ビジネスQ&A

留学中の中国人を雇用していますが、卒業後も働けますか?

当社は正社員15名、アルバイト60名で居酒屋を数店舗経営しています。アルバイトの中には留学中の中国人が何人かいます。その中には卒業後も引き続き当社で働きたいと思う者がいます。引き続き雇用しても問題はないでしょうか?

回答

留学生が卒業し、そのまま在留して、就労できるためには、在留資格の変更が必要になります。就労可能な在留資格に変更できるかどうかを出入国管理局に確認することが必要ですが、ホールや皿洗い等の単純業務であれば認められない可能性が大です。

我が国に入国し働くためには、就労が認められている在留資格を持っていなくてはなりません。日本に在留する外国人には、27種類の在留資格のうちそのいずれかを与えられており、就労の可否で区分すると以下の表1のとおりとなります。

 就労できる在留資格  就労できる在留資格
表1 就労できる在留資格

就労可能な資格の代表的な例としては、システムエンジニア等の「技術」、通訳等の「人文知識・国際業務」、外国料理のコック等の「技能」などがあります。

これに対し、就労できない資格としては、観光等の「短期滞在」、大学に入学するための「留学」などがあります。

【留学中の就労について】

留学生は、就労できない資格になりますが、法務大臣の許可を受けた場合に限り、一定時間内の就労が認められます。これを「資格外活動許可」といいます。

この許可を受けると、1週間のうち28時間(聴講生、研究生、専ら聴講による研究生、科目等履修生は14時間)まで働くことができます。また、夏休みなど学校が長期の休みに入ったときには、1日8時間まで働くことができます。

【卒業後の就労について】

飲食店で接客等のアルバイトに就いている場合の多くは、この「資格外活動許可」を受けて働いていると思われます。このような外国人が学校を卒業しそのまま働くためには、今までの「留学」による在留資格を別のものに変えなくてはなりません。変更するためには、在学中に入国管理局に在留資格の変更申請をしなくてはなりません。

その結果、就労できる在留資格に変更できれば、そのまま雇用することができます。しかし、変更できなければそのまま在留することはできず、雇用し続けることもできません。一般的には国内にいることができず、帰国することになります。このように外国人のアルバイト店員にとっては卒業後の大事な進路になりますので、早めに在留資格の変更ができるかどうか、確認することをお薦めします。

そもそも就労を目的とする外国人に対する日本の受入方針は、「専門的な技術、技能または知識を必要とする業務および外国の文化を基盤とする思考や感受性を必要とする業務に従事する者で、一定水準以上の者に就労資格を与える」というものです。つまり、単純労働に従事することを目的とした在留資格は、日本には存在しないということです。

したがって、留学生が卒業後、引き続き日本で就職をする場合には、「留学」という在留資格から就労活動ができる「技術」、「人文知識・国際業務」等の在留資格に変更することが必要になります。

回答者

中小企業診断士 大内 康弘

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