ビジネスQ&A
SQF取得にあたり、そもそもの所から教えてください。
2021年11月17日
社員10人、創業30年の食肉販売店を経営しています。新たな取引先より取引開始の条件として、SQF認証の取得を求められていますが、そもそもの所から教えてください。また、どのような点を考慮すべきかも教えてください。
回答
SQF(SAFE QUALITY FOOD)認証とは、国際的な食品安全マネジメントシステムの一つです。認証要求水準は、3段階に設定されており、認証取得する企業はそのレベルを選択できます。そのため、まずは取引先がどのレベルを求めているか確認し、最新の認証コード(版)を確認します。
SQFとは
SQF認証は、世界食品安全イニシアチブ(GFSI:Global Food Safety Initiative)から認められた認証プログラムで、SQF インスティテテュート(SQFI)によって運営されています。
モジュールごとにGFSIによって、ベンチマーク規格の一つとして承認されています。他の認証規格と比べて、一次生産から輸送・流通までに至る食品産業の全業種を対象とする統合された規定となっているのが特徴的です。世界標準の規格をベンチマークしているため、毎年のように規定が改定されますが、常に最新の安全で質の高いサプライチェーンを築くことができます。
最新の認証コードはSQFのホームページから無償でダウンロードすることができますので、ご確認ください。
3つの認証レベル
認証レベルが3段階に設定されており、認証取得する企業はそのレベルを選択できます。
レベル3を取得すると製品に「SQF」のロゴを使用することが認められます。
モジュール化による産業分野別要求事項
パートA・パートB・添付資料の三部構成となっています。
パートA:SQF既定の実施と維持に関する規則類全般が記述されています。
パートB:モジュール形式で要求事項が規定され、産業分野共通の「モジュール2;SQFシステム要素」に加えて、モジュール3から15まで、産業分野ごとの要求事項が記載されています。この産業分野ごとに要求事項を規定する方式は、他のGFSI承認スキームでは見られない特徴ともいえます。この特徴により、認証取得を目指す組織にとってはより適用しやすい要求事項であると考えられます。尚、一般的な食品加工における適正製造規範はモジュール11に規定されています。
「モジュール化」とは、全体システムを、いくつかの下位システム(モジュール)にわけ、モジュール間のインターフェイスを標準化することによって、システム全体の構造を変革することなく、モジュールの取替や組換えによって、システムの機能を維持ないし変更できるようにする方法です。
審査スコアと格付け
審査結果の数値化、格付けが行われます。審査スコアは、不適合の数によって算出されます。不適合は3種類に分類されており、その不適合の種類によって減点される点数も決まっています。100点満点からの減点方式で、70点以上が合格です。
認証準備および認証プロセス
1. SQF規定入手(無料)
2. SQF評価データベースへの登録(年1回)
登録することにより情報へのアクセスが可能となります。
3. SQFプラクティショナーの指定
組織にSQFプラクティショナーの配属は必須です。
4. 認証レベルの選択
5. SQF規定の文書化と運用
6. 認証機関の選択
7. プレアセスメント審査の実施(任意)
SQFシステムの健診が可能です。実施は任意とされていますので状況に合わせて決めましょう。
8. 認証範囲の確認
食品セクター区分、サイト※所在地、適用除外等の細かい部分の確定を行います。
※SQF認証では、単に製造工場だけでなく周辺環境も含むため「サイト」と表現されています。
9. 認証審査(文書審査・現地審査)
C判定の場合はサーベイランス審査が実施されます。
再認証審査は、3年に1回「無通告審査」となります。
10. 現地審査の是正処置
11. 審査のスコアおよび格付け
12. 認証授与
SQF認証取得の際に求められること
食品製造、サービス分野が対象とされています。
HACCP手法の考え方に、品質的な側面が追加されており、特に衛生管理に関しては高いレベルが要求されます。
各認証レベルの要求を満たした上で、追加要求項目を満たすと、次の段階の認証レベルを取得できる構造になっています。
監査は、SQF Expertのみが実施できます。
主要条項の範囲は「品質管理システム」のみです。GFSIの認定も受けています。
監査頻度は、6か月から12か月に1回、別途定められた組み合わせ件数が指摘された場合には3か月後に審査が実施されます。その後、6か月以内に最低2回の監査が行われます。
多くの企業が、複数ある国際安全規格の中からいくつかの認証を受けています。国内だけではなく、海外への事業展開の際に、国際的な認証システムによる認証の取得を、取引条件として求められることも多くなっていますので、SQF認証だけにとらわれることなく、必要となる認証の取得を検討してください。
出典:一般財団法人食品産業センター・農林水産省・SQFホームページ
- 回答者
-
中小企業診断士 三海 泰良
同じテーマの記事
- クーリングオフは、店頭で販売した使用済みの商品でも対象になるのでしょうか?
- 環境ISOを取得するには、どのような公的支援が受けられますか?
- ISO22000について教えてください。
- ISO14001について教えてください。
- 自社にとって有利な取引条件に改善するにはどうすればよいですか?
- 顧客からのクレーム対応時に気をつけなければいけないことは何ですか?
- 顧客情報の流出や従業員の不正などのリスクをマネジメントする方法を教えてください。
- リスクマネジメントの一つであるBCPについて教えてください。
- プライバシーマーク取得の効果は何ですか?
- リスク分析、評価をどのように進めればよいでしょうか。
- インフルエンザ・パンデミックやその対策について簡潔に教えてください。
- 社内の震災対応などの防災対策を見直すには、どのようにすればよいですか?
- BCP策定のメリットと留意点は何ですか?
- 防災対応のために会社が持っておくべき情報を教えてください。
- 情報資産の風水害への対応体制はどうすればよいでしょうか。
- 企業の社会的責任(CSR)について教えてください。
- 風水害に備えて、自社に合った対策の立て方を教えてください。
- 企業機密の漏洩を防ぐにはどうしたらよいですか?
- 改正民法における中小企業への影響はありますか?
- どのような情報が「個人情報」にあたりますか?
- 私の会社も「個人情報取扱事業者」に該当しますか?
- 民法改正によって変わる時効の規定を教えてください。
- 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策について知りたい。
- プラスチック製買物袋有料化について、どのように対応したらよいでしょうか。
- 新型コロナウイルスの感染症の影響による事業継続について何を準備すればよいか教えてほしい。
- 新型コロナウイルス感染症の第2波や自然災害に備えるための計画があると聞きましたが、どういったものなのでしょうか?
- DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進について、どのように対応していけばいいでしょうか。
- 内部監査をオンラインで実施する際の注意点を教えて下さい
- HACCP対応のための支援制度はありますか?
- JFSM(Japan Food Safety Management Association)とは何のことですか?
- 食品製造業向けの有効なクレーム対応方法はありますか?
- 米国への日本酒輸出のために対応すべき、FSMAについて教えてください。
- 食中毒の原因や種類、予防方法について教えてください
- 飲食店での産業廃棄物処理の留意点について教えてください。
- SQF取得にあたり、そもそもの所から教えてください。
- 食品リサイクル法について教えてください。
- 食品製造業がHACCPへ取り組むにあたって考慮すべき点を教えてください。
- 喫茶店の開業を予定しています。営業にあたり必要となる許認可制度が変更になったと聞きましたが、どうしたら良いでしょうか?
- 総合衛生管理製造過程承認制度の留意点を教えてください。
- 食品工場内の設備に組み込むハンドラーやコンベヤなどの搬送設備についてHACCP対応が要求されています。 RoHS指令およびREACH規則を遵守していることでHACCP対応しているといえるでしょうか。
- 飲食店のHACCP対応は何から始めたら良いですか?
- 健康経営とは何ですか?どのように始めたらよいですか?またどのような効果がありますか?
- 中小企業にもセキュリティ対策は必要なのでしょうか?
- IT化とDXの違いを、中小企業がDXに取り組む際のポイントと併せて教えてください
- どうすれば業務の属人化を防いで、技術・技能承継をスムーズに進めることができるでしょうか。
- なぜ今Pマークの取得が求められているのでしょうか?
- BCPの策定と運用のポイントを教えてください。
- 従業員のメンタルケアの方法や注意点などについて教えてください。
- 物価高騰に対して中小企業がどのように対応していったらよいか教えてください。
- 時代の変化を見通した就業規則の直し方を教えてください。
- サイバーセキュリティ対策を行うためのツールについて教えてください。