ビジネスQ&A
選考方法とポイントについて、教えてください。
当社は正規社員12名、非正規社員3名の中小企業です。人手不足のときにしか採用をしないこともあり、履歴書による書類審査と社長面接1回のみで採用を決めております。ときに、採用に失敗することがあるのですが、選考についてその方法とポイントを教えてください。
回答
採用に失敗しないために、まずは「ほしい人材像」を明確にします。その上で、採用コンセプト(応募者に伝えたいこと)を策定することです。選考は、書類審査や面接以外にも、適性検査、筆記試験などのツールを有効に使うことで、なかなか見極められない応募者のさまざまな側面を知ることができます。
通常、中小企業が人を採用するときは、「人手不足になった→募集→採用」というパターンになります。実は、これが採用の失敗につながる理由です。採用の前段階から準備をすることが、採用を成功させるポイントです。
【採用前の準備】
1.「ほしい人材像」を明確にする
そもそも、どんな人材が欲しいのかを明確にしなければ、安易な選考になりかねません。これが、失敗の理由になるのです。 ほしい人材像を明確にする方法としては、社長(会社)はどんな人材を望んでいるのか、または今どのような人材が必要なのか、逆にどのような人材はいらないのかをできる限り詳細に書きだしてみることです。あるいは、現有社員または過去にいた社員の中で、活躍していた人、業績を上げていた人、貢献度の高かった人などの特性をあげてみます。社内で適性検査を行っているなら、その結果からあげることもできます。
項目は、行動の傾向、考え方や価値観、資質、知識、基礎能力などから考えますが、具体的にイメージさせることが大切です。よく「明るく、元気で、前向きな人」とありますが、これでは抽象的です。たとえば、「明るい」とは、「まわりと協調して仕事をする」とか、「前向きな人」とは、「仕事に積極的に取り組む人」などとわかりやすくすることです。ここで明確にされたものが、採用基準や面接項目にもなります。
2.採用コンセプトを作成する
採用コンセプトとは、理念やビジョンに基づいて策定される、ほしい人材に伝えたい、採用に関するテーマのことをいいます。自社の強みや特徴を印象付けるためのコピーですが、以下が作成のポイントです。
- 自社の強み・特徴が表現されている
- 他社との差別化が図られている
- 自社の求める人物が惹きつけられる内容になっている
- わかりやすい言葉で表現されている
【選考方法】
ご質問内容にもありましたとおり、履歴書による書類審査と1回の面接で採用を決める企業が多数のようですが、ほしい人材を採用するには、それだけの材料では十分ではありません。
1.書類選考
履歴書以外にも、職務経歴書、志望動機や入社したらやりたい仕事などを書かせた文書を判断の材料とします。
2.筆記試験・適性検査
面接だけでは、なかなか見極められない基礎資質や職務適正、性格特性などを見ることができる有用なツールが、筆記試験や適性検査です。質問形式の診断では、よく見られたいために意図して回答するなど、その信用性が問題になりますが、それは、面接時に切り口を変えた質問で確認をすることで解消できます。
3.面接
面接は1回でもいいですが、複数の面接担当者で行うことが必要です。複数人であれば、評価が偏ってしまったり、見極められなかったりすることを防ぐことができます。社長のほか、リーダーなど責任あるポジションにある方、または社内で活躍している方など、質問はしなくても判断してもらうだけでもよいので、同席させることです。
【的確な応募者を増やすために】
募集に際しては応募者が判断しやすいよう、また行き違いが起こらないよう、できるだけ多くの情報をわかりやすく提供することです。会社の姿勢やポリシーまで含め、多くの情報があることで不安が解消され、応募しやすくなります。
また応募者を増やすためには、そもそも、魅力ある会社でなければなりません。人が辞めない職場環境の整備、社内制度の設計や、人材育成の仕組みづくりを構築して、より魅力的な会社にしましょう。
- 回答者
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社会保険労務士 吉岡 早苗
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