ビジネスQ&A
コロナ禍で非対面型の営業を促進させたいのですが、どういった手法があるのでしょうか?
2021年11月24日
飲食店を営んでいますが、現在対面のみでの営業を行っております。
今後、非対面型営業にシフトしていきたいのですが、どういう手法を導入したらよいでしょうか。また、それを実現するためにどのようなITツールがあるでしょうか。
回答
新型コロナウイルスの影響もあり、社会全体として非対面型営業への転換が急速に進んでおり、飲食店でも同様に非対面営業が増加しています。
飲食店の非対面営業は、テイクアウトやデリバリー対応、ネット通販の活用が考えられます。それらに対応する予約システムの導入、余力があれば新商品を開発してネット通販を行うことも選択肢の一つです。
こうした非対面型営業へのシフトはコロナ対策だけではなく、店舗運営効率化の視点からもメリットがあります。キャッシュレス決済や注文システムの構築などにも合わせて取り組むことも良いでしょう。
ただし、非対面営業を実現するために、ITツールの導入により課題を解決するケースが多く、導入のためには費用面での負担があります。さらに、ITツール導入時に社内で使いこなすための体制が確立されておらず、使いこなせないまま眠ってしまうケースも稀に見受けられます。導入の際には、「誰が管理をするか?」「マニュアルを見て全員が理解できるのか」など導入するITツールの運用体制を計画しておきましょう。
※飲食店の場合、デリバリーやテイクアウト、ネット通販を行う場合に許可申請や、衛生面での対策が必要となる可能性がありますが、今回はIT面の回答として省略させて頂きます。
1.テイクアウトには、アプリやWebサービスを活用
テイクアウトの予約システムを導入するためには、自社でホームページを構築する方法と、アプリやWebサービスを活用する方法があります。最近は自社で構築することが少なく、初期費用が低く手軽に導入できるのアプリやWebサービスによる導入が進んでいます。サービスごとに特色があり、注文に加えて事前決済も可能なサービスもあるので、自社に必要な機能を把握して導入しましょう。
ただし、アプリやサービスで注文されやすくなる様、検索結果の上位に自社が表示されるために、基本料金だけでなく、広告料を支払わないといけないサービスもあります。サービスの導入にかかる費用だけでなく、そういった広告費用も含んだランニングコストを確認し導入を行いましょう。
サービス提供業者に集客まで全てまかせるのではなく、自社でテイクアウトを開始したことを宣伝することが重要です。
2.デリバリー導入は、自社に配達員がいなくても対応可能
最近では「uber eats(ウーバーイーツ)」を筆頭に、自社で配達員を雇わずともデリバリーサービスを導入させることができます。ウーバーイーツだけでなく他にも多くの事業者がエリア毎にサービスを展開しており、自社で配達員を雇わなくてもデリバリーサービスを導入させることができます。
費用面は、初期費用に加えて、売上金額の30~40%程度を手数料として徴収される仕組みとなっているのが一般的です。
しかし、自社の配達員ではないからこそ、配達員の質や管理が難しく、配送遅延で商品が冷めてしまったり、雑に扱われて商品が崩れてしまったりと、トラブルが発生する可能性があります。さらに、クレーム対応が良くないケースもあり、実際にトラブルも報告されています。
そのため、配達により時間が経過しても商品の味や美しさが低下しにくいような工夫が求められます。
例を挙げると、店内食ではスープをかけて提供しているメニューでも、スープを別容器に詰めて提供するなどです。
また、飲食店に非が無い場合でも容易にインターネット上に悪い口コミが拡散する恐れもあります。そういったリスクも踏まえた上で導入しましょう。
3.ネット通販の導入には、3つの方法から選択
ネット通販の主な手法としては「①自社でホームページ作成」「②ショッピングカートASP(サービス提供者のプラットフォームを借りて販売する)」「③モール型に出店(楽天市場やYahooショッピングなど)」の3つが考えられます。
インタ-ネット上での販売体制をどのようにして構築するのかが大きな違いですが、自社でどのくらいの売り上げを目指すのかで、決定させましょう。自社で構築する場合は導入費用がかかりますが、自由度や多く販売しても手数料が発生しません。ただし、モール型であれば初期導入費が安いのが特徴ですが、販売するたびに手数料がとられてしまいます。
4.注文システムの構築やキャッシュレス決済の導入
飲食店であれば、対面で注文や会計を行うことが一般的でしたが、非対面型営業を促進させるには、注文システムや食券機やセルフレジを導入することが有効な手段です。
注文システムでは、iPadなどのタブレット端末を客席において注文するシステムが主流ですが、利用客のスマートフォンからQRコードを読み取り注文をするモバイルオーダーシステムなども普及しつつあります。
また、会計も食券機やセルフレジを導入し顧客のみで会計を可能にすることができます。
キャッシュレス決済の導入は、衛生面だけでなく会計の手間が省かれること、お金の流れが把握しやすくなることが業務効率化につながります。加えて、消費者が飲食店でキャッシュレス決済を利用したいという傾向が強くなっており、キャッシュレス決済ができない店にはいかないといった考えの消費者も一定数存在します。そのため機会損失の低減にもつながります。
キャッシュレス決済は、電子マネーやQRコード決済の導入が挙げられます。
キャッシュレス決済で気を付ける点としては、多くの場合初期費用が掛かることや決済時に手数料がかかること、現金化までに期間がかかる点が挙げられます。
- 回答者
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中小企業診断士 牧野 孝治
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