ビジネスQ&A

店頭で目立つパッケージにするためのポイントについて教えてください。

焼菓子を製造しており、新商品を開発しスーパーなどの店頭で販売したいと考えています。類似した製品はいろいろとあるため、パッケージにおいても差別化できないかと考えています。パッケージによる差別化方法として、どのようなポイントがあるのでしょうか?

回答

パッケージにより差別化を図る方法として、(1)パッケージの形態・素材による差別化、(2)表面加工による差別化、(3)デザインによる差別化、(4)ネーミングによる差別化などが考えられます。

パッケージには、内容物の保護機能、輸送機能のほか、表示機能があります。量販店ではセルフセレクションが前提となるため、パッケージの表示機能は販促面において重要な役割を果たし、「サイレントセールスマン」と呼ばれています。

販路によってパッケージの表示機能に求められる条件は異なり、専門店では高級感や上品さを前面に押し出した商品づくりが必要になりますが、スーパーや量販店では、大量陳列によって競合商品で溢れているため、はっきりと目立つ方向でのパッケージが求められてきます。今回のような新製品においては、店頭POPなどの宣伝活動をしない限り、認知度が低いために関心をもってもらえず、埋もれてしまう可能性があります。

そういう意味で、「パッケージによる差別化を図って、まずは消費者の手に取らせる」ことは非常に意味のあることと思われます。

店頭でパッケージを目立たせるために、次のような観点での検討が考えられます。

【パッケージの形態・素材】

せんべいのような焼き菓子は、透明な袋で四角くパッケージされているのが一般的です。

形状の差別化の工夫として、袋の上を紐で縛る、細長いパッケージにする、チャックを取り付けるなどがあげられます。また、素材自体を紙やプラスチックの成形品にする方法もあります。その場合には、パッケージの外観を箱状やカップにしたものなども考えられます。紙の箱は、単なる四角い箱だけではなく、六角形や円形などさまざまな形状が考えられます。

【表面加工処理】

パッケージを透明な袋にした場合には、アルミ箔のラベルシールをパッケージ表面に貼り付けることで、光沢を与えることも考えられます。紙の箱であれば、光沢を出すコーティング加工や箔押し、アルミ箔の使用などにより、意匠性の高いパッケージが可能となります。

パッケージの形態・素材、表面加工処理については、ロットなどの条件によっては非常にコスト高になったり、特別な設備が必要となったりする場合もあるので、注意が必要です。また、形状には特許や意匠などの知的財産権が設定されていることがありますので、確認が必要です。完全ではありませんが、簡易検索方法として、下記の関連情報の欄に記載した特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)で調べて確認してください。

【デザイン】

上述による差別化においては、コストを要することが多いのに対し、デザインや後述するネーミングによる差別化は、特別なコストを要しないことが多く、小ロット商品でもほかと比べてインパクトのあるパッケージが、低コストでつくりやすいという特徴があります。

デザイン面で差別化するときのポイントとして、配色の工夫、ロゴタイプ、シズル感溢れる写真の利用、キャラクターの使用などがあります。また、焼き菓子は中身が見えるように透明な袋のうえにデザインすることが一般的ですが、逆にパッケージを全面フルカラーでデザインすることで、差別化する方法もあります。ただし、色数も多ければ多いほど派手なデザインが可能となりますが、印刷費が上昇してしまいコストアップする点には注意が必要です。

キャラクターにおいてオリジナルなものを創作する場合には問題ありませんが、著名なキャラクターを利用する場合には、著作権や利用料なども併せて検討する必要があります。

【ネーミング】

語呂のよいネーミングやインパクトのあるキャッチコピーは商標名としての機能だけではなく、人を引きつける力があります。消費者の記憶に刷り込ませることができれば、その後の繰り返し購買も期待できます。

ネーミングは消費者ターゲットと商品コンセプトに基づき関連する単語をならべるところから始まります。2つ3つの単語をつなげたり、キーワードの一部をもじったりして、可能な限りリストアップしていきます。ネーミングで使われる手法として、こだわりを長文で説明する、話しかけるような表現にする、単語を別の言葉や外国語で書き換える、短い単語で歯切れをよくする、重厚な表現で老舗感を与える、そのターゲット世代に共感させるキーワードを用いるなどがあげられます。

ネーミングのリストからその商品をもっとも的確にいい表し、製造者の思いが伝わるネーミングを選択します。ネーミングは、もっともコストがかからず、誰にでもできる差別化方法と言えるでしょう。最後に、ネーミングを決定する際には、すでに商標が出願されていないかを確認しておく必要があります。

回答者

中小企業診断士 網 健作

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