ビジネスQ&A
融資を受けられずに困っています。どうしたらよいでしょうか?
当社はプラスチック製造業で、新商品開発に意欲的に取り組もうと思っていますが、取引銀行から希望する融資条件で融資を受けることができず、予定した開発ができなくなっています。このままでは、開発が頓挫してしまいます。融資を受けるにはどうしたらよいのでしょうか?なお、この新商品開発について、新事業活動促進法の経営革新計画の承認を得ています。
回答
取引銀行から融資を受けられないときは、普段取引のない別の金融機関に相談しましょう。その際、より具体的な資金計画などを提示するなどして情報開示を心がけ、開発にかける熱意をアピールしましょう。その際、経営革新計画の承認もしっかりアピールしましょう。
まず、ご理解いただきたい点が1点あります。それは、経営革新計画の承認によって希望する融資が必ず受けられるわけではないということです。承認は、新事業活動促進法の低利融資を受ける前提条件であって、融資の審査そのものは金融機関の判断となります。つまり、経営革新計画の承認と融資決定は連動していないのです。あえて説明するなら、承認は大学入試センター試験のようなもので、希望する大学に入るにはその大学の試験を別に受けなくてはいけないのと同じです。
よって、新事業活動促進法の経営革新計画の承認申請をするにあたり、承認後に低利融資を希望する際は、事前に融資を希望する金融機関と話し合いをしていることが必要ですが、融資決定が承認の要件ではないので、承認後に返済期間や利率などで調整がうまくいかずに希望に添わないことがあります。
では、最初の融資希望先に融資を断られた後の対応ですが、次のことを検討してください。
【普段取引のない金融機関に打診する】
まず、金融機関には政府系金融機関(主に中小企業金融公庫・国民生活金融公庫・商工組合中央金庫)と民間金融機関(都市銀行・地方銀行・第二地方銀行・信用金庫など)があります。まずは、普段取引のない金融機関に融資を相談してください。その際、経営革新計画の承認をすでに受けていること、新事業活動促進法の低利融資制度を受けたい旨も話すことで、しっかりとした企業であることをアピールしましょう。相談に行く際は、
- 経営革新計画の承認書
- 直近3期分の財務諸表(確定申告書とその添付書類の写しで税務署の収受印があるものがよいでしょう)
- 詳細な経営計画書(詳細は下記を参照のこと)
- 会社概要
といった書類を事前に用意されるとよいでしょう。
また、すべての開発資金を1つの金融機関で得ようとするのではなく、政府系金融機関と民間金融機関との協調融資にもっていくといったことも有効な手段です。その際は、政府系金融機関と民間金融機関とで、借入金のシェア(政府系金融機関から○%、民間金融機関から△%という割り振り)を決めることが必要です。金利負担の面から、政府系金融機関のシェアを大きくする方が得策です。理想としては、民間金融機関から融資に前向きな発言を引き出し、政府系金融機関において民間金融機関が融資に前向きである旨を伝えられれば、話しは前向きに進む可能性が高まるでしょう。
【より詳細な経営計画を策定して、借入金返済が確実であることをアピールする】
金融機関が一番関心をもつのは、融資した資金が確実に回収できるかです。そこで、承認を受けた経営革新計画に沿った形で、より具体的で詳細な経営計画を別途作成してください。とくに重要なのは、開発した製品の具体的売り先とそこから得られるキャッシュ(現金)の額です。売り先ごとの売上計画と得られたキャッシュから返済にいくら回せるかを表(「資金繰り表」)にして、借入金返済が確実であることをアピールしてください。また、担保がないかどうかも洗い出していただければよいアピールになります。
新たに金融機関と取引をする際は、相手の信頼を得ることが一番重要です。相手はまだ御社のことは知らないので、信用できる企業かどうかを見ています。相手の質問に誠実に答え、求められた文書があれば迅速に提出して、良好な信頼関係を構築してください。こうすることで、取引のなかった金融機関から融資を受けられる可能性が高まるでしょう。
【それでも融資が受けられなかった場合】
このような場合、都道府県や市町村など地方自治体で行っている制度融資の活用もご検討ください。普段取引のない金融機関と並行して検討することでも構いません。地方自治体によって、制度融資の内容は異なりますので、一度地方自治体の商工関係部署に問い合わせてみてください。
また、経営革新計画の承認を受けているということは、御社にとってたいへんな強みです。たとえば、展示会に出展して、開発資金の出資先を募る際に、経営革新計画の承認を得ていることをアピールするなど、承認自体をアピール材料にして、活用する方法もあります。
- 回答者
-
中小企業政策研究会
同じテーマの記事
- ISO9000シリーズを取得したいが、取得費用を補助する制度はありませんか?
- 金融機関に提出する事業計画書の書き方を教えてください。
- 数社で連携して新事業を考えていますが、資金が足りません。何かよい支援策はないでしょうか?
- 社債を発行しようと思いますが、留意すべき点を教えてください。
- 資金繰り表って何ですか?また、どのようにして作成するのですか?
- 融資を受けられずに困っています。どうしたらよいでしょうか?
- 債務超過でも活用可能な中小企業支援策はありますか?
- メインバンクとの関係づくりのポイントについて教えてください。
- 金融機関からの借入を円滑に進めるにはどうすればよいでしょうか?
- 新たな印刷機を導入したいのですが、設備投資の資金を補助していただける制度はありませんか?
- デット・ファイナンスとエクイティ・ファイナンスの違いについて教えてください。
- セーフティネット保証制度について具体的に教えてください。
- ものづくりに取り組む中小企業への支援はありますか?※中小企業のものづくり基盤技術の高度化に関する法律は廃止されました。以下は令和2(2020)年10月1日以前の情報です。
- リスケジュールについて教えてください。
- 費用を削減するほかに、資金繰りをよくする方法はありませんか。
- 資本性劣後ローンについて教えてください。
- 経営者保証ガイドラインについて教えてください。
- クラウドファンディングについて教えてください。
- 補助金を活用するうえで小規模事業者だからこそ留意すべき点はなんですか。
- 黒字倒産とはどのようなものでしょうか?また、そうならないためにはどうしたらよいのでしょうか?
- 健康管理経営は、融資条件が有利というのは本当ですか?
- 自社に合う補助金を見つけるには、どうすればよいですか?
- 補助金のスケジュールを把握するには、どうすればよいですか?
- 信用保証協会の仕組みと、利用するメリットや留意点について教えてください。
- 補助金・助成金の違いや補助金活用における注意点について教えてください。
- なぜCREが企業価値の向上につながるのでしょうか?
- 賃金引上げに活用できる国の支援制度について教えてください。
- IT導入補助金の対象となる「ITツール」について教えてください。