経営ハンドブック

商品開発・市場開拓のための企画書の書き方

魅力的なタイトルと説得力のあるデータで伝える

商品開発や市場開拓では、アイデアを実行していくために、社内のコンセンサスを取る必要がある。そのときに作成するのが企画書だ。企画趣旨や目的、詳細な内容説明に加えて、現状分析、将来予想、影響、メリット・デメリットなど、さまざまな観点から検証し、そのうえで分かりやすく書かれていることが求められる。

採用される企画書の作成に当たってのコツをここでは紹介する。

企画書作成のコツ

  1. 言いたいメッセージが明確に伝わる
  2. 会社の立場や要望に沿っている
  3. 魅力的なタイトルを付ける
  4. データに裏打ちされ、効果予測が入っている

1.言いたいメッセージが明確に伝わる

言いたいことを効果的に伝えるためには、文書全体に一貫性と説得力を持たせることが重要だ。表現の工夫も大切だが、文章の流れ(ストーリー)に配慮する。文書作成では、通常、起承転結を意識するが、少ない分量で効率的に相手に情報を伝え、なおかつ強い印象を残すためには、先に結論や結果を述べてしまうのが効果的だ。結論を後回しにして「あっと驚かせる」という構成は、企画書では適切ではない。人が集中できるのは15分程度と心得たい。

また、アイデアのすごさを分かってもらおうと、「これも説明したい、あれも言いたい」と内容が盛り込みすぎの企画書も見受けられる。大事なことは、「分かりやすさ」だ。平易な言葉を使い、短く要領よくまとめること。そして、難解な文章になっていないか、意味が通じるか、誤字脱字がないかなど、必ず読み返してチェックすること。

2.会社の立場や要望に沿っている

企画が通るかどうかは、ひとえに経営者をはじめとする会社のメンバーの心を動かせるかどうかにかかっている。そのためには、次の基本を押さえておくべきだ。

「会社にとってプラスになる内容か」「課題を解決する案を提示しているか」

企画自体の面白さはもちろん、大切だ。しかし、売り上げの拡大やブランドの向上などを見込めないアイデアでは採用されない。この基本を押さえておく。

3.魅力的なタイトルを付ける

たとえ内容は同じでも、タイトル次第で相手の印象はかなり違う。それだけに、タイトルは慎重に考えたい。

タイトルで相手の関心を引きつけるのには2つの方法がある。

1つは、タイトル自体に工夫を凝らすことである。例えば、ハネムーンに対比させた旧婚旅行を意味するネーミングである「フルムーン」、会社員向けの商品を想起させる靴下「通勤快足」などは、商品自体の企画とその魅力を余すことなく伝えており、タイトルで成功した例といえる。

2つ目は、サブタイトルで関心を引くことである。例えば、「販促企画のご提案」「資産運用安心プランのご提案」は、どこにでもありそうなタイトルで、興味を持つ人は少なそうだ。しかし、ここに「従来コスト50%削減の秘密」「20年後、お金の心配がない生活へのステップ」というサブタイトルが入るとどうだろう。メリットの具体的なイメージが湧くので、注目を集めることができる。この方法は、タイトルを凝りすぎるとプレゼンに支障を来す恐れがある場合に有効だ。

4.データに裏打ちされ、効果予測が入っている

企画書は、いかに内容に説得力を持たせるかが重要だ。そのためには、主張とその裏付けとなる情報=データがあることが前提となる。

データには、定量データと定性データがある。定量データは、数字や割合で表現できる調査結果を指す。例えば「全国に1,600万人の75歳以上の人がいる」「東京には年収1,000万円以上の人が10%いる」などだ。一方、定性データは思ったことや感じたことなどを表現する分析結果となる。例えば「○○は苦味が強すぎると思う」「△△は爽快な感じがする」といった具合だ。

最後のポイントは、企画が実行されたときの効果についても、データとして示したい。重要な判断材料となるためだ。効果の示し方は次のようにする。

  • 予想売り上げなどの経済的効果を示す
  • 同様の事例があればその数値を参考にする
  • 同様の事例がない場合は、比較的似た分野のものから推定する

なお、効果を示すデータがすぐ見つかるとは限らない。常日頃から関心を持って人や情報に接し、その中から有益な情報を蓄積していくように心がけたい。

商品開発の企画書の例

企画書のサンプル

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