ビジネスQ&A

プラスチック製買物袋有料化について、どのように対応したらよいでしょうか。

2020年 3月 10日

小売業を営んでおり、現在はレジ袋を無料でお客様に提供しています。2020年7月からプラスチック製買物袋有料化が開始されると聞きました。どのように対応したらよいでしょうか。

回答

本制度は地球環境対策の幅広い課題に対応するため、消費者のライフスタイル変革を促すべく、プラスチック製買物袋を有料化することによる過剰使用の抑制を目的としています。この趣旨を踏まえ、プラスチック製買物袋を提供するに当たって、価格設定やその売上使途については、事業者が自ら判断するものとなっています。有料化したプラスチック製買物袋の売上を、環境保全事業や社会貢献活動に寄付している先行事例もあるようです。

2019年5月31日に策定した「プラスチック資源循環戦略」では、資源・廃棄物制約、海洋ごみ対策、地球温暖化対策等の幅広い課題に対応しながら、プラスチックの資源循環を総合的に推進するための重点戦略の1つとして、リデュース等の徹底を位置付けており、その取組の一環として2020 年7月1日から「レジ袋有料化義務化(無料配布禁止等)」を行い、消費者のライフスタイル変革を促すこととしています。

◎対象となる事業者

本制度では、小売業に属する事業を行う事業者が対象となります。主たる業種が小売業ではない事業者(製造業、サービス業等)も、事業の一部として小売事業を行っている場合、その範囲において、本制度に基づき容器包装の使用の合理化による排出の抑制の促進に取り組む必要があります。また、省令に基づく有料化の対象とならない者であっても、自主的取組として、同様の措置を講じることを推奨しています。
ただし、販売行為が事業として行われるものでない場合は、本制度の対象とはしていません。その販売行為が事業であるか否かは、その反復継続性に照らし個別案件ごとに判断することとなります。例えば、単発的なフリーマーケットへの出品等で、事業としての反復継続性が認められない場合は、対象外となります。

◎対象となる買物袋

消費者のライフスタイル変革を促すべく、あらゆるプラスチック製買物袋について有料化することにより過剰な使用を抑制していくことが基本的な考え方です。同時に、プラスチック資源循環戦略に掲げた基本原則である3R+Renewable の観点から一定の環境性能が認められる買物袋への転換を推進しています。

(1)省令に基づく有料化の対象となる買物袋の基本定義

省令に基づく有料化の対象となるのは、消費者が購入した商品を持ち運ぶために用いる、持ち手のついたプラスチック製買物袋となります。

(2)省令に基づく有料化の対象外となる買物袋

下記のいずれかの要件に該当し、かつ、それぞれに定められる内容が表示されている買物袋については、対象外となります。

a. プラスチックのフィルムの厚さが 50 マイクロメートル以上のもの
b. 海洋生分解性プラスチックの配合率が 100%のもの
c. バイオマス素材の配合率が 25%以上のもの

(3)具体的判断の目安

省令に基づく有料化の対象となる買物袋にあたるか否かは、次の点を目安に判断されます。

a. 袋であるか否か
b. プラスチック製か否か
c. 商品を入れる袋か否か

<対象とはならないものの具体例>
中身が商品でない場合

  • 景品、賞品、試供品、有価証券(商品券、ビール券等)、切符・郵便切手・入場券・テレフォンカード等の役務(サービス)の化体した証券を入れる袋

役務の提供に伴う場合

  • クリーニングの袋
d. 持ち運ぶために用いるものか(持ち手があるか否か)

<対象となるものの具体例>

  • 袋上部の小判抜きの穴に指を入れて運ぶことができる袋
  • 持ち手になるシールを袋と併せて提供する場合の、当該シールと袋
  • 巾着状の袋の口を絞って閉じるひもを結んで持ち手として利用可能である袋

<対象とならないものの具体例>

  • 食品売場などで生鮮食品等を入れるための持ち手のない袋
  • 複数の細かい商品をまとめるために使われる持ち手のない袋
  • 衣類などの商品を主に保護するために包む持ち手のない袋
e. 事業者からやむをえず提供され、消費者が辞退することが可能か否か

<対象とならないものの具体例>

  • 輸出物品販売場制度に基づき、消耗品をプラスチックの袋に入れて提供しなければならない場合のその袋
  • 薬剤師法・獣医師法に基づき、調剤された薬剤の被包(薬袋)
  • 陳列されている時点ですでに商品が袋詰めになっている場合のその袋
  • 事業者からやむをえず提供され、消費者が事前に袋の要否について意思表示できない場合の通信販売の商品(食品を含む)を入れた袋

◎有料化の考え方

(1)有料化とは

プラスチック製買物袋を提供するに当たって、一定の対価を徴収することになります。買物袋を提供しないことと引き替えに商品価格を値引くことや、ポイントを付与すること、その他の利益供与を行うことはここでいう有料化に含まれません。つまり、有料化したことになりません。

(2)価格設定の方法について

プラスチック製買物袋の価格設定については、サイズ・用途や仕入れ主体・方法などにより、様々なケースが考えられることから、各事業者が消費者のライフスタイル変革を促すという本制度の趣旨・目的を踏まえつつ、自ら設定することとなります。

(3)プラスチック製買物袋の売上の使途について

プラスチック製買物袋の売上の使途については、事業者が自ら判断するものとした上で、消費者の理解促進の観点から、売上の使途について事業者から自主的に情報発信することが推奨されています。有料化したプラスチック製買物袋の売上を、環境保全事業や社会貢献活動に寄付している先行事例も存在しています。

◎実効性確保について

(1)実効性確保の方向性

本制度の実効性の確保に当たっては、容器包装リサイクル法第7条の5の規定に基づき、主務大臣が容器包装廃棄物の排出の抑制を促進するため必要があると認める場合には、事業者に対し、プラスチック製買物袋の有料化のあり方について必要な指導及び助言を行うこととなっています。
また、容器包装リサイクル法第7条の6の規定に基づく容器包装多量利用事業者は、容器包装を用いた量及び容器包装の使用の合理化により容器包装廃棄物の排出の抑制を促進するために取り組んだ措置の状況に関して、省令で定める事項を毎年度報告する義務が課せられています。この定期報告を通じて確認される事業者の取組状況が、著しく不十分と認められるときは、当該事業者は、容器包装リサイクル法第7条の7の規定に基づく勧告、命令、及び同法第 46 条の2の規定に基づく罰則の対象となります。

国は、提出された定期報告や事業者による自主的な情報発信から情報を収集し、全国一律で有料化の取組が行われ消費者のライフスタイル変革が進むよう事業者の取組を確認します。

事業者も、こうした国や他の事業者が収集・発信する情報を参考として、自らの取組が適切に行われているか省みるとともに、一層の排出抑制に向けて、更なる効果的な取組に努めることが求められます。

お問合せ先
プラスチック製買物袋の有料化に関する相談窓口
事業者向け:0570-000930
消費者向け:0570-080180
【相談受付時間】月~金曜日(祝日除く) 9:00~18:15

回答者

中小企業診断士/E-SODAN「専門家とのチャット」担当
小櫃 義徳

同じテーマの記事