度の実施要領の背景は何か?
「第一次目録」の解釈
Q1: 空気清浄機、加湿器、除湿器は、「第一次目録」の収載製品に該当するか?
3. 適用範囲外の発電所等用のサービスユニット
プリンターは合格評価制度の対象12品目に該当します。
ご質問は合格評価制度の対象12品目を適用範囲外製品用のサービスユニットとして扱うことに関するものです。
ご質問に関して、工業情報化部が発行したFAQ(※6) No19に解釈を助けるものがあります。
Q19. 「中国RoHS(II)管理規則」の適用範囲外製品に設置する予定の電器電子製品は、「中国RoHS(II)管理規則」の適用範囲に属するのか。
A:その電器電子製品が「中国RoHS(II)管理規則」の適用範囲外製品への設置という用途でのみ使用される場合、「中国RoHS(II)管理規則」の適用範囲外となる。 例として、自動車や飛行機の座席に設置する予定のディスプレイ、発電設備に設置する予定の汎用部品などが挙げられる。
ただし、これらの製品の最終的な用途が不明で、かつ市場において単独で販売される場合には、「中国RoHS(II)管理規則」の適用範囲に属する。
4.結論
貴社製品が発電所等用として専用に設計した特殊プリンターで、一般用途で販売していないのであれば、「中国RoHS(II)管理規則」の適用範囲外となります。
ご質問のケースは、プリンター単体での販売ですので、この点を説明する必要があります。一つの方法として、顧客からScope外製品修理と分かる記載がされた注文書を得て、INVOICEに記載し説明するようにして、適用外であることを主張することが考えられます。
【引用情報等】
- 回答者
-
中小企業診断士 松浦 徹也
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