売上アップの教科書
サービス:プラスワンのサービスで満足度アップ(店舗力5回目)
解説
サービスは目に見えない商品であり、他のお店との差別化の要素にもなります。本業と関連する、さらなる付加価値サービスやプラスワンサービスを提供できるかが、お客さまの満足度に大きな影響を与えます。
プラスワンサービスを考える際は、お店が取り扱っている商品・サービスと、そのターゲット双方の特性を考慮することが求められます。
1つ目は、販売している商品やサービスをより買いやすくしたり、よりお得に買えるようにしたりする方法です。具体的には、(1)多く買うことで必ず安くなったり、得をしたりするポイントカードを発行する、(2)単純にクーポン券を渡して再来店を促す、といった手法です。
これらは、販促活動で王道の手段ですが、安く買いたいという欲求はあらゆる商品に対する共通の欲求で、確実に効果があります。さらに、単なる値引きセールとは異なり、店頭の価格を一時的にでも変更する必要がないため、お店に安売りをしているイメージがつかないというメリットがあります。
このような直接的手法以外では、返品対応が有効な施策です。買うかどうかを悩むような高い商品や、買わないと内容や価値がわからない商品の場合は、一定の条件(購入後の期間、未開封、レシート持参、金額など)のもと、返品可能とします。この対応をするだけで、これまで躊躇していたお客さまも、安心して買い物ができるようになるのです。
2つ目は、購入への障害や、人間の肉体的に弱い部分や苦手とする部分を補完する方法です。たとえば、お店に来店する方が体力の弱い高齢者だった場合、一度に多くの商品が運べなかったり、重いものや大きいものが持てなかったりします。
その結果、せっかく買いたいと思っても、必要とされる量を買いきれなかったり、買うこと自体をあきらめたりしてしまいます。いわゆる、「機会損失」となるわけです。対応策としては、自宅までの宅配サービスが有効となります。
また、一度に多くの量を食べることができない1人暮らしのお客さまや、初めて購入するのでどんな商品・サービスかが不安なお客さまは、通常販売の量や時間では多すぎるため、購入を躊躇することがあります。この対策としては、量り売りで好きな量を買えるようにしたり、サービスであれば一部を体験できるコースを用意したりします。
まずは、お客さまの店内の行動や会話から、提供している商品やサービスに加え、何を提供すればさらに価値を感じてもらえるかを把握することから開始するとよいでしょう。
プロフィール
亀田 憲 (かめだ けん)
1975年生まれ。中小企業診断士。1998年(株)東急エージェンシー入社。セブン・イレブンのプロモーション企画に携わり、100本以上の販促企画を立案・運営。「セブン・イレブン10,000店企画」で2004年プロモーションアワード受賞。2007年より、ウォルト・ディズニー・ジャパン(株)にて商品開発、広告宣伝のマネジメントに従事。現在は大手スポーツメーカーで、マーケティング全体をマネジメントしている。
診断士としては、月刊「企業診断」での連載ほか、企画立案・ブランド構築を主テーマにセミナー講師としても活動。著書に「お金をかけずにスグできる!販促Q&Aノート」(同友館)がある。
著者コメント:「販促Q&Aノート」では、本連載のチェックシートを基礎力とした販促アイデアを70紹介。(1)1テーマが見開き完結、(2)実行までのステップを丁寧に解説した、買ったその日から行動できるアイデア集です。ぜひ、本連載と合わせてご活用ください。
掲載日:2011年12月 6日