経営お悩み相談室

ネーミングのコツ「売りたいサービスをPRするコツ」(相談室3回目)

文:渡辺まどか(中小企業診断士)

Madoka WATANABE

皆さま、はじめまして。第3回のお悩み相談室を担当する渡辺まどかです。どうぞよろしくお願いいたします。

最初に、簡単な自己紹介をさせてください。出身は美容業界で、ネイリストという職業についていました。約10年間の勤務の中で、1万人以上のお客さまにサービスを提供し、マネージャー職だった頃には、東京・大阪・名古屋の17店舗とスタッフ60名をコーディネートしてきました。

現在はコンサルタントとして独立し、ネイリストの経験を活かして、エステサロン・美容院をはじめとする美容系業種のコンサルティングや創業支援、集客や開業をテーマとしたセミナー講師などの活動に取り組んでいます。地域に根差したお客さまを大切にするお店を1つでも増やすことで、美容業界・サービス業界の活性化に貢献していきたいと思っています。

さて、今回の相談者は、これからご自宅でアロマセラピーサロンを開業しようという30代の女性です。相談内容は、「施術メニューのネーミング」についてです。開業当初は、6種類のメニューを用意し、サービスを提供しようと考えているとのこと。その際のネーミングのコツと、特に売りたいサービスをPRするための効果的なネーミングについてご相談を受けました。

施術メニューのネーミングのコツは、次の5つです。

  1. シンプルでわかりやすいこと
  2. 意外性があること
  3. 具体的であること
  4. 効果がわかること
  5. 物語があること

「シンプルでわかりやすい」とは、メニューの内容がすぐにわかることです。たとえば、「フェイシャルマッサージ」であれば、顔を施術するメニューであることがひと目でわかります。

「意外性がある」とは、あえて違和感のある表現をすることです。たとえば、「ザラザラボディパック」と聞くと、「あれ? パックなのにザラザラなの?」と興味をひかれます。人は、見慣れた表現に対しては気づかずに通り過ぎてしまうものですが、意外性がある表現には自然と意識が向くものです。

「具体的である」とは、メニューの内容を頭の中でイメージできることです。具体的な表現をすることで、どんなメニューなのかを、お客さま自身が想像できるようにお手伝いするのです。たとえば、「ふくらはぎ30分集中コース」であれば、ふくらはぎだけを30分かけてほぐしてもらえるものと容易に想像できます。

「効果がわかる」とは、そのメニューを受けることでお客さまがどうなるのかがわかるということです。「疲れをとりたい」、「むくみを解消したい」、「代謝をよくしたい」など、お客さまのご来店目的はさまざまです。したがって、「むくみすっきり」、「リラックス」など、お客さまが求めている効果をネーミングに取り入れることが有効なのです。

「物語がある」とは、施術メニューそのものや施術で使う商品の背景を語ることです。たとえば、「15種類配合のオリジナルブレンドオイルを使った贅沢ボディマッサージコース」であれば、お店としての「こだわり」を訴求することができますし、気になる「15種類」の内容でお客さまの興味をひくこともできます。

では次に、特に売りたいサービスをPRするための効果的なネーミングについてお話しします。

ポイントは、たったの1つだけ。

先にご紹介した5つのコツを、売りたいサービスにはなるべく多く盛り込むことです。決して、すべてのメニューに5つのコツを使ってはいけません。残りのメニューは、あえて平凡なネーミングにしてください。そうすることで、お店の売りたいサービスが際立って、お客さまにもそのサービスを選んでもらいやすくなるのです。

これらのテクニックは、サービス業のみならず、飲食店などでも活用できます。メニューのネーミングにちょっとした工夫をするだけで、売りたいサービスを自然とPRできることを、ぜひ覚えておいてくださいね。

掲載日:2011年10月20日