ビジネスQ&A

クラウドファンディングについて教えてください。

地方都市で環境ビジネスをテーマにベンチャー企業を立ち上げようと考えています。従来の資金調達方法の他に、クラウドファンディングという手法があることを耳にしました。どういったものなのか教えてください。

回答

クラウドファンディングは、プロジェクトを立ち上げた人や法人に対し、不特定多数の人が、購入・寄付・金融といった形態で資金を供与する仕組みのことです。これまでの手法では資金調達が難しかった「社会的な課題の解決」等の分野で、この仕組みの普及が見込まれています。

【クラウドファンディングとは】

クラウドファンディング(crowd funding)とは、不特定多数の人が、インターネット等を通じて、他の人々や会社、各種団体に資金提供などを行うことを指す言葉です。ソーシャルファンディングと呼ばれることもあります。

明確な定義があるわけではなく、さまざまな解釈がありますが、一般的には「何かを実現したい」というプロジェクトを立ち上げた人や会社に対して、不特定多数の人が寄付・購入・金融といった形で金銭的に支援をし、発案者はそれで得た金銭を使ってプロジェクトを実現していく、といったイメージで定着しています。

これまで、非上場企業が資金を調達する場合、出資者を見つけ出し出資をお願いするか、金融機関からの融資を受けるくらいしか方法がありませんでしたが、インターネットの普及により、小口の出資者を大量に集めることが物理的に可能になってきたことにより、登場した資金調達手法です。

また、従来日本では法律の規制があり、出資が認められず、寄付という形をとるのが大半でした。よって、特定のアーティストや団体に寄付をするという形の運用が大半でビジネスには使いにくいものでした。しかし、2014年に金融商品取引法が改正され、1人当たり50万円を上限に、総額1億円未満の資本調達が可能になったことで注目を集めるようになってきています。

【クラウドファンディングの形態】

クラウドファンディングの形態を分類すると、以下の3つに分類できます(4つ、5つに分類しているケースもあります)。

1.購入型

物品や権利を購入することで、プロジェクトを支えるやり方です。日本では、東日本大震災の被災地復興の手段として活用され、注目されました。被災者が製造した製品を買うことにより、経済的に復興に寄与したと評価されています。

他の事例としては、あるアーティストの作品を購入することで、その人の活動をサポートしたり、地場産業(例:家具)の再興を支援する目的で、その製品を購入したりといったことが挙げられます。

2.寄付型

寄付型のクラウドファンディングは、他の2つのタイプとは異なり、リターンを求めないという特徴があります。例としては、被災地域の復興に対する寄付や、発展途上国の子供たちへの寄付といったことが挙げられます。

従来の募金や寄付と大きく異なるのは、インターネットなどを介して、プロジェクトの進捗状況を報告することで、資金の使途がわかりやすく、透明性があると言った点です

3.金融型

プロジェクトに対して投資したり融資を行うのがこのタイプです。資金提供者はリターンとして、株式や利子・配当収入を得られます。株式を売ることで、キャピタルゲインによる収入を狙うこともできます。

日本では法規制があり、これまでは普及していませんでしたが、先述したとおり、法改正により出資が可能になり、今後伸びて行く形態であろうと言われています。

利用方法としては、たとえばゲーム会社が新たなゲームを作る場合、リスクの大きさや開発期間の長さ、発売までの資金負担が課題になっていましたが、この仕組みを活用することにより、開発リスクの低減や、開発期間中の資金繰りを容易にするなどのことが想定されています。

【クラウドファンディングのこれから】

クラウドファンディングは、通常の資金調達とは異なり「やりたいこと」や「夢」、あるいは「社会的な課題の解決」に対して、多くの人からお金を集める仕組みです。 通常の資金調達では実現できなかった、ビジネスや個人の活動を支える可能性があるものと言えるでしょう。

地方自治体でも、クラウドファンディングの仕組みを活用し、街の整備に役立てるなど新たな動きも出てきています。

世界的にも伸びているクラウドファンディングの仕組みは、日本でも今後大きく伸びていくことが期待されています。

回答者

中小企業診断士 遠藤 康浩

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