ビジネスQ&A
税金の電子申告について教えてください。
2021年 9月3日更新
国税・地方税ともに税金の申告を電子申告により行えると聞きました。その概要とメリットについて教えてください。
回答
国税についてはe-Taxにより、地方税についてはeLTAXにより、税に関する各種の手続を、インターネットを利用して電子的に行うことができます。距離的・時間的な制約がなくなるほか、eLTAXについては窓口の一本化というメリットがあげられます。
電子申告システムは、国税については「国税電子申告・納税システム」、地方税については「地方税ポータルシステム」が稼働しています。
以下、それぞれの概要とメリットをご説明いたします。
【国税電子申告・納税システム「e-Tax」イータックス】
1.概要
e-Taxとは、国税である所得税、法人税、消費税、贈与税、印紙税、酒税などの申告や法定調書の提出、各種届出や申請などの手続を、インターネットを通じて行うことができるシステムです。
また、電子納税を行うことができます。インターネットバンキングやATMからの納付の他、預貯金口座からの振替により納付するダイレクト納付が利用できます。
ダイレクト納付とは、事前に税務署に届出等をしておくことにより、e-Taxを利用して電子申告等の送信をした後、届出をした預貯金口座から、簡単な操作で即時または期日を指定して口座引落しにより国税を電子納付する手続です。
2.メリット
(1)e-Taxを利用するメリット
- 税務署や金融機関に赴くといった距離的な制約がなくなる
- 税務署の執務時間以外でも受付システムが稼動している時間であれば、申告書等の提出や納税ができ、金融機関等の窓口に並ぶ必要もなくなるといった時間的な制約がなくなる
などの点が挙げられます。
(2)ダイレクト納付を利用するメリット
- 納付手続が簡単(電子申告等の送信後、簡単な操作で納付手続が完了)
- インターネットバンキングの契約が不要
- 即時または期日を指定して納付することが可能
- 税理士が納税者に代わって納付手続を行うことが可能
などの点が挙げられます。
(3)電子納税以外の納付手続について
電子納税の他、e-Taxからクレジットカードで納付をしたり、コンビニ納付用QRコードを作成して、コンビニで納付をしたりすることもできます。
【地方税ポータルシステム「eLTAX」エルタックス】
1.概要
eLTAXとは、次のような地方税の申告や、申告書の提出期限の延長の承認申請などの申請、法人の設立や各種の届出などを、インターネットを利用して電子的に行うことができるシステムです。また、電子納税を行うこともできます。
- 都道府県に対する法人都道府県民税・事業税・特別法人事業税(地方法人特別税)の申告
- 市町村に対する法人市町村民税や償却資産税の申告
- 事業所税の申告
- 給与支払報告書の提出
2.メリット
e-Taxのメリットと同様の距離的な制約や時間的な制約がなくなることのほか、従来それぞれの地方公共団体で行う必要があった地方税の申告、申請・届出を、電子的な一つの窓口からそれぞれの地方公共団体に手続きできるようになったことがメリットです。
また、納税面でもすべての地方公共団体へ一括して電子納税する共通納税が整備され、事前に登録した金融機関口座を指定して、地方税を直接納税することができるダイレクト納付が可能になりました。その他、インターネットバンキングやATMで納税することもできます。
地方公共団体が指定する金融機関以外の金融機関からも納税でき、手数料は無料です。
- 回答者
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税理士・中小企業診断士 野村 幸広