ビジネスQ&A
初めて人材の採用をするのですが、失敗しない採用のポイントを教えてください。
IT関連企業(資本金300万円、従業員3名)を東京都内で経営しております。もともと気心の知れた友人同士で始めた会社ですが、今年で3年目を迎え、新たに3名ほどスタッフを採用して、業容の拡大を図りたいと思っています。しかし、人材の採用はこれまで一度も経験したことがありません。人材採用に関してのポイントを教えてください。
回答
人材の採用は慎重に行ってください。一度採用するとむやみに解雇することはできません。納得いく人材が見つかるまでは採用しない方がよいでしょう。また、求人媒体によっても応募者の特性は異なりますので、求める人材像に合わせた選択も重要です。
中小企業にとっては、業容の拡大を図るために、いかに優秀な人材を採用できるかどうかが、さらなる成長のポイントになります。大企業のように多くのスタッフが働いていれば、一部のスタッフの能力が低くても全体のレベルは大きく下がりません。しかし、ご質問のケースのように従業員が少数の場合であれば、採用する人材の能力が業績に大きな影響を及ぼします。また、人材を新たに採用するということは、当然人件費が高くなり、固定費も上昇します。したがって、中小企業の人材の採用には、細心の注意を払うことが必要となります。
【採用の手順とポイント】
具体的な採用の手順とポイントは、以下のとおりになります。
- 自社の求める人材像、採用人数、給料などの待遇面などを検討します。また、採用コスト(媒体掲載費用、面接の人的コスト)の予算なども検討しておきましょう。
- 求人広告を掲載します。
1.求人広告の掲載
<募集媒体の選択>
- 求人雑誌への掲載
- インターネットへの掲載
- ハローワークなどの公的機関の活用
求人広告の掲載の留意点としては、下記のとおりとなります。
(1)労働条件や業務内容をなるべく詳細に記載しましょう
面接応募者は、入社する企業の労働条件や業務内容を見て求人申し込みをします。その労働条件や業務内容はなるべく詳細に記載しましょう。また、その際に、業務内容はありのままに記載しましょう。過大な求人を載せることで、優秀な人材が面接に来るかもしれませんが、結局入社後に本当のことは分かりますので、長続きしないでしょう。
(2)男性だけ、女性だけの募集、年齢制限を設けた募集は出来ません
労働者の募集・採用、配置・昇進、教育訓練、福利厚生、定年・退職・解雇にあたっては、男性と女性の差別的取扱いは、原則禁止とされています。
また、労働者の募集・採用にあたって、年齢の制限を設けることも原則できません。
(3)募集媒体によって人材の質に違いがあります
一概には言えませんが
- 求人雑誌の場合は、地域ごとに掲載される場合が多いため、比較的近くに住む人からの求人が多くなる傾向にあります。また、フリーペーパー求人誌の場合は、さらに地域が絞られるため、さらに近隣からの求人が多くなります。よって、交通費の負担額が抑えられる可能性があります。
- インターネットの場合は、全国に対して情報発信しますので、比較的遠方からの求人申し込みがあります。したがって、交通費負担は多くなる傾向にあるようです。また、インターネットは気軽に求人申し込みができるため、人材の質にもバラツキが出る傾向にあるようです。しかし、優秀な人材が集まる可能性も高くなります。また、若い人材が集まりやすいというのも一つの特徴です。
- ハローワークの場合は、比較的高齢者の求人申し込みが多くなります。どのような人材を求めているのかにより、求人媒体を使い分けましょう。
【面接のポイント】
書類選考の後、面接を行います。面接時の留意点としては、下記のとおりです。
(1)面接はなるべく複数回・複数人数で行いましょう
中小企業の場合、比較的1人の担当者が1回の面接で採用の合否を決めてしまう傾向があります。しかし、このような採用活動は担当者の主観が入りやすくなります。これを防ぐためには、1次面接・2次面接というように複数回面接を設けるか、複数人で面接を行うことにより、主観をある程度排除することができます。
(2)社長自ら面接しましょう
社長みずからが面接を行うことで、社長が求める人材像に比較的近い人材が見つかる可能性が高くなります。また、応募者から見ても社長自らが積極的に人材発掘に関わっているというよいイメージを与えることができます。
【採用選定】
採用選定の際には、第1候補、第2候補、第3候補くらいまでは選んでおいた方が無難です。ただし、従業員として雇用してしまえば自社に合わないからといってむやみに解雇はできなくなりますので、慎重に採用する人材を選定する必要があります。
また、不採用者の履歴書は立派な個人情報です。個人情報保護法の観点からも、できるだけ履歴書は返送するようにしましょう。
- 回答者
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中小企業診断士 渋谷 雄大
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