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日本では薬機法の雑品に相当し、薬機法の対象外のコロナ対策製品(除菌スプレー)をEUに輸出したいと思っています。EUでも雑品として、そのまま販売できるでしょうか。

2021年 2月18日

日本では薬機法の雑品に相当し、薬機法の対象外のコロナ対策製品(除菌スプレー)をEUに輸出したいと思っています。
EUでも雑品として、そのまま販売できるでしょうか。

回答

貴社製品は、除菌を謳うのであれば、BPR(規則(EU)528/2012)で定義する「殺生物性製品」に該当する可能性があります。
BPRによる製品申請は以下になります。

  • 活性物質の承認
  • 承認された活性物質は第95条リストに収載される。
  • 第95条リストに収載された活性物質の特定されているサプライヤとプロダクトタイプ(ヒト消毒剤など)で製品化する。
  • 製品認証の申請
  • 「殺生物性製品」の認可

COVID-19の流行のような場合に特例措置があり、期間は限定されますが第95条リストに収載されていない活性物質を使用することができます。

殺生物性製品」の要件に当たらないとすれば、BPRの適用外となります。しかし、除菌機能を謳わないで販売するのは商品の「訴求力」が失われます。

なお、CMR(発ガン性、変異原性、生殖毒性物質)などが使用できないなどの要件もあります。
BPR対象外とした場合でも子供が開けられない構造にするなどの義務もあります。
輸出量にもよりますが、REACH規則の対象となる可能性があり、BPR対象外であってもGPSD(一般製品安全指令 2001/95/EC)が適用されます。

面倒な対応ですが、他社差別化要素にもなりますので、まずは、対応すべき事項を整理することをお勧めします。

貴社製品はBPR(規則(EU)528/2012)で定義する「殺生物性製品」に該当する可能性があります。(注1)
BPRの「殺生物性製品」の定義は以下です。

  • 使用者に提供される形態で、単なる物理的または機械的作用以外の手段により、あらゆる有害生物に対して、破壊、抑止、無害化、その活動の防止、またはその他の方法で制御効果を作用することを目的とした、1つまたは複数の活性物質からなる、含有または生成する物質または混合物を意味する。
  • 単なる物理的または機械的作用以外の手段により、あらゆる有害生物に対して、破壊、抑止、無害化、その活動の防止、またはその他の方法で制御効果を作用することを目的として
    使用される前記に該当しない物質または混合物から生成されるあらゆる物質または混合物を意味する。

1)手順

「殺生物性製品」のは以下の手順で販売可能になります。

(i)活性物質の承認

第6条により承認申請を行う
承認された活性物質は第95条リストに収載される。 (注2)
収載された活性物質は、サプライヤとプロダクトタイプが特定されている。

プロダクトタイプは、PT(Product type)1~22まであります。
PT1:ヒト衛生用製品
  ヒトの衛生目的に使用される殺生物性製品であり、主としてヒトの皮膚または頭皮を消毒することを主目的に、ヒトの皮膚または頭皮に塗布されるまたは接触させて適用される。
PT2:ヒトまたは動物への直接使用を意図していない消毒剤及び殺藻剤
PT3:動物衛生用製品
  以下略

(ii)「殺生物性製品」の認可

第19条、第20条により第95条リストに収載された活性物質をその要件で申請する。

(iii)単純化申請

第25条により、附属書Iに収載されている物質について、制限要件を満たす場合は適格とされる
同時に、いかなる懸念物質も含まず、ナノ材料を含まず、効果的であり、取り扱いおよび使用で個人保護具を必要とないことが要件である。

(iv)上市

第17条により上記で認可されていれば10年間上市できる。

2)特別措置

第95条リストに収載されていない物質を製品化した場合で、第55条で以下の要件の特別措置があります。

1. 所管当局は、第17条及び第19条の認可の規定を適用しないで、公衆衛生、動物の健康又は環境に対する危険であって他の方法により封じ込めることができないもののために必要な場合には、所管当局の監督の下での限定的かつ管理された使用のために、この規則に定める認可の条件を満たさない殺生物性製品は180日を超えない期間上市又は使用することを許可することができる。
第1段落にいう所管当局は、遅滞なく、他の権限のある機関及び委員会に対し、その措置及びその正当性を通知する。
所管当局は、他の権限のある当局及び委員会に対し、当該処分の取消しを遅滞なく通知する。
委員会は、所管当局から理由のある要請を受けたときは、遅滞なく、かつ、行為を実施することにより、当該所管当局がとる措置は550日を超えない期間延長することができるか否か、及びどのような条件でとるかを決定する。
これらの実施行為は、第82条(3)にいう審査手続(コミトロジ手続き)に従って採択されなければならない。   (以下略)

COVID-19などの緊急事態への対応の特別措置です。

3)国内法

所管当局は各加盟国の当局で、各国の当局に個別に申請することになります。加盟国の国内法によることになり、加盟国法を確認する必要があります。

  1. ドイツは、BPRは「殺生物性製品の上市と使用」で規制しています。(注3)
  2. フランスの行政処置は公開され検索機能もあります。(注4)

BPRは、「市場での利用可能性と殺生物剤の使用に関する欧州議会および2012年5月22日理事会の規制(EU)528/2012に基づく規定(第L522-9〜L522-11)」で告示されています。

また、528/2012で検索すると、官報告示案件が出てきます。(注5)
第55条の認可案件も実際に適用されています。

4)まとめ

貴社製品をEUに販売するのであれば、天然由来の物質のSDSを確認する必要があります。成分が代替化できるのであれば、95条リスト収載物質を利用し、リストのサプライヤから指定製品タイプで認可を受けるのがよいと思います。
95条リストは、コロナの影響で承認物質が次々と追加されています。

「殺生物性製品」の要件に当たらないとすれば、BPRの適用外となります。しかし、除菌機能を謳わないで販売するのは商品の「訴求力」が失われます。
BPR対象とした場合は、レベル表示や広告では「天然の・・」「環境にやさしい」や「無毒」などの文言の使用が制限されます。
また、CMR(発ガン性、変異原性、生殖毒性物質)などが使用できないなどの要件もあります。
BPR対象外とした場合でも子供が開けられない構造などの義務もあります。
輸出量にもよりますが、REACH規則の対象となる可能性があり、BPR対象外であってもGPSD(一般製品安全指令 2001/95/EC)が適用されます。(注6)

BPRの申請を支援する組織は数多くあり、BPRに関する公的機関の個別相談もあります。
BPRは面倒な対応ですが、他社差別化要素にもなりますので、まずは、対応すべき事項を整理し、申請支援機関などに相談することをお勧めします。

引用情報等:

回答者

中小企業診断士 松浦 徹也

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