経営ハンドブック
公的支援の受け方
資金に加え、専門家やマッチングの紹介も相談できる
商品開発や販路開拓、海外展開にはコストがかかる。まずは自社の課題を正確に把握するため、中小企業のために国が設置した無料の経営相談所「よろず支援拠点」、地域の商工会や商工会議所に相談してみる。各種施策を紹介してもらえたり、専門家の支援を受けられたりする。
商品開発や販路開拓、海外展開を対象とする公的支援に当たっては、中小企業の計画立案力や実行力に対しても高いレベルが求められることがある。
販路開拓や商品開発、海外展開に関連する公的支援
- 商品開発:実用化の研究も支援対象になる
- 販路開拓:専門家やマッチングを活用する
- 海外展開:専門家も現地情報も探し出せる
1.商品開発:実用化の研究も支援対象になる
直接的な製品開発ではなくとも、将来的に画期的な製品やサービスにつながる研究開発に投資することは、商品の信頼性や精度を高めたり、思いがけない新商品の開発を招き寄せたりする可能性を広げる。そうした活動を支援するため、研究開発費や専門的な知識の教育に関する支援制度がある。
「戦略的基盤技術高度化支援事業」は、中小企業による情報処理や精密加工などのものづくり基盤技術の向上を図ることを目的としている。大学や公設試験研究機関などと連携し、中小ものづくり高度化法に基づく認定を受けた特定研究開発等計画が対象となる。窓口は、担当経済産業局となる。
2.販路開拓:専門家やマッチングを活用する
技術力や開発力はあるが、営業力がない企業に対しては、ハンズオン支援(専門家派遣)が有効だ。中小企業基盤整備機構による「販路開拓コーディネート事業」では、マーケティング企画のブラッシュアップ、テストマーケティングの実施や同行訪問について専門家の協力が得られる。
同じような制度は自治体にもある。例えば、東京都では「ニューマーケット開拓支援事業」として、営業経験や製品開発の経験を有する企業のOBが商社やメーカーなどに紹介してくれる。自社がある自治体に同様の制度が用意されているかどうか、調べてみるといいだろう。
ビジネスマッチングの場も積極的に活用したい。民間や自治体、金融機関などで展示会や見本市を開催している。自社の商品やサービスに合うイベントに参加すると、新しいネットワークが見つかる可能性がある。
販路開拓に取り組む中小企業を支援する補助金制度もある。その1つが「国内・海外販路開拓強化支援事業費補助金(地域産業資源活用事業、小売業者等連携支援事業)」だ。市場調査や新商品開発、展示会などへの出展といった経費について、上限額500万円として補助をする。ただし、地域産業資源活用事業計画の認定を受けている必要がある。
3.海外展開:専門家も現地情報も探し出せる
海外展開の代表的な支援機関と言えば、ジェトロ(日本貿易振興機構)だ。輸出や直接投資についての専門家がそろっているほか、展示会や見本市、海外視察といったイベントの情報も充実している。
また、中小企業庁では「経営サポート『海外展開支援』」として、海外展開を目指す中小企業向けに各種支援施策や制度情報などを案内している。
最後に、省庁や自治体ごとにさまざまな支援制度があるが、網羅的に掲載されているサイトを2つ紹介する。支援制度は頻繁に更新されるので、自社の方針を検討したうえで、積極的に情報収集をすると適切な支援制度と出合う確率を高められる。