ビジネスQ&A
内部監査をオンラインで実施する際の注意点を教えて下さい
2021年4月19日
従来、内部監査は紙の資料を用意し、会議室で面着で実施していました。しかし、コロナ禍での感染予防対策からオンラインで実施することになりました。従来の内部監査と比較して、どういったことに注意する必要があるのでしょうか。
回答
内部監査をオンラインで実施するためには対面の監査と比較して、従来と少し異なる準備が必要となります。環境整備・書類整理、リハーサルの実施など、監査をスムーズに進めるために事前の準備をしっかり行いましょう。
従来の監査では、遠方から来た監査人に対し、キングファイルの束を会議室に持ち込んで、ファイルをめくりながらエビデンスを基に説明するというスタイルが一般的でした。
しかし、新型コロナウィルスが猛威を振るう昨今、従来のスタイルを継続することは難しいと考えられます。ではどのように進めるべきか、考えていきましょう。
(1) 環境整備
まずは、オンライン監査を行うためのインフラが必要です。
といっても、難しいものではありません。ネット環境のある会議室と、PC・タブレットなどのデバイス、そしてTeamsやZoomに代表されるオンラインコミュニケーションツールの3つがあれば大丈夫です。多くの会社では社内ネットワークとPCなどのデバイスをすでに持っており、新たに導入する必要はないでしょう。
オンラインコミュニケーションツールには様々なツールがありますが、ファイル共有とコミュニケーションができるなら、どのようなツールでも問題はありません。それぞれの環境に合わせて活用ください。
なお、追加でエビデンスを求められた際などにPDF化せずに直接資料を見せたい、というときにはWebカメラが、複数人が集まって監査対応をする上では集音マイクがあると便利です。こういった機器も必要に応じて準備しましょう。
(2)書類整理
続いて、監査に関連する資料の整理です。
監査で重要な点は、「求められていることに対し、どのような書類で監査側に伝えるか」という点であると考えられます。その点は監査がオンライン化してもなんら変わりはありません。
まず、監査資料の全てを電子化する、というのは諦めたほうがいいでしょう。実際に利用されない資料も多く、労力に見合わないためです。イントラネットにある資料(例えば、社内規定など)などについては電子化せずに、そのままイントラネットの保存先を伝えて見てもらうのがいいでしょう。
一方で、電子データを保存し、利用する資料は以下の2点に注意が必要です。
- PDF化
電子データを保存する形で提供する資料は、Word、Excelなどの加工できる形態であるとファイルが修正されるリスクが発生します。そのため、加工できないPDFなどの形式で保存しておくといいでしょう。 - フォルダとファイル番号体系
しかし、PDFファイルをただ保存するだけでは、資料の検索に時間がかかり、監査の時に使いづらくなってしまいます。そのために必要となるのがフォルダ分けとファイルの番号体系化です。
ファイルは適切なフォルダに分けておくことで、資料を探しやすくなるうえ、監査の趣旨と反する資料を誤って提出してしまう、といったリスクを避けることができます。識別しやすくするためにファイルの保存は監査の目的別にフォルダを分け、監査の項目ごとに番号を付けて、フォルダ分けをすればよいでしょう。
なお、過度に階層化すると、今度は目的のファイルを探すのに時間がかかってしまうといったリスクもあるので注意が必要です。
(3)監査時の注意
では、実際にオンラインで監査を行う上では、どういったことに注意すべきでしょうか。
インターネット環境や機器の相性などによっては、スムーズに資料の共有ができない、音声が聞こえない、といったトラブルが発生する可能性があります。そのため、事前にリハーサルを行い、接続テストを行っておくことが望ましいでしょう。
しかし、リハーサルをしても予期せぬ不具合が発生する可能性は否めません。その場合は監査資料を電子メールで送付し、音声は電話でやりとりするなど、臨機応変の対応が必要です。
また、通信環境によっては監査人がこちらの説明を把握できないリスクがあります。一方的な説明とならないよう、通信環境に問題がないか、適度に確認するといいでしょう。
(4)まとめ
これまでオンライン監査の注意点について触れてきましたが、共通することは「事前準備」の重要性です。この点においては、従来の監査と何ら変わりません。しっかりと準備して対応いただければ従来と同様の対応が可能ですので、安心して監査に臨んでください。
- 回答者
-
中小企業診断士・MBA
五味義也
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