ビジネスQ&A
経営コンサルタントをお願いすると、どのようなメリットがあるのですか。
わが社のように小規模な会社は、かける費用にあまり余裕がないのですが、経営コンサルタントをお願いするとどのようなメリットがあるのでしょうか?
回答
経営者の方はできるだけ経費を抑え、本業で収益をあげたいというお考えは間違いありません。その本業に専念するためにも、経営コンサルタントを活用することは、費用対効果の観点からきわめて有効です。とくに、従業員の少ない小規模な会社だからこそ、多くを兼務されている多忙な経営陣の方に代わって専門性を提供するなど、さまざまなメリットがあります。
いまや日本は驚くべきスピードで世の中が変わり、競争力のない企業はあっという間に淘汰されていきます。このような変化が激しい環境では、変化への対応力の早さが要求され、何よりも時間への価値がますます重要になってきます。いま現在、うまくいっていたことが、明日には通用しなくなることが多々あり、何よりもいままで抱えていた問題を放置すると、傷口が大きくなってますます収拾がつかなくなってしまうことになります。会社を経営する方々は、この変化への対応を間違えないことが、企業生き残り戦略のキーになるといっても決して過言ではありません。
しかし、日々の業務に追われている経営者の方は、自社の生産効率や営業効率以外に社内のことに目を向けて対応する時間もなく、ましてや自分の業界の少し外のこととなると知る機会も勉強する時間もなかなか取れないのが現状だと思います。
【経営コンサル活用の目的】
そのような環境においては、経営コンサルタントを活用することで、社内的にも社外的にも多忙な経営陣の気がつかない問題点の洗い出しや、気づいていてもなかなか対応ができていない問題点への対応が、可能になります。さらに、一人で悩んでいる経営者のよき相談役としての存在は、モチベーションの維持や向上の観点から見ても重要です。
一般的に企業が経営コンサルタントを活用する目的は、次の5つのことが考えられます。
- 経営管理やビジネスで企業が抱えている諸問題を解決するため。
- 新たなビジネスチャンスを探し、企業の飛躍を目指すため。
- 会社組織の目的や目標の設定やその達成に向けてのサポートをしてもらうため。
- 従業員や経営陣のモチベーションを上げて、業務効率を向上させるため。
- 新たなる変革を実施し、合理化や付加価値の向上を目指すため。
具体例を下記にいくつかあげます。
- 従業員の入退社が多く、現在の就業規則で対応できていない。
- 新たな商材を発掘したが、未知の分野をどのように調査し分析すればよいかわからない。
- ISO対策や安全衛生対策を考えたいが、知識のある人間が社内にいない。
- いつも会議では同じような意見ばかりが出て停滞ムードになっており、進歩がない。
- 会社の方針が従業員に理解されず、実施できないのはなぜだろうか。
- 借入や補助金を得るために事業計画書が必要だが、社長は考える時間がない。
現在中小企業が抱える問題は多種多様にわたっており、実際の悩みはまだまだあると考えられます。これらを解決するためには、多くの事例に明るく常に最新の情報をもっている経営コンサルタントを活用すれば、この変化の時代にもっとも重要な時間の短縮(問題解決や変革に向けての試行錯誤の時間の短縮)が図れることになります。
【経営コンサルの国家資格「中小企業診断士」】
経営コンサルタントは日本全国にたくさんいますが、とくに名称認定の基準がありません(経営コンサルタントと名乗ることは誰でもいつでも自由にできるということです)。その現状を踏まえると、自社の問題解決に経営コンサルタントを活用するには、信頼できるコンサルタントを選ばなければなりません。その際に参考になるのが、「中小企業診断士」の資格です。
「中小企業診断士」とは経営コンサルタントの国家資格として認定され、以下のような一定の基準をクリアしたコンサルタントが登録しております。
- 国家資格認定のために、中小企業大学校卒業もしくは国家試験の合格者で構成される。
- 中小企業診断協会を中心に、診断士間の業種・業態を超えたネットワークがある。
- 倫理規程により、守秘義務遵守などのルールがある。
- 理論と実務研修が更新要件にあり、資格取得後も常に最新の情報を更新している。
- 複合した問題には、専門家間の連携により対応が可能である。
これらの一定の水準・規定のもと、「中小企業診断士」は経営戦略立案・販売戦略・生産管理・人事労務管理・財務戦略・IT戦略などに明るい専門家集団です。
実際にコンサルタントの選定を行う場合は、まず「都道府県等中小企業支援センター」にご相談ください。
そこで経営に関するさまざまな問題に対応できる中小企業診断士を含めた専門家が登録されており、さらに同センター経由であれば、専門家費用の補助がなされるので、企業負担は軽減されます。また別の方法として、各都道府県にある中小企業診断協会の各協会に直接ご相談される方法も可能です。
- 回答者
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中小企業診断士
秋島 一雄
- 関連情報
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中小企業庁
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一般社団法人 中小企業診断協会
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