中小タスクが行く!
第20回:食品表示の新ルール編
2019年 11月 5日
新「食品表示法」への移行は、もうお済みですか?
食品事業者は今一度ご確認ください!
平成27年から「食品表示法」が施行されています
食品表示法は、従来の「JAS法」「食品衛生法」「健康増進法」の3法の食品表示に係る規定を一元化して、消費者、事業者の双方にとって分かりやすい制度を目指したものです。
従来の3法から、新ルールへの主な変更点は以下の4点です。
- アレルギー表示に係るルールの改善
- 栄養成分表示の義務化
- 原材料と添加物の区分を明確に表示
- 新たな製造所固有記号への移行
細かな変更点については、消費者庁「早わかり食品表示ガイド」を確認してください。
新ルールに基づく表示への移行は、令和2年3月31日まで
さて、前述したとおり、食品表示法は平成27年から施行されており、現在は経過措置期間、つまり、移行のための猶予期間にあたります。
加工食品及び添加物の表示の移行期間は令和2年3月31日までとなっており、上記1.~4.については、この期間内に新ルールに基づく食品表示に切り替える必要があります。食品表示法に違反すると、立ち入り検査の執行や、懲役もしくは罰金の罰則がありますので、注意が必要です。
では、どんな点に気を付けて、新ルールへの対応を行えばよいのでしょうか? 特に間違えやすい「3.原材料と添加物の区分を明確に表示」について、マンガの続きを見てみましょう。
食品表示の新ルール、4つのポイント
食品表示の新ルールへの主な変更点は、前述したように、
- アレルギー表示に係るルールの改善
- 栄養成分表示の義務化
- 原材料と添加物の区分を明確に表示
- 新たな製造所固有記号への移行
の4点です。
この4点の表示例は、次のようになります。
1.アレルギー表示に係るルールの改善
- 従前の「特定加工食品*1」による表示や「特定加工食品の拡大表記*2」による表示が廃止となりました。そのため、これまで“卵が使われているのは常識”として表記の必要がなかったマヨネーズなども、「卵を含む」などと特定原材料*3を全て記載することとなりました。
- 特定原材料として表示が義務付けられているのは「えび、かに、小麦、そば、卵、乳、落花生」の7品目です。また、特定原材料に準ずるものとして「あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン」の20種類の表示が推奨されています。
- 特定原材料は、原則として、それぞれの原材料の後にカッコ書きする方法(個別表示)で記載します。
- 表示スペースの都合など、アレルゲンの個別表示が難しい場合は、例外的に、一括して「一部に乳成分・小麦を含む」などと書いても可。
- 添加物の場合は、「(○○由来)」と表示。なお、乳については、「(乳成分由来)」ではなく「(乳由来)」と表示。
*1 特定加工食品……表記に特定原材料等を含まないが、一般的にアレルゲンを含むことが予測できると考えられてきた食品(例:オムレツ←卵を含む、うどん←小麦を含む)
*2 特定加工食品の拡大表記……表記に特定加工食品の名称を含むことにより、アレルゲンを含むことが予測できると考えられてきた表記(例:からしマヨネーズ←卵を含む、ロールパン←小麦を含む)
*3 特定原材料……食物アレルギー症状を引き起こすことが明らかである食品のうち、とくに発症者数や症状の重症度が高く、表示する必要性の高い食品のこと。
2.栄養成分表示の義務化
- 原則として、全ての消費者向け加工食品及び添加物への栄養成分表示が義務付けられました。容器包装に入れられた消費者向けの加工食品には、熱量、たんぱく質、脂質、炭水化物及びナトリウムの量の表示が必要です。
- 栄養成分の量及び熱量については、100g、100ml、一食分、一包装などの「食品単位」あたりの量を表示してください。この場合、一食分である場合は、一食分の量を併記してください。
- たんぱく質、脂質、炭水化物及びナトリウム以外の栄養成分については、以下の【任意】のものを表示することができます。
【義務】熱量、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウム(「食塩相当量」で表示)
【任意(推奨)】飽和脂肪酸、食物繊維
【任意(その他)】糖類、糖質、コレステロール、ビタミン・ミネラル類
3.原材料と添加物の区分を明確に表示
- 添加物の事項名を設けて表示するか、または漫画でも紹介したように、原材料名の欄に原材料と添加物を明確に区分して表示する必要があります。
4.新たな製造所固有記号への移行
- 製造者や製造所、所在地の明示が義務化されました。そのため、表示内容に責任を有する者の氏名又は名称及び住所を表示しなくてもよい場合も、製造所・加工所の所在地および製造者・加工者の氏名もしくは名称は省略できなくなりました。
- 原則、同一製品を二以上の製造所で製造している場合は、消費者庁に届出た製造所固有記号を使用できます。その場合には下のうちどれかの項目を表示する必要があります。
■情報提供も求められた場合にその回答をする担当者の連絡先
■製造所の住所などを表示したウェブサイトのアドレスなど
■商品の製造を行う製造所のすべての住所など
ただし、業務用食品の場合に関しては、製造所の数に関わらず製造所固有記号を使用することができます。また、上記の項目を表示する必要もありません。 - 製造所固有記号は、「製造所固有記号制度届出データベース」を使用した届出が必要です。
- 製造所固有記号を表示する際は、記号の前に「+」をつけます。
1.~4.の詳細については、「早わかり食品表示ガイド」を参照してください。
新設された「機能性表示食品制度」とは?
また、食品表示法で新設されたルールとして「機能性表示食品」制度があります。
従前は、機能性を表示することができる食品は、ヒトによる臨床実験を経て国が個別に許可した「特定保健用食品」(トクホ)と、国の規格基準に適合した栄養機能食品に限られていました。
今回新設された「機能性表示食品」とは、事業者の責任において、科学的根拠に基づいた機能性を表示した食品です。トクホの場合は、消費者庁が事前に審査し許可が出てから、食品の製造・販売が可能となりますが、機能性表示食品の場合は消費者庁に資料を届け出れば製造・販売が可能になります。また、「おなかの調子を整えます」「脂肪の吸収をおだやかにします」など、特定の保健の目的が期待できる(健康の維持及び増進に役立つ)食品の機能性を表示することができるようになります。ポジティブな機能を表示することは、消費者にと強いアピールとなるため、食品事業者はぜひ知っておきたい制度です。
「機能性食品表示」制度についての詳細は、こちらを確認してください。
余裕をもって切り替え準備を!
繰り返しになりますが、食品事業者は、新表示への切り替えを、来年(令和2年)3月31日までに済ませる必要があります。既に新表示への切り替えを終えている企業も少なくありません。経過措置期間終了間近になって焦らないように、余裕をもって切り替えを進めましょう!